2025 年映画ベスト5+今年の映画総括

今年もこの時がやってまいりました!大作映画からミニシアター系まで、幅広く鑑賞しました。2025年映画ベスト5の発表、今年の映画総括を行います。

第5位
「サブスタンス」

90年代にスター女優として活躍したデミ・ムーアが主演のホラー・スリラー映画。誰もが知る元人気女優、現在はフィットネスのインストラクターである主人公。50歳の誕生日を迎え、容姿の衰えによって仕事が減ることを懸念。若さと美しさが蘇る「サブスタンス」という薬品に手を出すも、事態は思わぬ方向に進んでいく・・・。

これまで数多くの名作に出演してきたデミ・ムーアが、まるで自分の栄枯盛衰を表すかのような役柄にまず驚き。主人公が薬品に手を出してからの展開は壮絶で、「かわいいが暴走して、阿鼻叫喚」というキャッチコピーが非常に的を射ています。どのようにデミ・ムーアが若返っていくのか、鑑賞前は絶対に調べないようご注意ください。

アカデミー賞では作品賞のほか5作品にノミネート、ゴールデングローブ賞ではデミ・ムーア自身初となる主演女優賞の受賞を果たしました。作品自体は若返ることの渇望を描いていますが、歳を経ても新たなことにチャレンジし、結果を出すことの素晴らしさを知りました。

イギリス・フランス映画 上映時間:142 分 配給:ギャガ
監督:コラリー・ファルジャ 出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリーほか

第4位
「秋が来るとき」

カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭の常連であるフランスの巨匠フランソワ・オゾン。実は彼の作品は今作が初鑑賞だったのですが、最初から最後まで心を掴まれました。

パリでの生活を終え、自然豊かなブルゴーニュの田舎で暮らす80歳の女性が主人公。友人とキノコ採取に励み、帰省した娘と孫に手料理を振る舞うなど、静かながらも優雅な生活。そんな冒頭で始まるのですが、キノコが思わぬ引っ掛かりとなり、家族を巻き込む大事件に発展。

美しい紅葉が写ったポスター。ゆっくりと時が流れるヒューマンドラマに違いないと思っていたのですが、全然違っていました。主人公のとある秘密が鍵になるのですが、何が起きるのかは本編を見て確認してください。

フランス映画 上映時間:103分 配給:ロングライド、マーチ
監督:フランソワ・オゾン 出演:エレーヌ・バンサンほか

第3位
「 ドールハウス」

「ウォーターボーイズ」の矢口監督、主演は長澤まさみと瀬戸康史。ホラーというジャンルであっても、エンターテイメントに溢れた楽しい作品になると予想していました。しかし、私の予想は完全に間違っていました。

今まで見てきたホラーの中でもトップ級に恐ろしく、思わず目を背けるシーンも。「もう勘弁してくれ…」と心の中で叫んでいました。でも、それがホラーの本来の魅力であり、大いなる価値です。人形を巡るミステリー要素も魅力的で、最後の最後まで目が離せない。人形の正体を知った時、きっと背筋が凍りつくことでしょう。

日本映画 上映時間:110分 配給:東宝
監督:矢口史靖 出演:長澤まさみ、瀬戸康史、田中哲司ほか

第2位
「異端者の家」

とある新興宗教の布教のために、古民家を訪れた若い女性2人組。そこには夫婦で暮らしている、と自称するおじさんが1人佇んでいた。おじさんの正体は、「ノッティングヒルの恋人」など、かつては甘いマスクの優男で世界中を魅了したヒュー・グラント。彼が今作の主人公ではあるのですが、完全なる悪役で登場します。

布教のため、女性2人組はあの手この手でヒュー・グラントを勧誘しますが、謎の知識量と論述テクニックで完全なるマウントを取ってみせます。マウントおじさん、あまり聞こえは良くないですが、巧みな話術に思わず頷いてしまいました。中盤からの仰天展開も最高。大娯楽作として私の心に刻まれました。

アメリカ・カナダ映画 上映時間:111分 配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督:スコット・ベック、ブライアン・ウッズ 出演:ヒュー・グラントほか

第1位
「ワン・バトル・アフター・アナザー」

かつては世間を騒がせた革命家である主人公のレオナルド・ディカプリオ。とある理由から娘の命が狙われることになり、平凡な生活が突如地獄絵図に。タイトルは「次から次へと戦いが続く」という意味で、休む暇なくピンチが襲来します。

突然ですが、「映画」という言葉はギリシャ語で「動く」=「kinein」が語源と言われています。今作はまさに画が「動く」ことの面白さを体現し、映画のプリミティブな魅力が詰まった作品でした。画に映る全てのものが動き、そのどれもが心地よく、ワクワクが止まらない。

鑑賞後、今年の1番にふさわしいと確信しました。映画の誕生から130年以上経った今もなお人を惹きつける映画。画が動くことの面白さは、今後も色褪せることはないでしょう。

映画総括 :
ホラー映画の黄金時代、来たる

今年はホラー映画の当たり年、と言っても過言ではないでしょう。90年代、かつて「Jホラー」と呼称され世界を席巻した邦画ホラーが今年は大爆発。霊が見えるようになった女子高生が霊を無視し続ける異例のホラー「見える子ちゃん」、ネットのホラー小説発の「近畿地方のある場所について」、ホラーゲーム発の「8番出口」、そして前述した「ドールハウス」など、ヒット作の多くをホラーが占めることに。

また、洋画も「サブスタンス」や「ノスフェラトゥ」、「ロングレッグス」などの話題作も豊富でした。一般的には夏が盛りと言われているホラー映画市場。今年は春夏秋冬でヒット作が舞い込んでいました。

より非日常的な体験を求めて、若い世代を中心に流行っているようです。今後もホラー要素を取り入れたコンテンツが増えていくのかもしれません。


『サブスタンス』Blu-ray/DVD発売中
Blu-ray:¥5,500(税込)DVD:¥4,400(税込)
発売・販売元:ギャガ
©2024 UNIVERSAL STUDIOS


(Up&Coming '26 新年号掲載)

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