第6回羽倉賞の
受賞記念講演会の様子をご紹介

最先端表現技術利用推進協会レポート

Vol. 41

第6回羽倉賞受賞記念講演会レポート

日時:7月3日(月)13:30~17:00
会場:フォーラムエイト東京本社セミナールーム

2022年のデザインフェスティバルにて授賞式が行われた「第6回羽倉賞」受賞者の皆様に、それぞれ受賞された各作品の最先端技術についてご講演いただき、その後ネットワークパーティ―も併せて開催しました。今回も分野を問わず様々な作品が並び、昨年のデザインフェスティバルでのプレゼンテーションから深く踏み込んだ内容でどの講演も大変すばらしいものでした。

羽倉賞

「アナモルフォーシスに基づく個人用裸眼立体視システム」
慶應義塾大学理工学部情報工学科 藤代一成研究室

アナモルフォーシス(特定視点からのみ正しい投影像が得られる古典的な錯視技法)を利用し、L字型に配置された2枚のディスプレイモニタに立体映像を表示しています。立体感向上のために、簡易的にサイクロープスの眼の位置を推定し、その位置に映像を提示することで両目視差の問題を軽減しています。心理学的な効果に目を付けリアルタイムで再計算・提示することで、手軽に運動視差を誘発する立体視システムを設計しました。

フォーラムエイトDKFORUM賞

「D-K AMP」 株式会社ユウプラス

デジタル掛け軸を、ミラーの反射により増幅し、球体を形成した画像を空間に浮かび上がらせます。イメージ生成装置として各種イベント等で、リアルな体験としての感動を人々に与え、デジタル掛け軸の医学的な知見を活かし、リラクゼーションや瞑想に利用できます。

優秀賞

「超高臨場感通信技術Kirari!」 NTT株式会社人間情報研究所

超ワイド映像を伝送し、セーリングでは巨大な競技映像を海上に浮かべ、空間まるごとの臨場感を提供しました。バドミントンでは選手映像のみを切り出し、遠隔地でホログラフィック表示し選手の存在を再現。マラソン競技では沿道の映像で、選手が実際に応援されているような感覚を提供しました。

優秀賞

「音が飛び出すピタゴラスイッチ」 NHK放送技術研究所

複数スピーカを直線配置したラインアレイスピーカを用い、音場合成技術を応用。スピーカ手前の音空間をターゲットとして計算される強さやタイミングで、個々のスピーカから再生して、楽器がスピーカよりも手前で鳴っていたり、移動する表現が可能となります。

奨励賞

「“見えない”プロジェクタによる触れる動的プロジェクションマッピング」
電気通信大学大学院情報理工学研究科橋本研究室

プロジェクタを体験者から隠し、直接触って動かす物体に追従してその見た目を変化させる、最先端の立体映像生成技術と組み合わせた動的プロジェクションマッピングを実現。また、再帰透過光学系による立体像の利用により、手や体で光路を遮っても影がほとんどできないようになっています。

奨励賞

「Deepfake Video Self-modeling」 神戸大学大学院工学研究科/ ソフトバンク

理想的な動作を行う自身の映像を見ることで効果的な行動の改善を促す「ビデオセルフモデリング」映像の作成に、深層学習による映像生成技術を用いています。プロダンサーの動作と同じ動作を行う学習者自身の映像を自動で生成し、それを見ることで学習する学習支援手法を提案しました。

奨励賞

「移動する車を用いた立体的プロジェクションマッピング」
愛知工業大学大学院経営情報科学研究科/トヨタ紡織/NTTドコモ

車に2台のプロジェクタを設置して前方地面に映像を投影し、車の内外から映像を鑑賞します。GPSとコンパスで車の位置と方向を取得して、リアルタイムで投影映像に反映させ、地面に張り付いたような映像やトリックアートによる立体感と移動に伴う運動視差立体視を実現しました。

(Up&Coming '23 秋の号掲載)



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