未来を可視化する
長谷川章のアート眼
vol.12
社会の未来を語るキーワード「シンギュラリティ」をテーマに、
長谷川章のアート眼が捉えるものを連載していきます。
人類が生命を超え、加速する未来を可視化する鍵を探ります。

長谷川 章(はせがわ あきら)氏
中国中央電視台CCTVのステーションロゴを始めNHKのオリンピックオープニング(1996)、ニュースタイトル、TV-CMなど数千本の制作してきた長谷川章が、日本人の持つ無常の精神から空間・環境のアーティスティックなソリューションであるデジタル掛軸を発明し今日のプロジェクションマッピングの創始者となった。

 Akira Hasegawa

私たちが現実と思っている ものは、真の意味で現実とは限らないかもしれません

この世界は仮想現実か?現実か?

これまで私たちが現実だと思っていたものは感覚器官から入った情報を脳が解釈したもので
真の意味で現実とは限らないかも知れません

最近の墓事情

死んでも墓はいらないという人が増えている
遺骨さえ残さなくていいという人もいる

そろそろ新しい墓について考えるときである
新しい墓を考えるということは、とりもなおさず新しい死生観をつくることである

墓とはなにか

墓石の起源は古事記に出てくる千引石(ちびきいわ)であると言われている
これはイザナギを黄泉の国に閉じ込めるための岩であり、つまりは死と生の境界線である
生物は未知を怖がるが、究極の未知が死である
死の世界から死者が戻ってくることを恐れ、石を置いたのも無理からぬことだ
墓が境界線というのは、墓の語源が「果処(はてか)」であることからもわかる
墓は生の端、生の果てだからである

境界線であるならば、本当は物理的な石はいらない
線とは幅のない長さのことであり、物理世界には存在しない数学的概念である
私たちの墓、私たちの死に関する観念を、そろそろアップデートする時期である

新しい墓の概念

遺骨に意味があるわけではなく、墓地という場所に意味があるわけではなく、まして墓石や戒名に意味があるわけでもない
墓に参って手を合わせるとき、私たちは墓石や遺骨に祈っているのではなく、
連綿とつづく先祖の存在とその記憶に対して
頭を下げているのである
そうして、いまここに存在している自分自身に奇跡を感じているのである

新しい墓に土地や石や名前は不要である
必要なのは先祖の記憶との接続性だといえるだろう

デジタル時代の墓

デジタル時代の墓とは、記憶としての墓である
生前の記憶や生きた証、その人の膨大な人生のデータ、
それらのデータと接続できる一種のアクセスポイントとなるだろう

容姿などの写真データ、肉声の音声データ、DNA解析、病気や入院の記録、
受賞歴、出版歴、得意技、友人、知人、仕事、趣味、好きな食べ物、得意なこと、
苦手なこと、生活ログ
それらがすべてその人の生きた証である。

それらのデータから人格のAIを作り出すことも可能だろう
家族との会話により、死後も経験し、進化し、存在し続ける死者

墓はアクセスポイント

故人がこよなく愛した場所が、故人の墓である
その場所になにか特別なデバイスがあるわけではなく、
故人とのアクセスポイントとしてマップデータ上に特別なマークとして存在するのだ
その場所は特別なポイントとして、未來永遠に保存される

2013年 4月27日〜5月5日
護国寺チべットフェアーデジタル掛軸

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2021年9月11日(土)~11月3日(水)
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(Up&Coming '21 盛夏号掲載)

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