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擁壁の設計・3D配筋のなぜ? 解決フォーラム

「擁壁の設計・3D配筋」の主鉄筋曲げ長と定尺鉄筋配置

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「擁壁の設計・3D配筋」では、2次元図面(配筋図、加工図、鉄筋表)、3Dモデル(躯体、配筋)を生成する図面作成機能を備えています。この図面作成について、「主鉄筋曲げ長の算出根拠が知りたい」あるいは「断面変化の主鉄筋配置とならない」などの問い合わせを頂く事が多くあります。ここでは、主鉄筋曲げ長の算出の考え方、および、定尺鉄筋配置について紹介いたします。


「擁壁の設計・3D配筋」の主鉄筋曲げ長

「図面作成-鉄筋-竪壁鉄筋」画面の「曲げ長計算」で設定します。


■曲げ長計算

鉄筋生成時の「主鉄筋の曲げ長(Lm)」は、道路橋示方書や土木構造物設計マニュアル(案)に関わる設計・施工の手引き(案)[ボックスカルバート・擁壁編]に記載された算出式で算出しています。目的とする計算方法を「図面作図条件」「土木構造物設計マニュアル」「定着長=直線長+円弧長」から選択してください。


図1 主鉄筋曲げ長の設定

  1. 図面作図条件
    「基準値-図面作図条件-計算基準-鉄筋基準値-基準値2」画面の「主鉄筋曲げ長」の値を使用します。
    Lm=r+12φ
    ※「道路橋示方書・同解説Ⅳ下部構造編」平成29年3月版194ページの鉄筋の直角フック長(曲げ半径+12φ)で算出した値を初期値としています。
    ※たて壁主鉄筋に「定尺鉄筋」を使用する場合は、「2.土木構造物設計マニュアル」を使用します。
     
  2. 土木構造物設計マニュアル
    土木構造物設計マニュアル案128ページの曲げ長算出式(底版内の鉄筋長[直線長合計]が定着長を確保する長さ)で算出します。
    Lm=nxφ
    n={La-(t-d1-r)+r}/Φ……(nは整数、15以上)
    計算式の定着長(La)と曲げ半径(r)、t、d1は、以下を使用します。
    La……「定着長」 r……「主鉄筋曲げ半径」
    t……「底版厚」 d1……「底版かぶり」
     
  3. 定着長=直線長+円孤長
    以下の曲げ長算出式(底版内の鉄筋長(直線長+円孤長)が定着長を確保する長さ)で算出します。
    Lm=La-(t-d1)+ΔL……ΔL=2xr-2xrxπ/4(整数)
    計算式の定着長(La)と曲げ半径(r)、t、d1は、以下を使用します。
    La……「定着長」 r……「主鉄筋曲げ半径」
    t……「底版厚」 d1……「底版かぶり」

図2 主鉄筋曲げ長 図3 鉄筋の直角フック 図4 鉄筋の曲げ加工

たて壁主鉄筋の定尺鉄筋配置

たて壁主鉄筋に「定尺鉄筋」を使用する場合、たて壁主鉄筋、たて壁天端主鉄筋は、以下で配置します。


図5 たて壁主鉄筋、たて壁天端主鉄筋の定尺鉄筋配置

  1. たて壁主鉄筋の全長算出
    「底版下面かぶり位置」から「たて壁天端かぶり位置」までの寸法を算出し、その値に曲げ長を加え、全体の長さを求めます。
     
  2. たて壁主鉄筋の「500mm」単位での丸め込み
    「たて壁天端」から「たて壁主鉄筋天端」の距離が500mm以下になるように端数を切り捨て、500mm単位に丸めます。
     
  3. 継ぎ手を結ぶ鉄筋の寸法算出
    1、2で求めた「たて壁主鉄筋天端」と「たて壁天端」の距離が最も長い部分の寸法に、「定尺鉄筋の継ぎ手(La)」を加え、たて壁天端主鉄筋の寸法を求めます。たて壁天端主鉄筋は、この方法で算出した寸法の鉄筋のみで配筋します。

図6 定尺鉄筋配置の考え方

たて壁主鉄筋の定尺鉄筋配置と断面変化

たて壁主鉄筋の定尺鉄筋配置は、「土木構造物設計マニュアル案」に従った配置ですが、この「土木構造物設計マニュアル案」では、施工時の省力化のため、たて壁主鉄筋の断面変化はなくす事が推奨されています。 「擁壁の設計・3D配筋」の図面作成でもこの考え方に従い、たて壁主鉄筋に定尺鉄筋を使用した場合は、断面変化のない鉄筋配置としています。

その為、「擁壁の設計・3D配筋」の計算時に、たて壁主鉄筋に断面変化のある設計計算を行った場合でも、図面作成時には、断面変化のないたて壁主鉄筋を配筋します。 たて壁主鉄筋に断面変化のある配筋図を生成する場合には、たて壁主鉄筋に定尺鉄筋を使用しない設定とし、図面生成を行って下さい。


図7 たて壁主鉄筋の定尺鉄筋配置(断面変化廃止)

(Up&Coming '21 盛夏号掲載)
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