N値と地耐力 |
■N値とは
N値とは、標準貫入試験(JIS A 1219)により求められる地盤の硬さを表す指標です。標準貫入試験の試験方法は、JISで定義されており、以下のようになっています。
この試験は、各深度毎(概ね1m)に掘進するボーリング抗で行われます。質量63.5kgのおもりを76cmの高さから自由落下させて標準貫入試験用サンプラーを30cm打ち込むために要する打撃回数がN値となります。
落下高さについては、以前は75cmとされていましたが、2001年の改訂で、もともとの定義である30インチの換算値76.2cmと諸外国の定義値を考慮して76cm±1cmと再定義されています。
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▲図-1 標準貫入試験概念図 |
■柱状図の見方について
柱状図に記載されているデータシート項目の意味は、以下のようになっています。
・標尺 : 地表面を0mとした時の地中の深さ
・層厚 : 各層毎の地盤の厚さ
・柱状図 : 層毎の土質を表記する記号
・土質区分 : 土質の種類
・孔内水位 : 地下水位の深さ |
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図-2 柱状図の例
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■N値と支持力(土木・建築)
N値と支持力に関しては、直接基礎の支持力公式を一例として考え方の違いを示します。
土木構造物における直接基礎の許容支持力は、『道路橋示方書・同解説、IV.下部構造編(H14.3)、(社)日本道路協存会』によれば、以下の計算式より算出されます。
ここで、支持力公式に用いる支持力係数(Nc・Nq・Nγ)は、内部摩擦角(φ)によって、グラフより読み取る形となります。
一方、建築構造物における直接基礎の鉛直支持力は、『建築基礎構造設計指針、(2001改定)、日本建築学会』によれば、以下の計算式で表されています。
Ru = qu・A = (ic・α・c・Nc+ir・β・γ1・B・η・Nγ+iq・γ2・Df・Nq)・A
ここで、Ruは、極限鉛直支持力となります。内部摩擦角(φ)は、φ=√20N
+ 15°となっています。
土木基準と建築基準において、直接基礎における極限支持力推定式を比較すると、両基準とも単位面積当たりの極限鉛直支持力度を算定(quの算定)しています。Quの各項を見てみると、【粘着力要素】・【根入れ要素】・【自重と幅要素】に分割されます。この3要素における計算式を両基準で比較すると、計算理論に大きな違いが認められないが、各項目に掛けられている補正係数の考え方および係数の取り方が変わります。
よって、この影響因子により、同じ柱状図を使用して土質定数を推定しても両基準によって数字が異なる結果となります。直接基礎について説明を行いましたが、杭基礎に関する支持力公式についても両基準において同様のことが言えます。
■参考文献
1) 道路橋示方書・同解説、IV.下部構造編(H14.3)、(社)日本道路協会
2) 建築基礎構造設計指針、(2001改定)、日本建築学会
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(Up&Coming '10 新年号掲載) |
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