• 電波タイムズダイジェスト Vol.33
    2022.10~2022.11

    このコーナーでは電波タイムズ紙で掲載されたニュースより、U&C読者の皆様に関連の深い画像・映像、情報通信、建設土木、自動車など各分野の注目トピックをピックアップしてご紹介いたします。

    ■IMO/自動運航船国際ルール案作成合意へ/和歌山県潮岬沖の推薦航路採択

    国際海事機関(IMO)の第106回海上安全委員会(MSC106)がこのほど、対面式にてロンドンのIMO本部で開催され、今次会合では主に、自動運航船(MASS)国際ルールの骨子案作成や、洋上風力・掘削施設の洋上施設上で作業を行う人員を輸送する船舶の安全基準の採択等が行われたほか、航行安全・無線通信・捜索救助小委員会(NCRS)関係で、日本提案の和歌山県潮岬沖における推薦航路が採択された。ヒューマンエラーに起因する海難事故の減少や船員労働環境の改善を目指して、わが国を含め世界各国で自動運航船(MASS)の開発が進められている。本年5月の第105回IMO海上安全委員会(MSC105)においては、自動運航船の国際ルール策定に向けて、将来的な義務化を見据えつつ、まず非義務的なものとしてルールを策定していくことに合意し、そのための作業計画・タイムライン等を示すロードマップを策定した。今次会合では、わが国の提案等に基づき、ルールの骨子案について原則合意し、今後、自動運航船に係るセクション(航行、遠隔操船、通信等)ごとに有志国で起草作業を行ったうえで、引き続き、会期作業部会において議論を進めていくことに合意するとともに、共同部会を来年2回開催することにも合意した。洋上施設上で作業を行う人員を輸送する船舶の安全基準関係では、洋上風力・掘削施設等の洋上施設上で作業を行う人員を「産業人員(Industrial Personnel:IP)」として位置付け、IPに対して安全訓練等の要件を課すことを条件に、13人以上のIPを貨物船又は高速貨物船によって輸送することを可能とするため、SOLAS条約附属書に新章として第XV章の追加等の改正を行う。今後は、潮岬沖推薦航路における航行ルールを、船舶運航者をはじめ全ての海域利用者に対し十分な期間をかけ周知を図っていく考え。同推薦航路は、海図上に航路の中心線、航行方向が記されるほか、航路の西端位置、東端位置及び適用海域の範囲を示す位置にバーチャルAIS航路標識のシンボルマークが記載される。(2022.11.25/4面)



    ■NECなど/衛星SARからの「標高モニタリング技術」を開発

    オリエンタルコンサルタンツ(東京都渋谷区、野崎秀則社長)とNECは共同で、衛星SAR(衛星から地球の地表面にマイクロ波を照射し、その反射波を受信して画像を生成する技術)で取得したデータから標高をモニタリングする技術を開発した。 この解析技術は、11月1日現在、特許出願中。両社は、広範性・周期性を特長とする 衛星SAR に着目し、これまで経時変位(時系列差分干渉解析)として利用されてきた技術を発展させ、標高とこれを基に体積を算出する解析手法を確立し、土砂移動量などの算出をより安価でタイムリーにモニタリングする技術を開発した。衛星SARで撮像したデータを解析して対象エリアの標高を面的に算出する。次に、土砂移動後の撮像データの解析を行い、面的な高さを算出する。この2つの面的高さデータを差分解析することで、土砂移動量の算出を実現する。同技術を活用することで、流域内における土砂の経時変化を体積として把握することが可能となるため、定量的な土砂量と、いつ・どこで生産土砂量が発生したかなどの客観的事実に基づいて、様々な対策立案ができるようになる。例えば、土砂堆積によって生じる河積阻害、土砂堆積速度の推定に基づく砂防堰堤の計画的な除石計画の立案など、これまで定量的な予測・計画が難しかった事象の定量化に活用できる。(2022.11.11/2面)



    ■気象庁/長周期地震動対応の防災気象情報強化/来年2月1日から迅速な観測発表

    気象庁地震火山部によると、令和5年2月1日から、緊急地震速報の発表基準に長周期地震動階級を追加するとともに、長周期地震動に関する観測情報の発表を迅速化することとなった。長周期地震動とは、大きな地震で生じるゆっくりとした大きな揺れ(周期が長い揺れ)のことを言う。高層ビルなどでは、長周期地震動により大きく長時間揺れ続けることがあるが、今般、長周期地震動による被害の軽減に役立つため、防災気象情報の強化を行うことにしたもので、これに伴い気象庁HPの長期地震動のページを順次リニューアルし、より分かりやすく広く国民に伝える。【長周期地震動に関する予報情報(緊急地震速報の改善)】これまで緊急地震地震速報は、震度5弱以上を予想した場合、及び震度4以上を予想した地域を対象に発表していた。今後は、発表条件に長周期地震動階級の予測値を追加して提供することとし、長周期地震動階級3以上を予測した場合でも、緊急地震速報(警報)を発表する。緊急地震速報(予報)の発表条件には、長周期地震動階級1以上を予測した場合を追加する。【長周期地震動に関する観測情報】高層ビル等で被害をもたらす長周期地震動への対応として、「長周期地震動階級」を知らせる「長周期地震動に関する観測情報」を気象庁HPで提供中。令和5年2月1日からはオンラインによる配信を開始し、前記のように現在、地震発生から20~30分程度で提供しているものを10分程度に迅速化し提供の予定。【長周期地震動階級】震度で表せない長周期地震動による揺れに対する指標として、平成25年3月に長周期地震動階級を定めた。長周期地震動階級3~4の揺れでは、家具の転倒・移動により大きな被害が発生する恐れがあることなどから、緊急地震速報の基準に加えることにしている。(2022.10.31/4面)


     
    ■協力・記事提供:株式会社電波タイムス社  HP:http://www.dempa-times.co.jp/
    (Up&Coming '23 新年号掲載)
     

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