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小規模河川の氾濫推定計算

「小規模河川の氾濫推定図作成の手引き」に対応した氾濫推定図を作成、UC-win/Road連携による可視化にも対応

電子納品

●新規価格

297,000円(税抜270,000円)

●リリース2023年3月


はじめに

本製品は、「小規模河川の氾濫推定図作成の手引き 令和2年6月」(以降、手引き)を参考文献とした氾濫推定図を作成するプログラムです。地形データから河川情報を取得して不等流計算を行い、計算結果の水位図を地形図に反映して氾濫推定図を作成します。本製品の機能についてご紹介します。

計算機能

本製品は、3つの氾濫形態「流下型氾濫」、「貯留型氾濫」、「拡散型氾濫」のうち、「流下型氾濫」と「貯留型氾濫」に対応しています。「流下型氾濫」の判定材料として、手引きの図6-2(P.24)の壁立て計算水位の延伸線と地表面の交点、および10×川幅Bの範囲を平面図化する浸水予想範囲の表示機能を用意しています。不等流計算は、粗度係数の変化を考慮する平均流速公式レベル1aを使用します。川幅内、川幅の左外側、右外側ごとに粗度係数を指定することができます。貯留型氾濫では、不等流計算結果によるH-Q式を用いた流下能力の算定を行い、一番流下能力の低い断面を氾濫開始流量とした流量ハイドログラフから氾濫流量を計算します。


図1 浸水予想範囲図

操作概要

メイン画面のイメージを図2に示します。


図2 河心線、横断線を定義したメイン画面

初期入力として、3次元地形データの読み込みを行います。地形データはDWG、DXFファイルからの読み込み、または地理院タイルからの読み込みにより行います。地形データを平面図として表示した地図上に河心線を定義して、この河心線に沿って不等流の計算断面となる横断線を定義します。横断線は最初に断面幅、縦断ピッチ等を指定して一括作成し、その後、地図上のマウス操作で各横断面の配置、角度、長さを変更します。地形上の横断線から自動的に作成した不等流計算断面は、編集することも可能です。地形データから河川断面形状を正確に定義できない場合は、断面の2次元座標を直接修正します。また、簡易河床断面生成機能も用意しています。概略的な断面であれば、河床幅と河床高を入力して単純な河川断面を生成することが可能です。


図3 簡易河床断面生成画面

不等流計算では、計算条件として計算開始水位、流量を入力して不等流計算を行い、結果画面で確認を行います。計算条件や計算結果は、計算書に出力することも可能です。


図4 計算書出力設定画面

地形の3D表示

作成した計算モデルを確認するために、3D表示機能を用意しています。地形データ上に河川横断面や、不等流の計算水位等を3D描画しますので、データの妥当性を目視で確認することに役立ちます。
この画面では、以下の3Dモデルについて、座標値をリストに表示することができます。
・地形座標
・横断線座標
・窪地座標(貯留型氾濫時の貯留範囲外形)
リストで選択した行の座標が、3Dモデル図にハイライト表示されます。


図5 3D図表示画面

UC-win/Roadとの連携

氾濫推定図の情報を、弊社の製品「UC-win/Road」形式のファイルに保存することも可能です。保存したデータ(rdファイル)を「UC-win/Road」で読込み、Roadデータとして活用することができます。


図6 UC-win/Roadに読込んだ画面

氾濫推定図

氾濫推定図は、地形平面図上に浸水範囲を重ね合わせます。浸水範囲は手引きP.27の表示色に従って、浸水深に応じた配色で描画します。氾濫推定図は、画面上での確認や任意の用紙サイズへの出力、Excelファイルへの出力が可能です。


図7 氾濫推定図

電子データ保存

地理院地図に描画することが可能なKMLデータとHTMLファイルの出力を行うことが可能です。保存したKMLデータをブラウザに表示した地理院地図(https://maps.gsi.go.jp/)にドラッグ&ドロップすると、氾濫推定図が 描画されます。

図8 KMLデータによる氾濫推定図

保存したHTMLデータは、ブラウザに表示するとKMLデータを描画した地理院地図と必要事項の記述、凡例を表示したページを閲覧することができます。

最後に

本製品は「手引き」に沿って、不等流計算による氾濫推定を行います。簡易的な手法で計算しますが、水位の算出根拠について計算式に当てはめて確認できる利点があります。今後は、地形データで読み取れなかった河川断面情報を、簡単な方法でモデル化する等、より簡便な方法で氾濫推定図を作成する機能を検討して参ります。どうぞ、ご期待ください。

(Up&Coming '23 春の号掲載)

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