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Vol. 2

構造解析入門セミナー
動的非線形解析ソフト

UC-win/FRAME(3D)
IT活用による建設産業の成長戦略を追求する 「建設ITジャーナリスト」 家入 龍太
イエイリ・ラボ・体験レポート

建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナー有償セミナーを体験レポート

建設ITジャーナリスト家入龍太氏が参加するFORUM8体験セミナーの体験レポート。
新製品をはじめ、各種UC-1技術セミナーについてご紹介します。
製品概要・特長、体験内容、事例・活用例、イエイリコメントと提案、製品の今後の展望の内容など、全12回にわたってお届けする予定です。

【プロフィール】
1959年、広島県生まれ。京都大学工学部土木工学科卒業、ジョージア工科大学大学院工学修士課程修了、京都大学大学院修士課程修了。その後、日本鋼管(現JFEエンジニアリング)、日経BP社を経てイエイリ・ラボ開設。BIMや3次元CAD、情報化施工などの導入により、生産性向上、地球環境保全、国際化といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。日経BP社の建設サイト「ケンプラッツ」の人気コーナー「イエイリ建設ITラボ」や「建設3次元まつり」などを担当。「年中無休・24時間受付」をモットーに建設・IT・経営に関する記事の執筆や講演、コンサルティングなどを行っている。公式ブログは http://ieiri-lab.jp




●はじめに
 建設ITジャーナリストの家入龍太です。今回の話題は、動的構造解析ソフト「UC-win/FRAME(3D)」です。

 今から30年近く前の話になりますが、私は大学の土木工学科で耐震工学の研究室に所属していました。地震動に対して、高架橋や水道管などのライフラインがどのような挙動をするのかを解析するのに、当時もコンピューターが大活躍でした。

 しかし、解析に使うソフトはFORTRANというプログラミング言語で「自作」するというのが当時の流儀でしたので、卒業研究の労力の7〜8割はプログラミングとデバッグに費やされたと言っても過言ではありません。言い換えれば、構造物の挙動に対する観察や考察といった本質的なことに割ける時間が少なかったとも言えます。

 今は、「UC-win/FRAME(3D)」などの優れた商用ソフトがあります。地震動に対する橋やビル、タワーなど様々な構造物が地震動などの外力に対し、どのような挙動を示すのかを簡単に解析できるのです。弾性範囲だけでなく、材料が降伏した後の「非線形領域」まで解析できるので、構造物の壊れ方まで分かります。

 このような便利なソフトを授業や研究で使える今の学生さんは、本当にうらやましいですね。

▲動的構造解析ソフト 「UC-win/FRAME(3D)」 による橋の動的解析


●製品概要・特長
 「UC-win/FRAME(3D)」は、様々な形状の3次元骨組み構造を静的・動的に解析できるソフトです。材料が弾性範囲内の「静的解析」のほか、降伏点を超えて変形した後の「非線形解析」が行えます。さらに、部材が大きく変形したときの「幾何学的非線形」を考慮した解析も行えます。

 曲げモーメントやせん断力などの断面力算出から、道路橋示方書による応力度・耐力照査、そして土木学会コンクリート標準示方書による限界状態設計計算までを行えるので、高度な構造解析から部材の設計までをカバーします。さらに、構造物の3次元モデルは「3DS形式」のファイルにエクスポートして、バーチャルリアリティ・ソフト「UC-win/Road」などで利用することができます。

 フォーラムエイトは2002年11月に「UC-win/FRAME(3D)」を発売しました。この年には、動的照査法を推奨する「道路橋示方書V耐震設計編平成14年3月」が発刊されました。その後、ファイバー要素による3次元非線形解析機能や影響線解析に基づく活荷重載荷機能、土木学会コンクリート標準示方書による設計・照査機能などの機能強化を図りました。

 現在は、鋼製橋脚やRC橋脚をはじめ、ラーメン橋脚、コンクリート上部構造など橋の動的照査のほか、鋼・コンクリートからなる骨組み構造の解析と部材設計が可能になっています。


●体験内容
 5月20日の午後、フォーラムエイト東京本社で開催された「構造解析入門セミナー」に参加しました。有料セミナーにもかかわらず、会場は20数人の参加者で満席でした。名古屋や大阪など、他の会場にもテレビ会議システムで中継しました。講師を務めたのは、東京都市大学総合研究所の吉川弘道教授と、フォーラムエイト解析チームリーダの甲斐義隆さんです。

 吉川教授は地震リスクマネジメントを専門としており、研究室に「UC-win/FRAME(3D)」を導入していろいろな研究に使っているほか、授業では「UC-win/Section」という鉄筋コンクリート部材の断面諸量を計算するソフトを使っています。

 「構造解析はかくもエキサイティング!」と題した講演は、これまでの「地味でコツコツ」といった構造解析に対するイメージを変える画期的な内容でした。設計業務で発注者に提出するのは、応力照査が「OK」のものばかりです。しかし、本当に面白いのは「NG」の方にあると吉川教授は言います。

 その面白さは、「仮想の橋やビルなどの構造物をコンピューター上でどんどん壊すことにある」(吉川教授)とのこと。例えば、部材の鉄筋量を変えて壊していくとどうなるか。鉄筋量は多いほど頑丈な構造物ができると思いがちです。しかし、コンピューター上で部材を破壊してみると、鉄筋量が多いほど大きな変形に耐えられない、つまり「靱性(じんせい)」が低くなるということが分かるのです。

 こんな知見を得られるのも、「UC-win/FRAME(3D)」や「UC-win/Section」という商用ソフトがあってこそ。鉄筋量を変えて非線形解析で動的解析するシミュレーションを短時間で何回も繰り返すことができます。鉄筋量というパラメーターに対する結果がすぐに分かるのです。

 鉄筋コンクリートの教科書を見ながら、鉄筋量や配置から断面諸量を手計算し、さらに自作の解析プログラムの入力データを書いて計算する、というのでは1つのケースを計算するだけで何日もかかってしまいます。鉄筋量と靱性の関係などをつかむことは容易ではありません。

 コンクリートの専門家は、供試体を何百個、何千個と壊していく間に、コンクリートの限界状態や強度を体で覚えていくことができます。大きな構造物は実際に壊すことはできませんが、コンピューター上では手軽に"破壊実験"ができるのです。「いくつも壊してみて、壊すのが楽しいと思える"スーパーエンジニア"になれ」と吉川教授は言います。まさに、「UC-win/FRAME(3D)」のようなソフトがあるからこそ、スーパーエンジニアが生まれると言っても過言ではありません。

 吉川教授の話に刺激を受けた受講者は、その後、甲斐さんの説明にしたがって「UC-win/FRAME(3D)」での解析を体験しました。

▲「構造解析入門セミナー」 で講演する吉川教授 ▲満席の東京会場


●事例・活用例
 東京都市大学総合研究所 地震リスクマネジメント研究室と工学部都市工学科災害軽減研究室では、「UC-win/FRAME(3D)」1本と、「UC-win/Section」6本を導入し、研究や授業に使っています。

 2年生を対象にした「設計演習/RC橋脚の耐震設計」という授業は約60人の学生が受講します。「UC-win/Section」を使って橋脚基部の断面解析を行った後、許容応力度法や地震時水平耐力法による設計計算を行います。「このとき、学生にはそれぞれ、別々の設計条件を与えています」と吉川教授は説明します。

構造解析には、携帯電話から土木設計を行える無料サービス「モバイルUC-1ツール」を使っています。学生が構造解析し、応力照査した結果が「NG」になれば、正解です。

 というのも、わざとNGになるような設計条件を与えているからです。最後の課題は、設計を「OK」にするために、どうしたらよいかを考えることです。鉄筋量を増やしたり、配筋の位置を変えたりと、学生は各自で工夫します。

 「ソフトや携帯電話を使って解析する授業は、学生にとても好評です。『横拘束筋』や『せん断補強筋』などの専門用語も、自然に口から出てくるようになります。習熟の早い学生はほかの学生に教えるなど、一人前のエンジニアのようです」と吉川教授は授業の成果に満足そうです。

 動的解析の理論と、構造物のコンピューターシミュレーションを合わせた構造教育手法は、2009年11月に発刊された「数値シミュレーションで考える構造解析−ソフトで学ぶ非線形解析と応答解析」(吉川弘道/青戸拡起/甲斐義隆共著、建通新聞社刊)にまとめられました。

 この本は、従来の数式だけではなく、パラメトリックな図表によって構造物の挙動を考える内容になっています。ソフトによる解析実習の体験と合わせて、構造エンジニアとして身に付けるべき構造センスを養うのに役立ちそうです。

▲東京都市大学での授業風景 ▲「数値シミュレーションで考える構造解析」 の内容


●イエイリコメントと提案
 設計実務に追われていると、設計照査を「OK」にするコツは身に付いてきますが、数値的なことに終始してしまい、実物の構造物に対するリアルな感覚が失われてしまいがちです。

 吉川教授は「UC-win/FRAME(3D)」を単に設計照査をクリアするだけでなく、鉄筋量などの条件をいろいろと変えながら、構造物の挙動を「シミュレーション」することに教育の重点を置いています。

 シミュレーションの様子は、アニメーション画像で見られます。エンジニアは、数値的なことだけでなく、構造物の挙動をあたかも破壊実験に立ち会っているかのように体全体で感じることができるのです。こうしたバーチャルな経験を積むことで、設計基準をクリアするだけでなく、与えられたコスト、工期、品質の条件のなかで地震などの災害に強い構造物を設計するエンジニアのセンスが養われてくるでしょう。

▲ 「UC-win/FRAME(3D)」 によって、ビルの骨組み構造 (左) やロックシェッド (右) の"破壊実験"を行ったところ


●製品の今後の展望
 建築業界での耐震強度計算書の偽装事件以来、一般の人の間でも構造設計についての関心が高まっています。「UC-win/FRAME(3D)」の強みは、動的解析によって構造物の挙動や壊れ方を正確に解析し、その結果をアニメーションで誰にでも分かりやすく表現できるようにしたことです。

 現在はエンジニアのためのツールという色彩が強いソフトですが、今後、一般の顧客を対象にして耐震強度を「見える化」したり、いくつかの設計案に対する結果を比較検討したりする「プレゼンテーションツール」としての機能が強化されると、用途が広がるのではないでしょうか。

 顧客との打ち合わせの際にはパソコンを持参し、その場で設計変更を行いながら動的解析結果についても示すようにすると、構造設計の内容についても納得してもらいやすくなります。その結果、顧客との合意形成もスムーズにいき、より顧客満足度の高い設計や施工が行えるようになるでしょう。


●次回は、「DesignBuilder」セミナーをレポート予定です。


     
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