| 今回はMultiframeの平板解析機能を、建築物の床版を例にご紹介させていただきます。 
 また、解析した結果を「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説【日本建築学会】」(以下RC規準)での規準式および理論解と比較したいと思います。
 
 1.計算条件
 
 検討ケースは長辺方向の長さが異なる3種類の床版について検討を行います。Case1:短辺4m×長辺4m Ly/Lx=1.0
 Case2:短辺4m×長辺6m Ly/Lx=1.5
 Case3:短辺4m×長辺8m Ly/Lx=2.0
 共通条件:4辺固定、Fc24、床版厚200mm、床荷重8.5kN/m2
 2.解析モデル
 
 今回は3つのモデルを横に並べて1つのファイルで作成していきます。 
 a)各床版の四隅の節点を配置します。
 メニューバー>作成>節点の追加
 
 b)矩形パッチを配置します。
 メニューバー>作成>パッチの追加>矩形
 また、各床版はピン接合の線材要素で繋いでおきます。
 
 c)使用するコンクリートを材料に追加します。
 メニューバー>編集>材料>材料追加
 
 
 
        			
         			 
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                              | 図1 パッチ要素と線材要素の配置 |  
 
        			
         			 
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                              | 図2 コンクリート材料の追加 |  d)パッチ要素に材料、厚さを設定します。
 設定したいパッチを選択>右クリック>パッチ材料
 パッチ厚は200mmに設定。
 繋ぎ材はダミー部材となるため、適当なセクションを割り当てます。
 
 e)パッチ要素にメッシュ分割を割り当てます。
 設定したいパッチを選択>右クリック>パッチメッシュ
 一つのグリッドが200mmになるよう分割数を設定します。
 
 f)パッチの外周節点を固定支持とします。
 
 g)床荷重を設定します。
 全てのパッチを選択>右クリック>全体パッチ分布荷重
 入力単位に合わせ0.0085N/mm2と設定します。
 
 
        			
         			 
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                              | 図3 パッチ厚の設定 | 図4 パッチ要素のメッシュ分割(Case1) |  
 
        			
         			 3.解析結果
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                              | 図5 全体パッチ分布荷重 |  
 
 
        
          
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                              | 図6 短辺方向曲げモーメント図 |  
 
        
          
                              |  |  
                              | 図7 長辺方向曲げモーメント図 |  
 
        
          
                              |  |  
                              | 図8 短辺方向せん断力図 |  
 
        
          
                              |  |  
                              | 図9 長辺方向せん断力図 |  
 
        
          
                              |  |  
                              | 図10 長変位図 |  
 4.RC規準による解
 
 比較対象として、RC規準による規準式および付録に記載されている図表を用いて理論解による応力を算出します。
 RC規準の規準式
 短辺方向端部:Mx1=wx・Lx2/12 短辺方向中央:Mx2=wx・Lx2/18
 長辺方向端部:My1=wx・Lx2/24 長辺方向中央:My2=wx・Lx2/36
 wx=w・Ly4/(Lx4+Ly4)
 Lx:短辺有効スパン Ly:長辺有効スパン w:床荷重
 5.結果比較
 
 平板解析、理論解、RC規準の結果を比較すると、どの設計応力算出方法が安全側ということは一概には言えないことが分かります。RC規準にも、理論解と規準式には結果の過不足が発生しているが、全体としての耐力が与えられていればスラブの安全性は保たれると記載されています。但し、設計荷重や設計スパンをギリギリに設定していると床版の形状や設計方法によっては危険側の判断となることも考えられるので、注意が必要になります。 
 
                          
                            
                              | 表1 結果比較表 |  
                              | Case1 | Mx1 kN・m/m | Mx2 kN・m/m | My1 kN・m/m | My2 kN・m/m | Qx kN/m | Qy kN/m | δ mm |  
                              | 理論解 | 6.96 | 2.41 | 6.96 | 2.41 | 14.82 | 14.82 | 0.181 |  
                              | RC規準 | 5.67 | 3.78 | 2.83 | 1.89 | 14.88 | 14.88 | - |  
                              | 平板解析 | 6.89 | 2.90 | 6.89 | 2.90 | 13.55 | 13.55 | 0.183 | 
 
                          
                            
                              | Case2 | Mx1 kN・m/m | Mx2 kN・m/m | My1 kN・m/m | My2 kN・m/m | Qx kN/m | Qy kN/m | δ mm |  
                              | 理論解 | 10.25 | 4.60 | 7.72 | 1.47 | 17.41 | 15.74 | 0.316 |  
                              | RC規準 | 9.46 | 6.31 | 4.73 | 3.15 | 14.88 | 14.88 | - |  
                              | 平板解析 | 10.24 | 4.88 | 7.66 | 2.34 | 16.40 | 14.22 | 0.314 | 
 
                          
                            
                              | Case3 | Mx1 kN・m/m | Mx2 kN・m/m | My1 kN・m/m | My2 kN・m/m | Qx kN/m | Qy kN/m | δ mm |  
                              | 理論解 | 11.23 | 5.45 | 7.75 | 1.32 | 17.58 | 15.78 | 0.365 |  
                              | RC規準 | 10.67 | 7.11 | 5.33 | 3.56 | 14.88 | 14.88 | - |  
                              | 平板解析 | 11.24 | 5.41 | 7.53 | 2.01 | 16.66 | 13.95 | 0.355 | 
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