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Users Report ユーザ紹介/第100回

京都大学大学院
工学研究科 都市社会工学専攻ロジスティクスシステム工学研究室/
交通情報工学研究室



国際競争力があり、持続可能で安全・快適な交通システムの構築へ
高度研究用DS に各種機能を連携して先進の模擬運転実験を実現

 User Information
京都大学大学院 工学研究科 都市社会工学専攻 ロジスティクスシステム工学研究室/交通情報工学研究室
URL● http://www.um.t.kyoto-u.ac.jp/ja
所在地● 京都市西京区
研究内容● 効率的で環境に優しい都市物流システム/交通現象の分析、交通対策の評価・立案



 京都駅から西へ直線距離で約7km、閑静な高台に京都大学桂キャンパスは展開しています。これは、創立以来その中枢部が置かれる吉田キャンパス(左京区)、および自然科学やエネルギー系の研究主体が集まる宇治キャンパス(宇治市)に次ぐ、京都大学3 番目のキャンパスとして2003 年にオープンしたもの。そこでは、技術と科学が融合する新しい研究教育拠点「テクノサイエンスヒル」の形成が意図されてきました。

▲京都大学桂キャンパス 校門(左)/ CクラスターC1棟内の模擬運転実験室には高度研究用DSが設置されている(右)

 今回ご紹介するユーザーは、桂キャンパスに配置されている京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻。そのうち、谷口栄一教授を中心とする「ロジスティクスシステム工学研究室」と、宇野伸宏准教授を中心とする「交通情報工学研究室」に焦点を当てます。

 谷口栄一教授らはもともと、同大の定める倫理規定に則り運転中の人の行動やその間の脳の活動などを公道で実車を使って測定。一方、宇野伸宏准教授らは都市内を流通する大量の交通を安全かつ円滑にマネジメントするため、主にさまざまな車両の挙動を画像解析などの手法により外側から観測していました。しかし、それぞれがそれまで進めてきたアプローチのみから研究に必要なデータを収集することの限界を実感。両研究室を中心に、早くからドライビングシミュレータ(DS)活用の必要性に着目し、その導入を大学側に働きかけてきました。昨年春、そうした提案が実る格好で、フォーラムエイトの6自由度モーションプラットフォームの高度研究用DS が導入されるに至っています。

▲京都大学大学院
工学研究科
都市社会工学専攻
ロジスティクスシステム工学研究室
谷口栄一教授
▲京都大学大学院
工学研究科
都市社会工学専攻
交通情報工学研究室
宇野伸宏准教授
▲京都大学大学院
工学研究科
都市社会工学専攻
交通情報工学研究室
中村俊之助教

 都市社会工学専攻をめぐる変遷と体制

 この都市社会工学専攻の母体となるのは、明治30 年(1897 年)に発足した京都理工科大学土木工学科の流れを汲む土木系専攻(土木工学専攻および土木システム工学専攻)と環境工学専攻で、開学以来の系譜を辿ることが出来ます。度重なる学内組織の改組・拡充を経て、都市社会工学専攻への発展に繋がる前述の土木系専攻と環境工学専攻が誕生したのは、大学院重点化に伴う組織改編が行われた1996 年。その後さらに、科学技術や情報通信技術(ICT)の発展を背景として新しい課題への効果的かつ迅速な対応を図るべく、地球系5 専攻(土木工学、土木システム工学、資源工学、環境工学および環境地球工学)は2003 年、社会基盤工学、都市社会工学および都市環境工学の3 専攻に再編されています。

 2003 年秋に開校した桂キャンパスは、A 〜 D の4 クラスターにより構成。これまでにそのうち、A クラスターには大学院工学研究科の電気系2 専攻および化学系6 専攻が、C クラスターには都市社会工学専攻を含む地球系3 専攻、建築学専攻および物理系4 専攻が順次移転。工学研究科の研究教育機能が着実に集積してきました。

 都市社会工学専攻は、持続可能で安全かつ国際競争力を備えた、人間活動の基盤となる都市システムの創造をそのターゲットに掲げます。そこで同専攻は具体的な取り組みの柱として、
  1. 都市ICT の革新と社会基盤の高度化
  2. 高度情報社会における災害リスクのマネジメント
  3. 都市基盤のマネジメント技術の発展
  4. 国際化時代に対応した社会基盤整備
  5. 有限エネルギー資源論に立脚した都市構造の確立
― を設定。

それらの実現に向け、
  1. 構造物マネジメント工学
  2. 地震ライフライン工学
  3. 河川流域マネジメント工学
  4. ジオマネジメント工学
  5. 都市社会計画学
  6. ロジスティクスシステム工学
  7. 交通マネジメント工学
  8. 地殻環境工学
  9. 都市国土管理工学
  10. 社会基盤親和技術論
― から成る講座を整備しています。

 ロジスティクスシステム工学研究室都市物流システムに関する研究、安寧の都市ユニットも並走

 同専攻において、ロジスティクスシステム工学研究室は21 世紀に求められる都市を考えるに当たり、道路や鉄道、港湾などの都市基盤施設をシステムとして捉える観点に立ちます。その上で、効率的かつ環境に優しい都市物流システムの構築とそのマネジメントの方法論を探索。そうした具体的な成果として、ITS(高度道路交通システム)を活用した確率論的配車配送計画、e-コマースの都市交通への影響の軽減、都市物流施策のパフォーマンス評価手法、都市基盤施設構築のための技術開発 ― などに関する研究を位置づけます。

 谷口栄一教授は同研究室での活動の傍ら、同大学院の工学研究科と医学研究科が2010 年から連携して取り組む教育プログラム「安寧の都市ユニット」にも自らユニット長として携わっています。これは、健康医学と都市系工学を融合した新しい学問領域を創生しようというもの。現代の都市が抱えるさまざまな問題に対し、総合的かつ適切な政策を提案・実行できる人材(「安寧の都市クリエータ」)の育成をその目的に掲げます。

 同氏はまた、都市におけるトラックの動きをはじめとする物流の最適化、あるいは医療と介護・看護を一体化した地域システムの最適化を目指す研究に言及。そこでのICT 利用の重要な位置付けを述べます。
▲配車配送計画の最適化計算の結果(左)、マルチエージェントシミュレーションの結果(右)(画像提供:谷口栄一教授)

 交通情報工学研究室 交通システムのより賢い利用へ、ICT 活用が根幹

 一方、かつて飯田恭敬京都大学名誉教授により日本では他にない独自の名称が冠された背景として、ITS の考え方を活用し、交通システム全般をより賢く使えるようマネジメントする方法を研究していこうとの狙いが込められた(宇野伸宏准教授)、という交通情報工学研究室(交通マネジメント工学講座)。ここでは安全、安心かつ快適な交通の実現に向け、交通現象の分析、社会資本整備や交通政策による影響の評価、新たな対策の立案が取り組まれてきました。その主要な研究テーマには、災害時にも信頼性を確保できる交通ネットワークのあり方、所要時間の安定性といった観点からの道路ネットワークの信頼性評価手法、道路交通情報の提供や料金設定による人の行動への影響などが挙げられます。

 また、そのような同研究室の活動の中で、中村俊之助教はビッグデータの解析に注目。近年はとくに、IC カードのデータを使っての人の交通行動把握、津波に対する避難行動のモデル化およびそこでの自動車利用の許容可能性の検討に力を入れているといいます。

 同研究室の発足当初から、ICT の活用は活動の根幹に位置づけられてきました。今後さらに交通渋滞対策や安全対策の効果を高めていくためには、人の行動や考えに関する情報の収集・検知を通じた対応が重要です。その意味で、得られるデータ量が飛躍的に増大してきたのに対し、その質をどう捉えていくかが新たな課題になっています。

 実車ベースの実験の限界とDS へのニーズ

 「公道で実験をすると限界があり、分からないことがいっぱい出てくる。シミュレーションにももちろん限界はありますが、基礎的な実験を行うためにはいろいろな要素を人為的に制御できるシミュレーションがどうしても必要でした」

 加えて、交通安全に関わる事象の実験、あるいは新しい施策の評価などを公道で行うことは出来ません。とりわけ、高齢者など属性の異なる被験者を対象に制御可能な環境でさまざまなパターンの実験を行うとなると、DS によらざるを得ません。

 一方、前述の「安寧の都市ユニット」では都市を客観的に評価する一環として、運転時の行動に応じた脳の活動を近赤外分光法(NIRS)により測定していました。ただ、公道で実車を使う実験では交通条件や道路構造の違いもあり、それらの要素がいかに影響を及ぼすかは不明。そこで、そうした要素を分離して出来るだけ正確に分析するにはどうしてもDSが必要で、その導入を大学側に働きかけてきた、と谷口栄一教授は振り返ります。

 それに対し、宇野伸宏准教授らは長年、都市内交通を安全かつ円滑にマネジメントしていくアプローチの一つとして都市高速に着目。将来の評価指標やモデルの作成も視野に、合流部周辺でのさまざまな車両の挙動を画像解析により観測してきました。

 しかし、外側からの観測のみでは自ずと限界があり、各人の判断や動作も含めた人の行動に関するデータを取得するためにはDS が必要との認識に到達。併せて、交通が交差する箇所で生じる問題の分析やそれに基づく提案策定、交通安全の科学的な研究、あるいは安全運転を支援する施策評価などへのDS の活用展開が描かれました。

▲運転時の行動に応じた脳の活動を近赤外分光法(NIRS)を使い、
脳の活動とドライバーの運転行動、道路構造、交通状況との関連性について研究している

 DS 導入を受けた両研究室の取り組み

 両研究室を中心とした数年越しの要望が認められ、2012年3月末にフォーラムエイトの高度研究用DS がCクラスターC1棟内の模擬運転実験室に設置されました。

 同DS はUC-win/Road によりインテグレート。6軸モーション制御機能を装備。左右確認など合流時のドライバーの挙動をシミュレートできるよう、180度の視野角を確保する前方5画面に、両サイドミラーおよびルームミラーを合わせた全8画面でクラスター表示。またNIRSとの連携は、メーカーが異なるシステム同士ゆえの難点をクリアし、両者から取得したデータを同期させての解析を可能にしています。

 谷口栄一教授らは同DSとNIRSを使い、脳の活動とドライバーの運転行動、道路構造、交通状況との関連性について研究。例えば、合流部などを運転中にドライバーの脳のどの部位にどのくらいの負荷がかかっているか、といったことの定量的な把握を進めています。

 「とはいえ、脳の活動を計測して何かを調べようという(研究)の(アプローチ)はまだ始まったばかり」。そこで同氏は今後、NIRSを使って測った結果のキャリブレーション(較正)や他の手法との比較が必要になるとの考え方を示します。

 一方、宇野伸宏准教授らは合流部の安全支援に関する研究の一環として、都市高速の合流部における安全運転支援情報の効果を検証すべく、阪神高速道路株式会社と共同研究。種類の異なる情報を提供し、合流部に差し掛かった車の速度やアクセス操作に及ぼす影響を分析。そうした中で、アクセルからブレーキへの踏み変え動作(準備動作)を測りたいとの新たな要求もあり、学生自らCCDカメラを応用して同DSを改良しています。

 同氏がとくに注目するのは、車の台数などの設定はもちろん、道路のデザインも自分たちで出来る同DSの機能。今回実験では、予め学生が作成したコースで被験者にDS操作に慣れてもらったのに加え、従来型の実験と比べ年齢層や運転経験の面でバランスのとれた多数の被験者からの協力が得られた、とそのメリットに触れます。

 ただ、アイトラッキング機能と同DSのインターフェースについては後に合わせる必要があり、中村俊之助教は今後の課題と位置づけます。

▲阪神高速道路株式会社との共同研究の様子(右上:合流線走行合流時、右下:本線走行合流時)(画像提供:中村俊之助教)

 更なる展開と今後への期待

 同DSの特徴を活かし、道路や交通の条件を変えながら高齢者の運転能力を定量的に判断する手法の開発など、さまざまな可能性にチャレンジしていきたい。さらには、ITSの運転支援システムを同DSに反映し、それによる運転のしやすさや運転時の精神的な負荷がどう変化するかを探っていきたい、と谷口栄一教授は今後の研究を方向づけ。そうした際に専門分野を越えてDSに関するノウハウを交換できるコミュニティの役割に期待を述べます。

 それに対して中村俊之助教は、前述の津波に対する避難モデルとDSとの連携、そしてDS を利用したビッグデータの有用性(質)の評価に注目。併せて、同氏らが研究し作成した車両の挙動モデルをDS に組み込むための技術開発などでフォーラムエイトと協調していく考えに言及します。

 また宇野伸宏准教授は今後のDS利用に関し、道路のデザインと安全運転との関係や運転行動そのものの評価とともに、シミュレータを通じて自身の運転を客観視する試み、あるいは運転したい高齢者のニーズに応えるための研究へと話を展開します。実は交通については解明されていないことが多く、そのカギとなるのがDSを含む先進のICT活用。しかし、単にデータがあるからといって、自らの方向性をしっかり持っていなければデータに溺れかねない、と説きます。
▲京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻
ロジスティクスシステム工学研究室・交通情報工学研究室の皆さん

(執筆/取材:池野 隆)


     
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