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 FORUM8 デザインフェスティバル 2010-3Days

概要 (Up&Coming 2011年1月号)
●主催 : 株式会社フォーラムエイト  ●日時 : 2010年11月17日〜 19日  ●本会場 : 目黒雅叙園
●後援 : CG- ARTS 協会((財) 画像情報教育振興協会)、「建通新聞」(建通新聞社)、月刊「橋梁&都市PROJECT」(橋梁編纂委員会)
●協力 : 「日経コンストラクション」(日経BP社)
多様な先進ソリューションと新たな可能性が展開
設立24(3×8)周年を期し、過去最大級の規模で内外から


 フォーラムエイトは、2010年11月17・18・19日の3日間にわたって「FORUM8デザインフェスティバル2010-3Days」を開催いたしました。
 前回に引き続き、それまで複数回に分けて実施してきた「デザインコンファランス」「UC-win/Road協議会」「国際VRシンポジウム」「3D・VRシミュレーションコンテスト」を統合。それぞれの分野をリードする国内外の研究者や専門家、最新の技術・ツールを活用した先進ソリューションの関係者による講演および発表など多彩な内容を盛り込んだ「デザインフェスティバル」を構成しています。
  併せて、当社設立24(=3×8)周年という記念すべき年にあたり、会場も目黒雅叙園に移して実施。過去最大級の規模を誇るイベントへと発展してきています。

▲FORUM8 代表取締役社長 伊藤裕二

フェスティバル全体の構成と各イベントの位置づけ
 今回のデザインフェスティバルは、Day1が<土木・解析><建築・BIM><水工>の各セッションから成る「第4回デザインコンファランス」、Day2が「第11回UCwin/Road協議会」および「第4回国際VRシンポジウム」から成る「VRコンファランス」、Day3が「第9回 3D・VRシミュレーションコンテスト」という構成です。
 そのうち、今回で第4回目を迎えた「デザインコンファランス」は、3次元(3D)動的非線形解析「UC-win/FRAME(3D)」のリリース(2002年)を受け、2003年10月に発足した「UC-win/FRAME(3D)協議会」をベースとするもの。2007年からは、これを拡張するとともに、「UC-win/UC-1ユーザ協議会」と併催する形で現行の「デザインコンファランス」が形成されています。
 また、「UC-win/Road協議会」は2000年、3DリアルタイムVR(バーチャルリアリティ)「UC-win/Road」のリリースを機に開催。2009年の3Dラージスケール・マルチVR「VR-StudioTM」リリースを受けて「VR-StudioTM協議会」も兼ねる形となり、今回で第11回目を迎えます。

 3D・VRモデリングの新たな針路を探るべく、建築・建設系研究者による世界的ネットワーク「World8」を組織化したのが2007年。その研究成果を発表する場として「国際VRシンポジウム」は同年スタートしています。第4回目となる今回も昨年に引き続き、一部メンバーは入れ替わったものの、発足当初から倍となる規模に拡大した「World16」による研究成果やアイディアが発表・議論されています。
 さらに、UC-win/Roadの「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」受賞(2002年)を機に創設されたのが「3D・VRシミュレーションコンテスト」。第9回目となる今回も、斬新な着想や新技術、あるいは国際色を反映した作品が紹介されています。
 同デザインフェスティバルを構成する各イベントの概要およびポイントを以下に紹介していきます。

▲ホワイエではDS、RoboCar(R)展示のほか書籍の販売も行われ終日多くの人で賑わった

[Day1]  ■第4回 デザインコンファランス
「土木・解析」、「建築・BIM」、「水工」の3つのセッション
各テーマ毎に専門分野の研究者やユーザによる特別講演で最先端の技術を紹介


「FORUM8 デザインフェスティバル2010-3Days」の初日は、当社社長伊藤裕二による主催者挨拶を受け、
「第4回 デザインコンファランス」が開始されました。

Day1は特別講演「土木の最新最先端技術と今後の展望」で幕開け
 同デザインコンファランスは、まずプレナリー・セッションとして、(株)長大構造事業本部耐震技術部部長の矢部正明氏が「土木の最新最先端技術と今後の展望〜設計クライテリアと各構造要素を対象とした大型模型実験およびE-Defenseを利用した検証例〜」と題し特別講演。初めに性能設計の実態から、道路橋示方書X耐震設計編において耐震性能を確保するため耐震設計上の許容値(設計クライテリア)が定量的に決められている経緯、性能設計の実現と設計クライテリアの設定などについて解説。次いで、道路橋を構成する各構造要素(鉄筋コンクリート橋脚、単柱・ラーメン鋼製橋脚、基礎構造、免震支承、ゴム製伸縮装置、落橋防止構造)に対する実大模型実験、E-Defenseを利用した実験(現行の道路橋示方書で設計された鉄筋コンクリート橋脚、旧基準で設計された曲げ破壊型の損傷が生じる鉄筋コンクリート橋脚、次世代型RC橋脚)を通じた設計クライテリアの検証について説明した後、今後のE-Defense利用による実験への期待に触れます。
▲株式会社長大 構造事業本部 耐震技術部
部長 矢部 正明 氏

 これを受けたプレゼンテーションは、当社担当者による「E-Defenseブラインド解析コンペレポート〜UC-win/FRAME(3D)・Engineer's StudioTM最新機能紹介〜」。前半は、当社が東京都市大学との合同チームで参加し、破壊解析部門で優勝した(独)防災科学研究所主催「E-ディフェンスを用いたC1-6実験事前解析コンテスト」の概要、そこでの解析手法および解析モデルの概要、解析のポイント、解析結果と実験結果との比較、これらを踏まえた考察について説明。後半は、UC-win/FRAME(3D)およびEngineer’s StudioTMの最新機能、今後の開発計画を紹介。さらに、最近参加した米国の「Concrete Column Blind Prediction Contest 2010」などにも言及しています。
 午後1時からは、<土木・解析><建築・BIM><水工>の3テーマに分かれ、4時間半におよぶ各技術セッションが繰り広げられました。
 

▲矢部氏の講演を行った目黒雅叙園の大ホール・舞扇はほぼ満席の状態であった

 □ 土木・解析セッション(Stream-1)

 午後からの同セッションは、「数値シミュレーションで遊ぼう!〜パラスタで見えてくる構造解析〜」と題した東京都市大学総合研究所地震リスクマネジメント研究室の吉川弘道教授による特別講演でスタートしました。まず、構造解析/耐震設計の商用ソフトの進展、高度パッケージソフトの活用による効率化メリットを説明。数値シミュレーションによる具体的な解析例を示した上で、解析結果の表作成や図化が重要になると言及。次いで、パラメトリックスタディの各種活用例について解説。 最後に、新書「数値シミュレーションで考える構造解析」を紹介するとともに、これら高度化した商用ソフトや計算機環境を駆使し、日常の設計業務に留まらないスーパーエンジニアへの成長に期待を述べます。

▲東京都市大学 総合研究所地震リスクマネジメント研究室 教授 吉川 弘道 氏

 続く特別講演は、応用技術(株)解析事業部課長の金井眞氏による「FRAME3Dを用いた河川構造物の耐震性能照査解析事例」。国土交通省が2007年3月に策定した河川構造物の耐震性能照査指針(案)・同解説での「レベル2地震動」および「ある程度の損傷を許容」との記述への注目、それに対応した非線形解析、梁要素によるモデル化、M-φ特性を用いた解析について説明。これを受け、河川構造物の照査に当たってのUC-win/FRAME(3D)の特徴と注意点を挙げ、さらにその効果を活かして実際に樋門・水門、揚排水機場に対して行った解析事例を詳述。同指針(案)および河川構造物に対する見方と課題、そこでのUC-win/FRAME(3D)のメリットと改善要望、同社での利用上の工夫へと話を展開しました。

▲応用技術株式会社 解析事業部 課長 金井 眞 氏

 セッション後半のオープニングは、(株)三祐コンサルタンツ総合技術・アセットマネジメント部副参事の堀治啓氏による特別講演「Engineer's StudioTM、UWLCを用いた大規模排水機場の応答変位法による耐震照査法」。既設の排水機場に対し、新設構造物を対象とした現行の設計基準に代わり、本来構造物が持ち得る最大限の耐震性能を正確に把握、コスト縮減に繋がる耐震対策を提案します。まず大規模排水機場の構造や建設地の特徴、照査手法の体系を整理。現実的な地中構造物の耐震照査法は応答変位法であるとし、地盤の地動解析にはUWLCによる1次元有効応力法、構造解析にはEngineer's StudioTMによる3次元弾塑性静的解析を構造解析手法として設定。構造解析の体系、非線形・弾塑性を踏まえた耐震照査体系の発展的概念を示した上で、具体的な解析事例、解析結果、それらを通じた自身の評価を紹介。新たなアプローチの可能性と課題を語ります。

▲株式会社三祐コンサルタンツ 総合技術アセットマネジメント部 副参事 堀 治啓 氏

 続く特別講演は、群馬大学大学院の鵜飼恵三教授による「地震地すべり研究の最前線―地震時斜面安定数値解析と3DVRシミュレーション」。前半は、鵜飼 教授が新潟県中越地震(2004年)を例にUWLCを使って行った液状化により崩壊したメカニズムの調査と地震地すべり対策工の解析、中国(ブン川地震)とインドネシア(Cikangkareng)で発生した岩屑なだれを例にそのメカニズムの調査について解説。後半は、同大OBで日本のコンサルタント会社のインドネシア支社に勤務するAndhitiawarman Nugraha 氏が3D・VRによる岩屑なだれの再現アニメーションの制作プロセスおよびその成果を紹介しました。

▲群馬大学大学院 教授 鵜飼 恵三 氏

 さらに、(株)ブルドジオテクノ代表取締役の花田俊弘氏は「軟弱地盤上の斜面崩壊地に設置する擁壁のFEM安定解析」と題して特別講演。豪雨により斜面崩壊 した軟岩地盤上の現場に計画された擁壁に対し、GeoFEASを用いて行った地盤解析事例を紹介。作業の具体的な背景やFEM解析の手順、解析結果の利用 とそこでの課題、GeoFEASへの見方を説明します。

▲株式会社ブルドジオテクノ 代表取締役 花田 俊弘 氏

 同セッションの最後は、当社担当者によるプレゼンテーション「地盤解析シリーズの最新機能と新盛土工指針対応について」。まず、道路土工要綱の改訂 (2009年度)を受けて2010年度に改訂された盛土工指針のポイント、それによる浸透流FEM解析需要の高まり、VGFlow2Dの機能および当社地 盤解析シリーズにおける位置づけを解説。次いで、新版で搭載・強化されたGeoFEAS 3D Ver.2 の機能、新規開発した「落石シミュレーション」の製品構成や機能、UC-win/Roadと連携したその解析結果の3次元可視化などについて説明しまし た。

 □ 建築・BIMセッション(Stream-2)

エレベーターを用いた最新の3 次元避難解析研究などを説明。EXODUSによる講演会場の避難モデルも

 土木・解析セッションと並行して、午後から「華うたげ」を会場として行われた建築・BIMセッションは、英国グリニッジ大学 FSEG(Fire Safety Engineering Group)教授であり、高精度な避難モデリングソフトEXODUSと火災モデリングソフトSMARTFIREを開発したエド・ガレア氏による特別講演で幕を開けました。
 
 ガレア氏は、専門分野である火災安全についての研究成果と、避難モデリング分野における最新の開発について、空港内や病院など、さまざまな事例を引いて説明。事例中では、避難サインが人の避難行動に与える細かい影響などのシミュレーションについても紹介しています。また、2011年リリース予定のEXODUSの新バージョンについて、エスカレーターのモデルを含む建物の各階接続機能や、空間概念の部屋単位での単純化と連続のノードモデルを扱いこれらを混合してモデル化・解析を行う点などにも言及。FSEGで行っている3次元解析の研究についても、エレベーターのモデル化や、避難行動におけるエレベーター利用実態のリサーチに触れ、さまざまな避難方法の検証について詳述しました。

 最後に、講演会場となった目黒雅叙園「華うたげ」の避難モデルを作成したものを紹介して講演を終えています。 

▲英国グリニッジ大学 FSEG 教授 Ed.Galea 氏

建築のデザイン性を損なわない避難誘導用蓄光テープの使用方法をVRで検証

 続いて行われた特別講演は、NPO法人サインセンター理事長の太田幸夫氏による「避難誘導システム SWGS-蓄光式」。太田氏は30年に渡って、災害時における避難誘導システムの国際・国内規格制定に関わってきており、非常口サインが決定された経緯や、広域避難・津波避難などさまざまな種類のサイン、またこれらに関連する各種実験について紹介。「避難サインは一目して誰にでも分かるようなピクトグラムで標準化することが重要」と述べます。

 また、蓄光テープを用いた避難誘導については、「米国基準となっている10センチもの幅のテープでは建物内のデザインが損なわれる」とし、建築・空間のデザインを損なわないものを提唱。VRを活用して検証を行うことで、2.5〜5cm程度のより細い幅の蓄光テープであれば、デザイン性を維持すると同時に避難誘導の役割を十分果たせるということを証明しました。講演の最後には、細い蓄光テープによる避難誘導のプロトタイプを、UC-win/Roadで作成したVRデータのムービーで表現したものを紹介。建築デザインと避難誘導機能の両立が可能となっていることが、わかりやすく可視化されています。

▲NPO 法人サインセンター 理事長 太田幸夫 氏
■VR(UC-win/Road)による新サインシステムの表現  
▲蓄光ライン(5mm)のVRシミュレーション 
▲蓄光ライン(100mm)のVRシミュレーション

普及が進むBIM関連分野の動向や適用事例を国内外に渡って幅広く紹介

 本セッションの後半は、より一層の普及が期待されるBIM(BuildingInformation Modeling)の手法を用いた最先端技術や適用事例について紹介する内容となりました。

 まず最初に、IAI日本代表理事の山下純一氏による「Build Live Tokyo 2010(BLT2010)とBIM最新情報」と題した講演でスタート。IAIの活動内容の紹介から始まり、BIMの概念やBIMをテーマとした架空の設計コンペティション「BuildLive Tokyo」、各国のBIMガイドラインの整備状況などの紹介を通して、BIMが建設プロセスに及ぼす影響について説明しました。その中で、世界各国で発注者によるBIM/IFC要求の傾向があることに言及し、一例として、オスロ(デンマーク)の国立美術館設計のオープンコンペにおいてIFCによるBIMデータの形での提出が義務づけられ、1300件近くもの応募があったことについても触れました。

 その他の各国事例としては、アメリカの陸軍工兵隊におけるBIM実施計画にも言及しました。これは、National BIMStandard(NBIMS)を制定し、2012年までの完全実施を目指すもので、このNBIMSを実現するために進められている「Cobie プロジェクト」という興味深い事例も紹介されました。

 Cobieプロジェクトは、BIMデータを発注者に提出してFM管理とのデータ連携を行うもので、従来は紙ベースで行われていた情報伝達を、BIMデータによるデジタル情報の再利用に替えることで、維持管理段階での効率化を目指すものであると説明。このように、講演全体を通して、日本のみならず世界的な動向に至るまで、BIMに関する幅広い情報が提供されました。
▲IAI 日本 代表理事 山下純一氏
▲熱心に聴講する参加者。今後の建築・BIMの展望について活発な質疑応答が行われました

BuildLiveTokyo 2010参加報告と併せてBIM関連ソフトの最新機能を解説

 山下氏の講演の後には、当社担当者によるBIM関連のプレゼンテーションが続きました。

 まずは、2010年11月に開催され、フォーラムエイトも「TeamF8W16」として参加した「BuildLiveTokyo 2010」についての報告。これは、先の山下氏の講演の中でも紹介があったように、日本IAI主催のBIMによる設計コンペティションです。AllplanをBIMのプラットフォームとし、フォーラムエイトのさまざまな製品をデータ連携させて計画検討やシミュレーションを行った様子や、計画の各段階のVRデータをUC-win/Road for SaaSのクラウドサービスで公開し、誰でも容易に合意形成のプロセスに参加できるようにした試みなどが紹介されました。

 また、BuildLiveTokyo 2010でも建築モデルの群集シミュレーションで使用された避難・火災モデリングソフトEXODUS/SMARTFIREの事例紹介も併せて行われました。

 続いては、BIM統合ソリューションAllplanの最新機能解説および、建築エネルギー解析ソフトDesign Builderの機能紹介。Allplanについては、木造建築への対応や数量計算機能の改善、「橋脚の設計」など当社のUC-1シリーズCAD統合版製品との連携による、より効率的な3次元配筋シミュレーションなどについて触れられました。

 同セッションの最後は、新製品「地下車庫の計算」や「建築杭基礎の設計計算」の新バージョンなど、当社社員によるUC-1建築設計ソリューションの最新情報紹介となりました。

▲BuildLiveTokyo2010に出品した作品のVRデータ

 □ 水工セッション(Stream-3)
都市域全般での水のあり方について議論できる有用な機会

 Day1の水工セッションは、xpswmmユーザー会(主催:SWMMユーザー会、後援:NPO法人 水環境創生クラブ、FORUM8、XP Software社)を兼ねて開催されており、今回で3回目を迎えました。冒頭では、xpswmmユーザー会会長である広島大学大学院の河原能久教授が開会の挨拶を行い、昨今のゲリラ豪雨に伴う水量や水質の問題が多く発現するようになっていることから、都市域全般での水のあり方について議論できるこのセッションが有用な機会であると述べました。

 河原氏は、開会挨拶に続いて「近年の豪雨災害と今後の氾濫解析技術の開発」をテーマに講演。豪雨災害の種類や規模の要因、豪雨の発生機構について解説し、最近の豪雨災害の特徴としてゲリラ豪雨による被害例を取り上げました。また、今後の水害軽減対策として、堤防・排水施設やダム、雨水貯留施設などのハード面と、災害・避難情報の発信体制やハザードマップの整備などのソフト面という2つの側面について解説。氾濫解析技術の課題として、都市構造の表現における空地率と通過率の考え方や、LPデータの活用と留意点についても述べました。


▲広島大学大学院 教授 河原能久氏


 次いで、東京大学大学院の古米弘明教授による特別講演は、「都市域浸水解析と水質調査結果とを組み合わせた微生物汚染の評価」。都市における水管理の5つの視点として、治水、利水、親水、水域生態系保全、水を介した熱管理について解説しました。また、xpswmmの活用事例としてベトナム・ハノイ市街地を対象に行った都市浸水解析を取り上げ、浸水実績とシミュレーション結果とが整合していることも説明しています。


▲東京大学大学院 教授 古米 弘明 氏


河川や下水道など専門分野の異なる講演者が一堂に会したパネルディスカッション

 セッション後半は、芝浦工業大学の守田優教授による特別講演「都市雨水排水と洪水リスクマネジメント」から始まりました。守田氏は、防災・減災・洪水リスクマネジメント(リスク管理)の概念を示し、流出解析モデルの歴史として、現在の高精度の解析理論が確立されるまでのモデルの歴史的推移について言及。リスクマネジメントの定義・枠組みやリスクアセスメントの応用などへと展開しています。また、雨水貯留施設と雨水浸透施設を対象として行った費用-便益分析についても説明しました。


▲芝浦工業大学 教授 守田 優 氏

 続いて行われたプレゼンテーションは、XP Software社のアシス・デイ氏による「1D/2D統合解析における課題」。1次元解析理論、2次元解析理論、1D/2D統合解析理論のそれぞれにおいてモデル化を行う際の課題について詳述しました。 


▲XP Software社 AshisDey氏

 最後は、NPO法人 水環境創生クラブの石川高輝氏による特別講演「流出解析モデルの活用に向けて」と併せてパネルディスカッションが実施されました。本セッションの講演者でもある河原氏、古米氏、守田氏、デイ氏がパネラーとして参加し、「有効降雨の捉え方(有効降雨と流出係数)」、「降雨規模と活用モデル(1Dモデルと1D/2Dモデル)」、「適用範囲の拡大に向けて(雨水整備と浸水被害)」「、流出解析モデルの活用に向けて(雨水対策とモデル活用)」の4つをテーマとして展開。石川氏の司会のもと、それぞれ河川や下水道などの異なる専門分野の立場から、聴講席の一般聴講者の意見も交えつつ、活発な意見交換が行われました。

▲NPO法人 水環境創生クラブ 石川 高輝 氏

▲「流出解析モデルの活用に向けて」をテーマに行われたパネルディスカッションの様子


[Day2]  ■第11回 国際VRコンファランス

Day2は「第11回UC-win/Road協議会」と「第4回国際VRシンポジウム」を開催
当社開発担当者および技術者による「技術サポートセッション」も


 2日目は、第11回UC-win/Road協議会と第4回国際VRシンポジウムが、大会場を分けてそれぞれ午前中からスタート。UC-win/Road協議会は、メインセッションと午後からのドライビングシミュレータセッションの2つの流れで進行しました。また、別会場に設置された技術サポートセッションでは、当社の開発・技術担当者が常駐し、UC-1、UC-winおよびBIM&VRの各ソリューションについて、弊社製品ユーザおよび来場者の皆様からのさまざまな要望に対応しました。

 □ メインセッション

 この日最初に行われたのは、当社担当者4人による「UC-win/Road Ver.5/VRStudio(R)開発の現状と今後の展開」と題したプレゼンテーション。まず、UC-win/Road Ver.5の新機能と併せて、システム適用事例や、経産省の研究開発事業として採択された「クラウドコンピューティングによる合意形成支援」プロジェクトの内容、3Dスキャン・点群モデリング・3D模型出力などの新サービスについて紹介しました。さらに、Ver.6への展開として、クラウドSaaS機能の拡張、歩行者群衆移動、FBXアニメーション、スライド式プレゼンテーション機能などの開発予定にも言及。最後に、VR-Studio(R) Ver.1.3の新機能および開発状況についても、交差点機能や交通機能など最新版のデモを交えながら説明が行われました。


さまざまな分野の専門家がUC-win/RoadやVRの活用事例を紹介

 午後からの特別講演のトップは、BMIA社(フランス)の技術責任者であり、15年以上に渡りトンネルの監視・制御システムのコンサルタントを務めてきたフィリップ・マルソー氏。「道路トンネル管理者トレーニングのための3Dシミュレーションの活用」をテーマとして、監視システムSCADAとUC-win/Roadとの連携によるメリットなどについて説明しました。「このシステムの初期版はゲームエンジンを利用していましたが、表現の美しさの一方で柔軟性に欠けるため、UC-win/Roadを採用することになりました」(マルソー氏) 。今後はプラグインなどによるシステム拡張を予定しており、トンネル管理者のためのトータルなシステムをフランス国内外で展開していく予定であると述べています。


▲BMIA テクニカルマネージャ Philippe Marsaud氏

 続いては、韓国交通研究院(KOTI)教授のイー・ドンミン氏による「交通利用者側面を考慮した交通工学研究」の特別講演が行われました。同氏は、ドライバーの認知と交通システムについて触れ、ユーザ、乗り物、環境の3要因が連動していることを説明。ドライバーの認知の計測には、認知が明確化され瞬時に判断・行動に結びつくVRが適しているとし、この手法でさらにドライバーの思考のプロセスを解明・研究していくことを述べました。また、UCwin/Roadの実際の活用事例を動画で紹介し、ドライバ認知解明におけるUC-win/Roadの有効性についても触れました。


▲韓国交通研究院(KOTI)  教授 Lee Dongmin氏

 「建築環境解析とエネルギー:BIMと可視化技術における事例」をテーマとする特別講演を行った英国ティーズサイド大学教授 ナシュワン・ダウッド氏は、建物環境におけるICT(BIM、統合データベース、可視化技術、GIS)活用について紹介。既存の建築物にも適用し、20%程度のCO2削減を目指していると述べました。

▲英国ティーズサイド大学 教授 Nashwan Dawood氏

 セッション後半のトップは、米国交通運輸研究会議(TRB)交通ビジュアリゼーション委員長のマイク・マノーレ氏による特別講演、「米国における3Dビジュアリゼーション市場拡大」。長年に渡って土木設計の可視化に取り組んできた同氏は、温度や振動などのセンサを備えたインテリジェントブリッジを紹介。橋梁の構造的な変位などの可視化も含め、従来の手法に代わるものとしてビジュアリゼーションの有効性を説きました。

▲米国交通運輸研究会議 交通ビジュアリゼーション委員長 Michael Manore氏

 次いで、三菱電機株式会社電子システム事業本部RFID・LBSシステムエンジニアリングセンター LBSプロジェクト担当部長の西川啓一氏による、「維持管理のためのMMS計測データを用いたモデル化」と題した特別講演。点群計測による「うみほたる」のVRデータや、標識、マンホールなどを検出し道路台帳化するシステムについて紹介しました。また、地中レーダとMMSとの連携により、道路内空洞や補修必要箇所の特定が可能であり、地中の通信ケーブルの位置特定、トンネル補修点検などに活用できることも説明しました。

▲三菱電機(株) 電子システム事業本部 RFID・LBS システムエンジニアリングセンターLBS 担当部長 西川 啓一 氏

 最後は、西川氏の講演内容を受けて、当社社員によるUC-win/Road点群プラグインおよび12DModelプラグインシステムの機能説明およびデモが実施されました。


 □ ドライビングシミュレータセッション

 DSセッション最初の特別講演は、名城大学の山田宗男准教授による「ドライバーの状態検知におけるドライビングシミュレータの活用」。交通事故とその主原因である運転能力(認知・判断・操作)について、意識低下時の検知および従来の覚醒方法と、新たに研究中である「香り提示」による覚醒方法について解説し、検証実験結果の報告がされました。
 従来の研究では振動やガム・コーヒー、ブザー音などが用いられていましたが、今回は「運転操作に干渉しにくい香りを提示することで嗅覚刺激に着目した」と山田氏は述べます。また、高齢ドライバーの運転能力測定システムについて、有効視野と認知・判断力の2つの観点による実験結果についても説明しました。

▲名城大学 理工学部情報工学科 山本・山田(宗)・中野研究室 准教授 山田 宗男 氏

 次に、「ドライビング技術のトレーニングのためのDS機能と車輌ダイナミクスの忠実な要求定義の研究」と題して、米国VSAT社ウィリアム・エル・カーティス氏による特別講演が行われました。同氏は米国空軍で37年間に渡ってトレーニングシステムの開発に従事したのち、現在はVSAT社で軍隊からドライバーまで広範な分野のトレーニング用仮想シミュレータに携わっており、その豊富な経験にもとづいてトレーニング理論・手法についての説明がなされました。「トレーニング結果に年齢は関係なく、それまでの経験値(運転歴)が関係している」と述べ、運転技術向上おける、大量のトレーニングやサバイバル技術を身につけることの重要性を強調しました。また、UC-win/Road Ver.5の高品質車両ダイナミクスのトレーニング用シミュレータにおける有用性についても触れました。

▲米国VSAT 開発担当取締役 副社長 William L. Curtice 氏

 カーティス氏の講演内容に続く形で、当社担当社員が「UC-win/Road Ver.5 DrivingSim新機能」のプレゼンテーションを行いました。車輌運動モデルのエンジン、サスペンション機能のほか、CarSimとの連携により車両の特性を詳細に設定し、よりリアルなシミュレーションが行えることについて触れました。また、音響システムや各種シミュレータ、クラスター機能のほかに、シナリオ機能やECOドライブなどの紹介も行いました。

 セッション後半は、カーロボティクスプラットフォームRoboCar(R)の開発をテーマとした講演とプレゼンテーションが続けて2つ行われました。特別講演は、株式会社ゼットエムピーの今西暢子氏による「EV・次世代モビリティの研究開発を加速するRoboCar(R)とVR」。実車サイズの超小型電気自動車RoboCar(R)MicroEVのほか、9軸モーションセンサやCO2センサ、ワイヤレス心電計などの特徴と機能を紹介。さらに、スケールモデルカーの使用例と導入実績について紹介し、RoboCar(R)とVRソリューションとの連携に至ったニーズおよび背景について説明しました。

▲株式会社ZMP 新規事業開発担当 今西 暢子 氏

 続いてのプレゼンテーションでは、当社開発担当社員が、MindSet&VRやAURELO(拡張現実を利用した3次元位置情報特定システム)を利用したRoboCar(R)および、UC-win/Road for RoboCar(R)の開発状況と、今後の展開について紹介しました。


第4回 国際VRシンポジウム(The 4th International VR Symposium)
「VRが切り開くICTイノベーション」―World16、2010年の研究成果発表


 第4回 国際VRシンポジウムは、World 16のメンバーによる発表に先駆け、World 8発足(2007年)当初からその活動をリードするアリゾナ州立大学計算・情報・意思決定工学部プリズム研究所の小林佳弘研究員(FORUM8 AZ代表)によるWorld 16の目標や使命、これまでの活動の流れ、今の回メンバーに関する紹介で始まりました。

 □ World 16発表

 最初の発表は、ウィンストン・セーラム州立大学(米国)美術学科のトーマス・タッカー・アシスタントプロフェッサーによる「ドバイ歴史地区(Al Bastakiya)の再構築」。これは、ザーイド大学(UAE)ドバイ校のロナルド・ホーカー准教授らと連携し、参加した各校の学生とともにアル・バスタキヤ文化街区のVRによる再現を目指したもの。建物、人、動物、船などを伝統に即してモデル化、アニメーション化したプロセスを説明しています。
▲ザイード大学/UAE ThoamsTucker氏

 マギル大学(カナダ)建築学科長のマイケル・ジェムトラッド准教授はヘザー・ブレイデン講師らと共同で取り組む「大規模都市プロジェクトにおける市民参画」について発表。モントリオール市内の鉄道・高速道路・運河などのインフラが集まるエリアを市民とともにデザインしようというプロジェクトの過程でUC-win/Roadを活用し、多様な利害関係者の合意形成を得るための環境モデル構築を目指す活動とこれまでの成果を紹介しました。
▲マギル大学/カナダ Michael Jemtrud氏

 バーレーン大学工学部建設学科のワーイル・アブデルハミード・アシスタントプロフェッサーは自身らの共同研究「プロジェクトマネジメントにおけるVR適用:スケジューリングとレポーティング」を発表。初めにPMの概念と関連するツールについて概説した後、スケジューリングやレポーティングにVRを利用したプロジェクトのシミュレーションを示し、GISとの対比、VRのメリットや可能性、そこでの課題に言及します。
▲バーレーン大学/バーレーン Wael Abdelhameed氏

 午前最後の発表は、大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻環境設計情報学領域の福田知弘准教授による「都市デザイン研究における3DレーザスキャナデータからVRデータへの最適化システム」。これは、3Dレーザスキャナを使って模型からデジタルデータを作成しようというもの。その際、データ量を小さくしながら面やエッジをきれいに表現するため開発したシステムについて解説。その成果をUC-win/Roadと連携したデモを示します。
▲大阪大学/日本 福田 知弘氏

午後の部は、香港中文大学建築学院のマーク・オーレル・シナーベル准教授の発表「触れられないものに触る:没入型仮想デザインスタジオ」で始まりました。デザインについてコミュニケーションするアプローチを模索する中で、VRを活用した手法に着目。その概要、そこから浮かび上がった可能性、今後の展開に向けた考え方や課題などを述べます。

▲ホンコン大学/香港 Marc Aurel Schnabel氏

 続くジョージア工科大学建築学部のマテゥー・スウォーツ研究員の発表は「ビジュアル空間解析」。まず空間認識のメカニズムとそれに基づく各種テクニックについて解説。そうした研究の一環として、UCwin/Road開発キットSDKを利用して開発したモデル例を紹介。さらに、建設プロセスに応用し安全性の分析などへの展開を図る考えと言います。

▲ジョージア工科大学/アメリカ Matthew Swarts氏

 ピサ大学(イタリア)土木工学科のパウロ・フィアマ・アシスタントプロフェッサーの発表は「イタリアの歴史的市街地における駐車場問題」。歴史的市街地で進む開発プロジェクトに対し、3Dモデルを作成。特に駐車場建設に焦点を当て、人の流れとそれによる交通への影響をシミュレーション。欧州に共通する課題に同手法を敷衍していく旨を語ります。

▲ピサ大学/イタリア Paolo Fiamma氏

 カリフォルニア大学サンタバーバラ校メディア・アート技術研究大学院プログラムのマーコス・ノヴァック教授は「情報分野ナビゲーション」と題し発表。アートと科学の融合に関する自身の研究の一環として、物理的な脳と精神的な脳の関係、そこから派生した多様なアートについて解説。さらに、UC-win/Roadとの連携したナビへの展開を描きます。

▲カリフォルニア州立大学サンタバーバラ校/アメリカ Marcos Novak氏

 午後の部前半最後の発表は、ニュージャージー工科大学建築デザイン学部の楢原太郎助教授による「インタラクティブ・デバイス開発」。リアルタイムなインタラクションを可能にするプラグイン開発に至る昨年までの取り組みを振り返った後、可視化から能動的なデザインツールへの活用という新たな観点を説明。人の行動パターンに障害物や直感のもたらす影響を可視化し、それをUC-win/Road上で3D表現した例を紹介。人間行動モデルやインターフェース・インタラクションに関する今後の課題にも触れます。

▲ニュージャージー工科大学/アメリカ 楢原 太郎氏

 休憩を挟んだ最初の発表は、ロバートゴードン大学デザインテクノロジー学部建築構築環境学科のアマール・ベナージ講師の「ロバートゴードン大学の新駐車場とディー橋混雑緩和」。同大キャンパスの移転に伴い、交通・環境面を考慮して駐車場や歩道橋の設置を提案。ディー橋周辺の混雑現状に対し、完成後の影響をVRでシミュレーションしています。

▲ロバートゴードン大学/英国 Amar Bennadji氏

 続くハーバード大学大学院デザインスクールのコスタス・タージディス准教授の発表は「パーソナル・インフォマティクス:ライフパス」。道路ネットワークで自らの感性により選択したパス(道)を描くという考え方を説明。音やシナリオ、VR画像など環境による影響に触れ、そこに描かれるパスこそ自分自身であり、要はこうした情報をどう世界に移していくかだと述べます。

▲ハーバード大学/アメリカ Kostas Terzidis氏

 「World 16」発表の最後は、代表の小林佳弘氏が「スクリプト不要の都市デザイン生成」を発表。これまでの研究の流れ、「World 16」を通じ開発してきた成果について解説。さらに短時間で自動的に都市モデルを発生するニーズに対応、その一端を示して説明しました。

▲アリゾナ州立大学プリズム研究所 FORUM8AZ 代表小林 佳宏氏

 すべての発表を終えた後、「World 16」の研究成果に対するアカデミー奨励賞がトーマス・タッカー氏、マテゥー・スウォーツ氏、楢原太郎氏、アマール・ベナージ氏の皆さんに贈られました。



[Day3]  ■第9回 3D・VRシミュレーションコンテスト

進むVR活用の多様化、高度化、国際化

 フォーラムエイトは「FORUM8デザインフェスティバル2010-3Days」最終日の2010年11月19日、第9回「3D・VRシミュレーションコンテスト」を目黒雅叙園の大ホール舞扇で開催いたしました。
 UC-win/Roadのソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー受賞(2002年)を機に創設した本コンテストも9回目を迎えるとともにフォーラムエイトの設立3×8=24周年にもあたり、華やかな会場で実施いたしました。UC-win/RoadもVer.5がリリースされ、VR活用の成熟度が高まるとともに新バージョンの新機能を活用した発表に高い評価が集まりました。

▲会場・目黒雅叙園 舞扇 2010年11月19日

 本コンテストに当たっては前回に引き続き、傘木宏夫氏(NPO法人地域づくり工房)・関文夫氏(大成建設株式会社)・喜多河信介氏(八千代エンジニヤリング株式会社)の3氏に加え、小林佳宏氏(アリゾナ州立大学)に選考委員をお願いしました。本選に先立ち、11月5日に委員4氏による選考会を実施。多数の応募作品の中から上位11作品(国内から6作品、海外から5作品)がノミネートされました。

▲ノミネートの発表模様(2010年11月2日)

 コンテスト当日は、米国Google社のエバンゲリスト、エイダン・チョプラ氏による特別招待講演「GoogleとSketchUp最新開発情報」で幕を開けました。続いて、ノミネート作品の発表者がそれぞれ15分のプレゼンテーションを行い、それに基づくコンテスト参加者および選考委員の投票により、各賞受賞作品が決定されました。
 最終選考結果の発表に際し、選考委員を代表して関氏が講評。各審査員から特別賞が発表され講評をいただきました。今回より、審査員特別賞に開発賞が追加され、小林佳宏氏から発表されました。

▲米国Google社 エバンゲリスト Aidan Chopra ▲審査員各賞発表の模様

 コンテスト全体を通して見ると、今回はVRが最も得意とする「未来」を再現し、どのような体験が得られるかを検証するモデルや、一方で「過去」に起こった災害を再現する作品が発表されるなかで、最も多かったものは現在を表現した作品となりました。自分の好きな街、愛着のある街に暮らすという感覚を、インタラクティブに表現した作品に注目が集まったといえます。
 第9回「3D・VRシミュレーションコンテスト」の各賞受賞者および作品と概要には、次ページから紹介していきます。

●受賞結果発表

GRAND PRIX  グランプリ
「VRによる阪神高速道路の地下化と都市の魅力向上に向けた計画提案」
 関西大学 総合情報学部
AVI-DivX AVI形式[121,319 2:00] YouTube

大阪の魅力向上に向けた提案として、阪神高速道路を地中化することにより、美しく風格ある都市景観の創出、緑化と歩行空間の確保や賑わいのある都市空間の整備について、直感的にわかる可視化を行い、共通認識を持って広く議論するために活用。将来の都市データベースとして、空間の再配分検討のみならず、時間軸を考慮した交通や人の動線、防災などの解析にも展開を図っている。

日経BP社 ケンプラッツ建設IT に、当コンテスト グランプリ作品の紹介記事が掲載されました。
 ・10/11/26 イエイリ建設ITラボ  『高架橋のない大阪!仮想現実コンテストの最優秀作

EXCELLENCE AWARD  優秀賞
「ハイウェイドライビングシミュレータシステム」
 東日本高速道路 株式会社
AVI-DivX AVI形式[98,918KB 1:30] YouTube

高速道路において危険を伴う可能性の高い事象をVRで再現し、お客様の体験運転挙動を評価分析することにより、安全運転に関する啓発を図ることを目的としている。作成したVR空間では道路構造、標識などの道路付属物はもちろん、建物、植栽、走行中の車両の動きにも高精度なリアリティを追求した。体験運転結果データは蓄積され、これを解析することで、安全走行に関する対策などに活用する。


IDEA AWARD  アイデア賞
「岩屑なだれシミュレーション」
 群馬大学 工学部建設工学科地盤工学専攻
AVI-DivX AVI形式[115,178KB 1:43] YouTube

2009年9月2日、ジャワ島西部のインド洋沖で発生した地震(M7.3)により、Cikangkarengで大規模な岩屑なだれが発生した。この岩屑なだれを3D・VRで表現して住民とのワークショップを実施し、岩屑なだれの実際の状況を確認した。さらに、地質学専門家の意見を交えて岩屑なだれのメカニズムを再現・理解し、対策検討ツールとしての有効な利用方法を提案した。


ESSENCE AWARD  エッセンス賞
「大きく踏みだそう!歩行者による予測不可能な道路横断挙動」
 Abley Transportation Consultants Limited (ニュージーランド)
AVI-DivX AVI形式[145,737KB 1:30] YouTube

クライストチャーチの住宅地を通るIlam Roadは、カンタベリー大学にアクセスする道路となっており、歩行者の数が多い一方で車の交通量も非常に多い。この道路を横断して近道をする歩行者も多く、安全性や効率性が懸念されたため、道路の再開発が求められ、関係者にこの計画を理解してもらう目的でUC-win/Roadによるデータ作成が行われた。横断歩道以外の場所でランダムに道路を横断する学生の特徴を表現するために、S-ParamicsとUC-win/Roadを連携させてモデル化している。


DEVELOPMENT AWARD  開発賞
「SmartGridにおけるEV車と充電システムの広報用ドライブシミュレータ」
 SK Energy Co., Ltd. (韓国)
AVI-DivX AVI形式[176,956KB 1:30] YouTube

大規模なSmartGridの実験が行われている韓国ジェジュ島では、SmartGrid広報館が建設されている。そこで、電気自動車用のバッテリを製作している同社は、実際のEV車とUC-win/RoadのVRシステムを用いて、 EV車を走行して充電場所を探す広報用の体験ドライブシミュレータを開発した。VRデータ作成においては、充電施設のある都市部と景観の良い海岸部を分けて作成しシナリオで接続、4つのシナリオを設けて利用者の娯楽性を向上、EV車両の電池切れを表現などといった工夫を行った。



HONORABLE JUDGE'S AWARD
 審査員特別賞

  選考委員:
   NPO地域づくり工房 傘木 宏夫 氏
   大成建設株式会社 関 文夫 氏
   八千代エンジニヤリング株式会社 喜多河 信介 氏
   アリゾナ州立大学プリズム研究所 小林 佳弘 氏
HONORABLE JUDGE'S AWARD  審査員特別賞 芸術賞
 八千代エンジニヤリング株式会社 喜多河 信介 氏
「グラウンド施設提案VRシミュレーション」
 青木あすなろ建設 株式会社
AVI-DivX AVI形式[86,001KB 1:30] YouTube

大学の新設グラウンド建設に先立って、競技者・指導者・住民・施設管理者・観覧者など、施設に関わる人々それぞれの立場で、実際の行動に即した視点からのシミュレーションを行った。これにより、事前に要望や改良点を抽出して周辺環境に適合した良好な運動環境を提供すると共に、完成後のイメージを共有化することを目的としてUC-win/Roadを利用した。


HONORABLE JUDGE'S AWARD  審査員特別賞 地域づくり賞
 NPO地域づくり工房  傘木 宏夫 氏
「事故防止のための横断歩道建設計画におけるVRシミュレーション」
 韓国交通安全公団 (韓国)
AVI-DivX AVI形式[198,009KB 1:30] YouTube

5年間で交通事故による死亡者が6名となった場所で事故を分析したところ、横断歩道どうしの距離、車の速度、坂の勾配が原因であることが判明した。このため、安全対策として横断歩道建設などの複数の対策が決定され、これらの内容をVRデータで作成して住民説明会での活用を行った。データ作成時の留意点としては、夜間の街路灯の配置場所を調査してデータに適用した点や、中央分離帯の配置計画とデザインを検討した点などが挙げられる。


HONORABLE JUDGE'S AWARD  審査員特別賞 デザイン賞
 大成建設株式会社 関 文夫 氏
「デザイン都市・神戸の景観形成に向けた合意形成のためのVR活用」
 神戸市都市計画総局
AVI-DivX AVI形式[205,368KB 1:30] YouTube

海・坂・山の変化に富んだ異国情緒豊かなまちなみなど、神戸らしい景観を守り育てていくためには、市民のわがまちに対する関心や愛着を醸成することが不可欠であり、別途作成した都市模型との相互利用によるまちの紹介や、市民参加ワークショップによるモデルの継続的制作などに取り組んでいる。また、建物のデザインに関する景観協議や高さなどの規制誘導のための基準検討の支援ツールとしても活用していく。


NOMINATION AWARD  ノミネート賞
「P-SIM(歩行者流動シミュレーション)を利用した災難時における
VRシミュレーション」

 Seoul National University (韓国)
AVI-DivX AVI形式[112,674KB 1:30] YouTube

駅構内で乗客が電車から降りるタイミングなどを考慮して、歩行者流動を解析するソフトウェア(P-SIM)を開発し、シミュレーションを行った。この解析結果のデータは、簡単なコンバータを作成してマイクロシミュレーションプレイヤーのXMLファイル形式に変換し、UC-win/RoadでVR化を行った。
工夫を行った点としては、歩行速度(走る/歩く)などの表現が限られているため、人の動きを速めに設定したこと、壁を半透明化したことなどが挙げられる。


NOMINATION AWARD  ノミネート賞
「VRデータ活用とDS走行解析システムの紹介」
 大成エンジニアリング 株式会社
AVI-DivX AVI形式[211,540KB 1:30] YouTube

今春供用した東名高速(上下線)および厚木IC〜圏央道・海老名IC間の新ルートに対して、走行ルートの安全対策の比較検討と啓蒙資料作成を実施した。さらに、開通時および供用後のイベント開催時におけるDSや、交通安全対策の有無におけるDS走行車両のデータ取得と走行結果出力・取得データの解析、交通事故を想定した運転者の判断時間の計測や走行車両の検証解析などでもVRデータを活用した。


NOMINATION AWARD  ノミネート賞
「BANJARウォーターパーク」
 FUJICON PRIANGAN PERDANA, PT (インドネシア)
AVI-DivX AVI形式[201,397KB 1:30] YouTube

「BANJARウォーターパーク」は、インドネシアのBANJAR市によって計画されている施設。市民による利用だけでなく、インドネシア国内や海外から広く観光客を集客するための一大アミューズメントプールとして計画が進められている。このデータでは、施設の完成イメージや施設へのアクセスなどがVRで表現されている。また、来場者がプールで遊ぶイメージを、来場者の視点で体験できるようにもなっている。



▲最終選考結果 総評 (関 文夫 氏) ▲表彰式 ▲受賞者による写真撮影
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