| ■講師プロフィール |
| 蔡飛[サイ ヒ]<工学博士> |
| 専攻: |
地盤工学 |
| 経歴: |
中国清華大学大学院工学研究科修士課程、中国水利省・交通省・電力工業省南京水利科学研究院 研究員、群馬大学工学部助手を経て、現在、群馬大学大学院環境デザイン工学科専攻 助教。 |
| 受賞: |
2002年最優秀論文賞「地すべり、斜面安定と社会基盤施設の安全性に関する第三回国際会議(シンガポール)」、2003年最優秀講演賞「地盤環境における地下水問題に関する国際シンポジウムIS-OKAYAMA」、2004年研究奨励賞(社)日本地すべり学会 |
| ■講演レポート |
蔡助教は地盤の数値解析をベースに地すべり対策工や液状化、浸透流解析などの研究に取り組んでいます。鵜飼教授と蔡助教、さらに若井准教授を加えた地盤工学研究室では、地盤の弾塑性、非線形問題を中心とした有限要素法による地盤解析に関する研究を行っています。その研究成果をベースに、「UC-1地盤解析シリーズ」を構成する「UWLC」「GeoFEAS」「VGFlow」「LEM3D」などのエンジンとなるソルバーの多くを蔡助教が開発、フォーラムエイトがプリ・ポスト部を付加する形で製品化を行っています。
今回は、地盤解析として非常に身近で、かつ、重要と考えられる斜面の安定解析事例と今後の課題というテーマで、「安全率の定義」「新しい逆算法」「宅地盛土全体安定性の評価」「今後の課題」について講演を頂きました。
安全率の定義として、「すべり面上に作用する滑動を起こそうとする力に対するすべり面上のせん断抵抗力の比」「すべり面に沿って斜面が極限平衡状態になるようにせん断強度定数を低減させる係数」という2つの定義に基づいた安全率、並びに、必要抑止力の計算方法、また、両者の違いについて解説して頂きました(図1)。新しい逆算法では、現行の「経験式」「山上・植田法」「斉藤の方法」の説明に加え、新しい逆算法の考え方、並びに、ケーススタディによる妥当性の検証例を紹介して頂きました。宅地盛土全体安定性の評価では、「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説」より、盛土のり面の安定性、盛土全体の安定性、谷埋め型、腹付け型(図2)などをキーワードとして、円弧すべりよりも危険なすべり面が生じる場合があるといった注意点を指摘して頂きました。
今後の課題として、(1)臨界すべり面の自動探索方法の提案、(2)せん断強度低減有限要素法(SSR-FEM)を用いて臨界すべり面を求め、そのすべり面に対して、基準や設計指針で要求された極限平衡法で安全率を計算する方法(図3)、(3)スライスの分割方法で、現在、一般的となっている等幅分割では、その分割数によって安全率にばらつきがあることから、等中心角分割法を提案され、そして、(4)三次元すべり検討の必要性などをご提案頂きました。
検討手法として、考え方が比較的落ち着いていると思われる円弧すべり計算にも、いまなお、内在する問題点があることをあらためて認識すると同時に、新しい設計方法について、当社としても取り組んで参りたいと考えています。
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