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新版・地盤
FEM解析入門
本講座は、地盤FEM解析の理論背景を理解すること、その上で、地盤FEM解析ソフトウェアを正しく使いこなすことを目的に、理論と事例を交えながら説明を行い、実務に応用できる実践的な講座を目指しています。今回は、「地盤工学におけるFEM解析」について解説します。
 はじめに

本12回に分けて予定している地盤FEM解析エンジニアリングのための入門講座の2回目です。

第1章となる「地盤工学におけるFEM解析」ということで、地盤FEM解析の必要性、体系、適用範囲、種類、数値解析の流れと誤差、地盤FEM解析ソフトについて説明します。


 地盤FEM解析の必要性

近年、近接工事の増加や工事の大規模化によって、新設工事による近接構造物への影響評価を行う必要性が高まっています。そのため、新設構造物自体の挙動だけではなく、近接構造物の挙動を精度よく予測しなければなりません。図1から図3は近接工事が既設構造物に影響を与える解析例です。近接工事により、地盤に変形が生じ、既設杭に曲げモーメント、直接基礎に不等沈下、パイプラインに亀裂、鉄道レールに変形、隣接建物に傾斜などが発生し、既設構造物の使用に支障が生じる場合があり、特に、ガス管や水道管に圧力がかかり、変形すると、ガスや水道水の漏れが生じる恐れがあります。

図01 掘削が及ぼす既設構造物の影響解析例

近接工事の設計には、新設と既設構造物の相互作用を考慮し、荷重や変形などの相互影響を定量的に評価しなければなりません。また、既設構造物も新設構造物に影響を与えることにも留意する必要があります。従来の設計法では、新設と既設構造物の相互作用を評価することは困難であり、経験的な手法を用いざるを得ず、新技術の開発導入を妨げることになります。近年、地盤FEM解析手法が発展し、地盤と構造物の相互作用を評価すること、さらに、設計に複雑な地盤材料特性を考慮することができるようになっており、実際、表1に示すように、多くの設計規準に地盤FEM解析を導入されるようになっています。

図02 パイプラインが及ぼす既設構造物の影響解析例

また、近年、従来の仕様規定型設計から性能規定型設計(以下,性能設計と呼ぶ)への移行が活発化しており、仕様規定型設計に比べて性能設計は表2に示すような特徴があります。したがって、性能設計は、設計の自由度の確保や新技術の導入が容易となり、建設コスト縮減にもつながり、今後は、地盤FEM解析は多くの地盤構造物の性能設計に適用され、大きな威力を発揮することが期待できると考えられます。
図03 トンネル掘削が及ぼす既設構造物の影響解析例

規準 概要
道路土工 仮設構造物工指針 土留め背面地盤の変形
山留め設計施工指針 山留め背面地盤の変形
河川構造物の耐震性能照査指針(案)・同解説 液状化に伴う堤防の変形
大深度地下使用技術指針・同解説 トンネル掘削の影響評価
山岳トンネル設計施工標準・同解説 トンネル掘削の影響評価
地下連続壁の溝壁安定の設計施工の手引 掘削溝壁の安定検討
大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)・同解説 築堤解析・湛水解析(動的解析のための初期応力を求める)
駐車場設計・施工指針 同解説 地震時地盤ばね定数の算出
鉄道構造物等設計標準・同解説 土構造物 列車の繰返し載荷による残留変形
表1 地盤FEM解析を導入されている設計基準

比較項目 仕様規定型 性能規定型
目標 暗示的 明確
照査方法 規定的 自己選択
経済性 過大になりやすい 最適化を図りやすい
表2 仕様規定型と性能規定型設計の特徴


 地盤FEM解析の体系

地盤解析は有限要素法を用いて行われることが多く、地盤解析の中では、慣性力を考慮するか否かにより静的解析と動的解析に分けられ、また水圧を未知量とするか否かにより全応力(非連成)解析と圧密(連成)解析に分けられます。水圧のみを未知量とする解析は浸透流解析です。図4にこれらの解析の基本と関係を示します。

図04 有限要素法による地盤解析体系の概略

図4より、次のようなことがわかります。
  1. 浸透流解析の支配方程式はダルシー則と水の質量保存則より得られる。
  2. 力の釣合い条件、変位とひずみ関係を表す適合条件、応力とひずみ関係を規定する構成則より、応力・変形解析の支配方程式が得られる。
  3. 慣性力が力の釣合いに考慮されていない(考慮する必要がない)場合には、静的全応力解析であり、慣性力が力の釣合いに考慮されている場合には、動的全応力解析である。

また、浸透流解析の結果(水圧)を外力として静的全応力解析に導入することができ、過剰間隙水圧が生じない場合の水圧の変化が地盤に与える影響を調べることができます。さらに、有効応力の原理を通じて、浸透流解析の支配方程式と静的解析または動的解析の支配方程式と連立すれば、静的有効応力解析(連成)解析または動的有効応力解析の支配方程式が得られます。これらの支配方程式を空間的に離散化すれば、時間的な変化を考慮する場合にはさらに時間的に離散化すれば、離散化解が得られます。空間的な離散化は有限要素法を用いることがほとんどであり、時間の一次微分は差分法、二次微分はニューマークの方法を用いて時間の離散化を行うことが一般的です。これによって、地盤の挙動を記述する数学モデルの支配方程式が離散化され、離散化モデルを記述する連立一次方程式が得られます。この連立一次方程式を解くと、離散化解つまり問題の近似解が得られます。


 適用範囲

地盤の全応力FEM解析は次のような場合に適用できます。
  1. 解析範囲内に地下水が存在しない。
  2. 軟弱な粘性土地盤上に急速に盛土などの載荷を行う場合、載荷直後に排水がほとんど起こらず、圧密も含水比の変化も生じない。すなわち、非圧密非排水(UU)条件になる。
  3. 地盤に対する載荷が非常にゆっくりと行われるか、地盤の透水性が大きく載荷中に排水が完全に終了する場合、載荷と同時に地盤の排水が行われるので、圧密排水(CD)条件になる。


 地盤FEM解析の種類

図5は、建設事業の流れと地盤調査及び地盤FEM解析の関係を事業の流れに沿って大まかに示したものです。一般的に、設計段階では、設計に必要な情報を得るために実施されるのが事前解析(予測解析、順解析とも呼ぶ)です。事前解析の解析項目は構造物ごとに異なりますが、対象となる構造物にどのような検討課題があり、その課題を検討するためにはどのような解析方法が最適であるのかを判断することが重要です。事前解析には、一般に、地盤調査の結果から直接得られた地盤定数、または経験式や基準類に基づいて推定した地盤定数を用います。

一方、事後解析(逆解析とも呼ぶ)は、観測された結果から、解析に用いるべきもの(たとえば、解析手法、メカニズム、地盤定数など)を求めるためのものです。

図05 建設事業と地盤調査及び地盤FEM解析の関係

施工段階では、情報化施工を行う場合に動態解析を実施することがあります。一般的に、大規模盛土工事や近接施工などでは動態観測を行い、地盤や構造物の挙動を計測しながら結果を施工に反映し安定を確保します。この情報化施工においては、計測結果から、施工中の地盤状況並びに構造物の安定性を迅速かつ正確に把握し評価するためには、事後解析が有効な手段です。事後解析により地盤定数を推定し、推定された地盤定数を用いて事前解析により次の施工ステップの地盤や構造物の挙動を予測するという一連の流れを、動態観測にちなんで動態解析と呼びます。


 数値解析の流れと誤差

有限要素法による数値解析の流れを図6に概略的に示します。この図はFEMの実際の解析手順を説明するものではなく、専門用語を説明するものです。数値解析には3つの重要なステップがあります。すなわち、理想化(モデル化ともいう)、離散化、連立一次方程式の求解です。また、ステップごとに誤差が生じます。例えば、離散化誤差は、離散化解を数学モデルに代入するとき現れた相違です。

■理想化(Idealization)
理想化は、現実問題の本質部分を抽出し、現実問題を数学モデルに書き換えることです。これは解析者自身が行わなければならないので、数値解析の中で最も重要なステップです。理想化の結果は現実の問題を表す数学モデルが得られます。この数学モデルは、現実の問題におけるすべての挙動の中で、着目したい一部の挙動をシミュレートまたは予測するために作ったものにすぎません。したがって、数学モデルの解はこの関心のある一部の挙動しか表現できないものです。

■離散化(Discretization)
数学的なモデリングは現実のシステムを単純化するステップです。しかし、それでも数学モデルを解くのは簡単ではありません。数学モデルは一般に境界条件付きの偏微分方程式となり、無限の自由度をもつ問題です。数値解析を可能にするためには、自由度の数を無限から有限に縮減しなければなりません。この自由度の縮減を離散化といい、離散化の結果は離散化モデルであり、離散化モデルは一般に連立一次方程式で表現されます。

■連立一次方程式の求解
地盤FEM解析は、最終的に大規模な連立一次方程式を解くことに帰着され、解析結果の精度を高めるためにはより大規模な連立一次方程式を解く必要があります。連立一次方程式の解法は直接法・反復法に大別でき、直接法の特徴は、逆行列が存在する場合には、いかなる問題であっても原理的には必ず厳密解が得られます。代表的なものにガウスの消去法がありますが、実際は、これを改良して行列の三角分解を利用するLU分解法に基づく方法が広く用いられています。一方、反復法とは、繰り返し計算により反復的に解を更新することで連立一次方程式に依存することが多く、その利用に際しては知識および経験が必要となります。

図06 数値解析の流れ


 地盤FEM解析ソフト

市販の地盤FEM解析ソフトは主に3つの部分から成り立っています。すなわち、(1)プリプロセッサ、(2)ソルバー、(3)ポストプロセッサであり、それぞれ図7に示すような機能があります。

図07 地盤FEM解析ソフトのプリプロセッサ、ソルバー、及びポストプロセッサの主な機能

プリプロセッサは、地盤FEM解析モデルを作成し、ソルバーへ渡す入力データを準備(前処理)します。この中で、入力されたモデル形状を基にメッシュを自動生成することが、プリプロセッサの最も重要な機能といます。複雑な形状に対しても、高品質なメッシュを高速に作成できることが要求されます。従って、この部分の性能や機能および使い勝手は、プリプロセッサの良し悪しを決める重要なファクタと言えます。

ソルバーは、有限要素法の理論に従って、解析モデルから連立一次方程式を組み立て、それを解いて解析結果を得るための地盤FEM解析ソフトの本体部分です。ソルバー(solver)とは“解くもの”という意味であり、正確に言うと、方程式を解く部分のみを「ソルバー」と呼ぶべきかもしれませんが、一般的にはプリプロセッサから入力データを受け取り、ポストプロセッサへ出力データを渡すまでの一連の作業を、ソルバーと呼んでいます。

ポストプロセッサは、ソルバーから出力された計算結果をわかりやすい形式に加工し図示する部分です。地盤FEM解析の結果として節点あるいはガウス点で計算された物理量(変位や応力など)を図示することで、それぞれの物理量の全体像が見えやすくなります。また、ポストプロセッサでは、一般的に、指定された節点やガウス点における設計に必要な物理量の値を出力することもできます。ポストプロセッサのもう1つの重要な目的は、解析結果の検証とモデルの妥当性のチェックです。解析結果を図示することで、仮定は容認できるかのチェックが容易になります。


 今後の講座

今回は、地盤FEM解析の必要性や解析種類、数値解析の流れ、そして、地盤解析ソフトについて解説し、基本的なFEM解析の概要をご理解頂いたのではないかと思います。

次回は、地盤FEM解析の基礎理論ということで、少々難しい話しになるかもしれませんが、ブラックボックスになりがちな、ソルバーに関する基礎知識を説明したいと考えています。ご期待下さい。


 出版書籍

「新版・地盤FEM 解析入門」
2013年9月19日刊行予定
監修:鵜飼 鶏三(全日本地すべり学会会長,群馬大学教授)
著者:蔡 飛(群馬大学助教)


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(Up&Coming '13 秋の号掲載)
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