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新連載(全5回)
統合医療とメンタルヘルス
第4回 森田療法を知ることで自然な「こころ」のあり方へ
安田病院心療内科、統合医療アール研究所所長 板村 論子 (いたむら ろんこ)
プロフィール  関西医科大学卒業、京都大学大学院博士課程修了、医学博士。
マウントシナイ医科大学留学、東京慈恵会医科大学、帯津三敬三敬塾クリニック院長を経て現職。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本心療内科学会上級登録医・評議員、日本心身医学会専門医、日本森田療法学会認定医。日本統合医療学会認定医・理事。日本ホメオパシー医学会専門医・専務理事。日本人初の英国Faculty of Homeopathy専門医(MFHom)。2014年度アリゾナ大学統合医療プログラムAssociate Fellow修了。『国際ホメオパシー医学事典』『女性のためのホメオパシー』訳。『妊娠力心と体の8つの習慣』監訳。『がんという病と生きる 森田療法による不安からの回復』共著など多数。
はじめに

今回は、森田療法の考え方をとおして「こころ(心)」のあり方を紹介します。統合医療は「人」がより健康で幸せに生きることを目的にした医療です。もともと健康(health)という言葉はwhole(完全な)やheal(癒す)と意味的に関連しています。1946年のWHO憲章の序文では、健康の定義として「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」と唱っています。さらに1999年には「身体的・精神的・霊的(スピリチュアル)・社会的に完全に良好な動的状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」と提案されました。物質的な存在である身体だけでなく、精神やスピリチュアルという目に見えない、物質としてとらえられないもの、私たちの存在を動的な流れのように考え、完全であるとはそのなかで調和がとれたバランスのある“まったき(完全な)”状態を健康と定義しています。とはいっても本当にこのような完全な状態は可能なのでしょうか。健康と病気は対極の概念のように私たちは考えていますが、実は身体は常に変化しゆれる動的状態にあり、どこまでが健康でどこからが病気であると線引きするのは難しいものです。とくに「こころ」はゆれうごいているのです。ゆれながらバランスをとり動的な平衡状態を保とうとしているのが私たちです。その状態からストレスの状態がつづき、ある限界点をこえると平衡がとれなくなり、より病気の方向に進んでいくことになるのでしょう。ゆれうごく「こころ」が日々のストレスをうける中で、どのようにしてバランスをとればいいのか、その「こころ」のあり方を考えてみます。


「こころ」の自然治癒力

健康を維持し、病気を治そうとする力、自然治癒力は本来身体に備わっていると考えられています。今から2400年以上前のヒポクラテスは「病気を癒す者はφύσιςである」と述べ、このφύσιςこそが自然治癒力と考えられます。ラテン語ではvis medicatrix naturae、英語のthe healing power of nature にあたります。「こころ」の自然治癒力を90年以上前の精神科医森田正馬は“自然良能”という言葉を使い、「凡そ病の療法は、この自然良能を幇助して、これを発揮増進せしめ、もって常態にふくせしめ、もって状態に復せしめ、更に進んで病に対する抵抗力を益々増進せしむるにある」と述べています。「こころ」の病気であるうつ病はかつて“心の風邪”と称されたことがありました。風邪のように自然治癒力によって回復し、抗うつ薬は抑うつ状態をより軽減する役割と考えられていました。最近では「こころ」が病気にならないようにレジリアンスresilienceが重要といわれるようになっています。このレジリアンスも「こころ」の自然治癒力といえます。


森田療法とは

森田療法は精神科医である森田正馬(1874-1938)によって創始された神経症を対象とした精神療法です。最近では不安や恐怖などの情動、不快な感覚の軽減に森田療法の考え方(図1)が用いられるようになり適応がひろがっています。筆者もうつ病やパニック障害の「こころ」の病気の人だけでなく、アトピー性皮膚炎、難治性疾患やがんの人たちが抱く「不安」への対応を行っています。(『がんという病と生きる:森田療法による不安からの回復』北西憲二、板村論子共著)

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図1 森田療法の基本理論
著書 『がんという病と生きる
森田療法による不安からの回復』

日々のストレスの中で私たちはいろいろな不安を抱えています。この不安に対しても森田療法の考え方が役に立ちます。森田療法では不安などの情動、不快な感覚をコントロールあるいは打ち消そうとすると、かえってそれらに意識や注意が集中していきます。その結果より不安を強く感じ、悪循環(精神交互作用)に陥っていきます。不安は悪循環によって雪だるま式に頭の中で大きくなっていきます。さらに「かくあるべき」という知性から自分の力でこの不安を解決しようとする姿勢(思想の矛盾)によって、より悪循環が強められ、不安であることに「とらわれ」ていくようになります。森田療法ではなぜ不安になったのかという原因を探すことよりも「とらわれ」ている自分に気づき、不安はあってもできることを行動するようにすすめます。この悪循環を断つことは頭で考えることではなく、行動、身体を動かすことです。

図2には「うつ」の悪循環を示しています。「うつ」は日常用語で、落ち込み、気分が沈む、つまらない、やる気が起こらない「こころ」の状態で、日ごろの短い時間での経験です。一方、「うつ状態」は精神科疾患、身体疾患、ストレス反応のひとつの状態像(症状)としてもちいることばで、その状態が続くと病気としての「うつ病」につながっていきます。うつ病になると日常生活が支障をきたし、ほとんど一日中、しかも2週間以上動けない状態がつづきます。「うつ」がつづくと動けなくなり、出来たことができなくなります。そうすると自信もなくなり、だめな自分と否定的に考え、さらに落ち込みます。そしてますます動けなくなる負のスパイラル(悪循環)に入っていきます。自分でこのスパイラルから抜け出し、何とかしようとすると泥沼にはまった車がアクセルをかけるように空回りするだけです。その結果、そのスパイラルに「とらわれ」ていきます。このような「うつ」の悪循環にいる状態、とらわれている「こころ」のあり方は「こころ」の過緊張でもあり、不自然なあり方です。この「とらわれ」に気づき、自然な「こころ」のあり方を森田療法が教えてくれます。

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図2 「うつ」の悪循環

「こころ」のあり方

悩む人の「こころ」の傾向として以下のようなことがあげられます。

  • 完全主義「べき」主義、理想主義:「〜すべき,かくあるべき」ねばならない考え、理想と現実の自分とのギャップが大きい「100点か0点」
  • 心配性で周りの環境に敏感:細部にこだわる
  • 他人からの評価を意識する、傷つきやすい
  • 剰適応:まじめにやりすぎる、過剰にやりすぎる
  • 自分で何とかしようとする:何とかそこから抜け出そうと努力する
  • 気分ばかりで行動・事実がみえていない
  • 過去のすんだことを思い悩み、落ち込む
  • 先のことを予期し、より不安になる

このような人は、考えれば考えるほど悩み、過去を振り返れば「うつ」になり、未来を思案すると「より不安」になる傾向があります。不安はもともと「こころ」を守る防御機制でもあるのです。しかし不安が強くなり量的に過度となり、かつその場面にそぐわずに反復して出現するようになると「こころ」の病気になっていきます。不安が続くようになると、防御機制がいつも働き、緊張の状態を強います。「こころ」の緊張だけでなく身体も緊張し、「こころ」も身体も固くなっていきます。森田療法を簡単に説明するとき、筆者は「こころを緩める方法」と言っています。「〜すべき、ねばならない」という完全主義から悪循環に陥り、固くなった「こころ」から「まあいいか」と現実を受け入れる緩い「こころ」とは、先を考えたり、過去を振り返るのではなく、「今・ここで」を大切にする、自然な「こころ」のあり方です。

具体的には

  • 生活の中で優先順位をつけてできないことはできない、できることからやっていく。最初は優先順位の10のうち1つでもできればよい
  • 目標は最初は低く、少しずつ階段を上がるようにする、目の前のことをやる
  • 「あいまい」を受け容れる;解決しなくても、嫌なこともとりあえずできることから手をつける いごこちのわるい気分に振り回されない
  • 60点でよい;力の入れ方抜き方を身につける 頑張りすぎない
  • 「相手にどう思われる、相手がどう感じるか」よりも「私はこう感じる、こう思う」を大切にする
  • 辛いことを言える・泣ける;「あるがまま」の自然な気持ちの表れ
  • 自分にあった元気になる方法を見つける

そうはいってもなかなか難しいという人は、まず「こころ」を緩める「こころ」のあり方があることを知っていただきたいと思います。頭で考えて考えて自分でなんで、どうしてと堂々巡りする中で、森田療法の考え方を知っていると、悪循環から抜け出ることも可能です。そしてそこから 「人」がより健康で幸せに生きることを目的にした統合医療が始まっていくことになるでしょう。


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(Up&Coming '17 秋の号掲載)
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