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フォーラムエイト Vol.4 
FEM・アドバイザー 原田 義明
1976年 建設コンサルタントにて、FEMプログラムの開発に携わる。1981年 大手情報処理会社にて海外製FEMソルバー用プリ/ポストプロセッサの開発・販売を経験。1996年 独立して、FEMソフトの専門会社(株)ホクト・システムを創業。汎用型FEMソルバーを開発。2014年 M&Aによるホクト・システムの閉鎖により、フォーラムエイト顧問(非常勤)に就き、現在に至る。
 
フォーラムエイトのアドバイザーがそれぞれの経験や専門性にもとづいたさまざまな評論やエッセイをお届けするコーナーです。


『管見・有限要素法』

はじめに
新年おめでとうございます。小生、今や世の嫌われ者になってしまった感のある団塊世代の一人です。この度、このリレー式コラムの番が回ってきて、私のライフワークである有限要素法(以下FEMと称します)というシミュレーション技術について語ることになりました。

FEMは当社の製品ソフトのいくつかで核心となる技術なのですが、それをストレートに話すことは、本エッセイではふさわしくないでしょうから、硬い話題をなるべく避けて気軽に読めるよう、以下雑談風で進めていきたいと思います(FEMの専門的な話題に興味がある方は、拙著エッセイ「有限要素法よもやま話」をマイホームページ上に掲載していますので、そちらをご覧ください)。それでは、まず私の昔話からお付き合い願います。 
■筆者開設のHP http://femingway.com/

FEMとの出会いまで
私は子供時代から歴史大好き人間で、大学進学を前にして進路を決める際、一時は、史学方面に進むことも考えたぐらいです。しかし、史学で飯が食えるとも思えなかったし、中学・高等学校の先生になったところで、生意気盛りのガキども相手に授業するのも性分に合わないものですから、思い直してやはり飯の食える工学方面に進んだ次第です。

私の大学受験当時は、造船日本と言われた残影がまだ濃厚にあった時代でした。それで私も造船工学への進路選択をしたのです。しかし、どういうわけか、大学の工学部で造船工学科を持つところが少なく、私の記憶違いでなければ、たしか国立大学で3大学、私立で1大学しかなかったと記憶します。しかも、それらの工学部での受験倍率のランキングでは、造船工学がトップという人気振りだったのです。そんなわけで団塊世代の過酷な競争下、ものの見事に志望大学の入試に失敗してしまったのです。海が駄目なら陸へと、進路変更を余儀なくされた私は、土木工学を選択することにしたのです。

土木に入って知った構造力学やその解析道具の一つであるFEMが私のライフワークとなり今日に至っています。かりに、造船学方面に進んでいたとしても、結局、私のライフワークは同じだったのではないかと想像します。というのも、日本でのFEMは造船部門から派生したものだからです。しかし、FEM発祥の地アメリカでは、航空機部門がFEMの母胎でした(1956年)。若い読者には、この日米の違いの所以をお分かりでしょうか。敗戦国日本では、戦後しばらく航空機産業はご法度ばかりか、大学でもその部門は皆無だったのです。

大阪市の湾岸部にトラス橋では日本一という港大橋というスレンダーで優美な橋が架かっています。実は、この橋が私のFEMの原点なのです。大学ニ年生のとき、実習(当時はインターンシップなどという洒落た言葉はありません)で、この橋の架設前の前線基地であった阪神高速道路公団の事務所に通ったことが、私のFEMとの初めての邂逅をもたらしてくれました。配属された部署では、橋脚部を支えるケーソンの地盤沈下による影響を見るのにFEMを使って解析していて、コンピュータがラインプリンターに弾き出した結果をグラフにプロットしては見入っていたものです。1971年の春のことでした。

■大阪市住之江区と港区の間に架かる港大橋:大正区側から撮影

FEMの発展歴史とともに
爾来44年間、一時の疎遠はありましたが、なんらかの形でFEMと付き合うというのが私のエンジニア人生でした。日本のFEMの歴史の中で、私たち団塊世代は、先年亡くられた川井忠彦先生らが、日本にFEMを輸入した際、翻訳された専門書を読んで勉強した世代なので、第2世代から3世代にあたるかと思います。しかし、この世代は、あたかもコンピュータが汎用機全盛時代からパソコン時代へと変遷する過渡期に、それらをプラットフォームとするFEMプログラムを体感できた世代なのであります。その意味で、新旧広範囲のテクノロジーの世界に触れることができた幸運な世代でもありました。

それにしても、振り返ってみればFEMの普及には驚くものがあります。私が、社会に出た頃は、ソフトウェアが商品化される以前の時代であり、ましてやFEMプログラムともなれば、自分が作成して自分で使うもの、せいぜい自社内のユーザーに使ってもらうものというのが開発者の一般認識でした。もちろん、既に外国産で市販の汎用FEMプログラムはありましたが、大型計算機でしか動かなく、しかもたいへん高価だったので、一部の大企業が所有するのみでした。ほとんどの技術系企業では、FEMプログラムを所有する情報処理会社に解析を外注していた時代でありました。

FEMを一言でいってしまえば、単に偏微分方程式の近似解法の一つです。しかし、数ある解法の中で、その柔軟性と応用性で他を圧倒する最高の解法であることは間違いないでしょう。理工系分野で盤石の位置を占めたのも、森羅万象の物理現象が偏微分方程式で表現できる限り、当然の成り行きと言えるでしょうが、医学方面にまで進出している久しい事実を読者はご存知でしょうか。歯や骨の強度分析に使用されるのには何の不思議もないでしょうが、心臓のような軟体構造にまで適用されていることには、長くFEM分野に身を置く私にとってもサプライズものでありました。
■骨の強度解析に使われた全系応力分布図(左)
  骨切断面応力分布図(右)

FEMの大衆化と神話
いまさら言うまでもないことでしょうが、現在市販されているFEMプロダクトは、ソルバーと呼ばれる中核システム(FEMプログラム本体)と前後処理を受け持つプリ/ポストプロセッサで構成されています。両者が別商品のこともあれば、一体型になったものもあります。いずれにしても、プリ/ポストの進化なくして、現在のようなFEMプロダクトの普及はあり得なかったと言えるでしょう。このプリ/ポストの基盤技術がコンピュータ・グラフィックス(CG)でありグラフィック・インターフェイス(GUI)であります。

昔、アナリストたちが解析道具に使っていたFEMプログラムが、現在のように現場の設計者たちが自由に使えるようにまで大衆化した背景には、コンピュータのダウンサイジング化もさることながらCGおよびGUIの大躍進という大きな理由がありました。プリ/ポストの高機能化は、ソルバーの難解さをユーザーからある程度解放する効果もあったので、大衆化への貢献度は絶大なものがあります。

ところが大衆化により、皮肉にもFEM普及の負の面が目立つようになったのも事実です-ここで、本エッセイで私が一番言いたかった話となります。誰しもが能天気にFEMプログラムを使えるという具合には、残念ながらFEMはそこまで進歩していないということです。

批判を恐れずに敢えて言えば、プリ/ポストが大進歩した一方、ソルバーの方はといえば、よく言って成熟期、悪く言って停滞期、と言える状況なのです。たしかに、先にも言いましたように応用分野の拡大には目を見張るものがあります。また、“メッシュの呪い”から逃れようとする幾多の拡張版FEMとも言うべき理論やテクノロジーが提案されてきました。しかし、そのどれもが、部分的成功を見るも、実用面では、FEM誕生から今に至るまで続いている保守本流(業界用語でこれをH法と呼びます)のFEMに取って代わることはできませんでした。すなわちFEMの成長期には、根幹部で大きなブレークスルーがなかったといえるのです。

保守本流のFEMには、メッシュ依存症候群というべき誕生時から持つ持病があります。個々の問題に対して、経験に基づく相応のメッシュ張りが必要であり、なるべく歪まないメッシュを、場所によりメッシュ密度も高密度ほどよい、というのが標準的作法なのですが、逆に高密度メッシュは無意味という応力場の点域(これを応力場の特異点といいます)もあります。こういう厄介な面を持つところが、格点で部材を繋げば事足りる骨組み解析とは一線を画すところなのです。

画像をクリックすると大きな画像が表示されます。   構造設計者の標準ツールとしての資格を持つFEMプログラムは、梁材のような1次元要素から構成されるフレーム(骨組み)解析だけなのです。これが建築分野での認定ソフト制度が成り立つ背景の一つだと私は思います。  

こんな持病を持つにも関わらず、FEMと聞けば、何でも解析できるものと誤解したり、適当にメッシュさえ張れば事足ると錯覚したり、いわばFEMの神話がまかり通っている困った現実がFEM大衆化時代には散見されます。
■PC橋梁ケーブル定着部付近のFEMメッシュ図

独り言
神話ほどではないですが、FEMプログラムとFEMユーザーとの距離感の問題は、実は昔から指摘されていることでもありました。機械工学の分野では、安直なFEMプログラム利用のリスクを懸念して、以前、ある大企業では、社内でFEM検定試験制度を設けている所もありました。現在では、日本機械学会が主催する計算力学技術者あるいはCAE技術者という資格認定試験の制度が実施されています。
一方FEMの世界では先輩格に当たる土木分野では、いまだ検定試験制度は存在しておりません。そろそろ、土木学会でも腰を上げてほしいなあ、と勝手に思っている最近の私です。ただ、こういった制度の持続には、機械学会でもそうですが、スポンザー企業の協賛が必要となります。土木分野を見渡せば、当社がその旗振り役に一番近い企業ではないか、と私は感じているのですが、読者諸兄のご意見はいかがなものでしょうか。
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(Up&Coming '16 新年号掲載)
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