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| 税務・行政手続きのデジタル変革―マイナポータル連携活用のすすめ |
確定申告の自動化へ―マイナポータルが果たす役割 1月に入り、所得税の確定申告に向けて情報を整理し始める時期になりました。 毎年の申告準備では多くの書類をそろえる必要がありますが、こうした負担を減らすため、近年では行政手続きのオンライン化が進んでいます。その取り組みの一つが、マイナンバーカードを使って自身の行政情報を確認できる「マイナポータル」です。 マイナンバーカードの保有率が全国で約8割と高い水準に達している一方、マイナポータルの利用登録率は約6割にとどまっており、必ずしも十分に活用されているとは言えない状況です。 本稿では、マイナポータルの仕組みやデータ連携で何ができるのかを、実務の観点から解説いたします。 マイナポータルの機能と実務上のメリット マイナポータルは、行政機関が保有する自身の情報をオンラインで確認できる窓口です。ログインにはマイナンバーカードを使用し、カードのICチップに格納されている電子証明書で本人確認を行います。 これまでの手続きにおける課題 従来、確定申告の準備では、
といった作業が必要で、転記ミスが起こりやすいという課題がありました。 マイナポータルを利用したデータ連携はこうした“手入力”の負担を減らし、ミスを避けるための補助として利用できます。
データ連携による情報収集 マイナポータル連携の主な機能の一つは、確定申告で必要となる控除証明書などの情報を自動で取得し、申告書作成に反映する、というものです。給与所得の源泉徴収票や生命保険料控除証明書といった重要なデータを、まとめて取得することが可能になります。 現在、この自動入力が利用できるのはデータ提供に対応している生命保険会社、証券会社、寄附先自治体など一部の企業や団体に限られますが、その対象は年々広がりを見せています。 連携により取得・利用が可能になる主なデータ
さらに手間を減らすには? e-Tax利用の利点 マイナポータルでのデータ連携に加え、e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すれば、手続きをさらに簡素化できます。 本人確認書類の添付が不要 書面で申告書を提出する場合、マイナンバーカードの写しなど本人確認書類の添付が必要です。 しかしe-Taxによる電子申告では、電子証明書やIDによって本人確認が可能であるため、追加の本人確認書類の添付は一切不要となり、申告作業の手間も大幅に軽減されます。
日常手続きのデジタル連携 マイナポータルは税分野に限らず、生活に関わるさまざまな公的情報の確認にも使えます。 必要なときに自分の情報がまとまって見られるという点は、日常的な利便性にも直結します。 主な活用例
今日から始める確定申告の負担軽減 マイナポータルを使い始める際、最初の設定や操作に手間がかかるのは正直なところです。しかし、この最初のひと手間をかけておけば、書類管理や情報収集にかかる将来の時間を節約できます。 まずは、お手持ちのスマートフォンにマイナポータルアプリを入れ、ご自身の情報がどの程度確認できるか見てみましょう。日常的な作業の一部に取り入れることで、確定申告を含む事務処理の手間は着実に軽減されるはずです。 参考
監修:久次米公認会計士・税理士事務所 |
| (Up&Coming '26 新年号掲載) |
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