All about FORUM8 Products. 19th FORUM8 DESIGN FESTIVAL 2025 3DAYS+EVE 11.19WED-11.21FRI EVE11.18TUE 品川インターシティホール・ホワイエ 開催レポート

All about FORUM8 Products. 19th FORUM8 DESIGN FESTIVAL 2025 3DAYS+EVE 11.19WED-11.21FRI EVE11.18TUE 品川インターシティホール・ホワイエ 開催レポート
多数のご来場・アクセスありがとうございました

皆様のおかげで無事終了しました
3日間で会場450名、オンライン1,300名を超える
大変多くのお客様にご参加いただきました!

第18回目となるデザインフェスティバルは会場×ハイブリッドにて開催を行い、F8VPSを活用したバーチャルショールームでメタバース体験を実施したイブから3日間素晴らしい講演が続きました。また、日本全国、海外からもたくさんの方にご参加をいただきました。ご参加頂きました皆様、審査、講演を頂きました関係者の皆様へ改めて厚く御礼申し上げます。来年またお会いできますことを楽しみにしております。

REPORT INDEXレポートインデックス

企業、国、自治体のあらゆる領域でDXが前進
VR・XR×AI×クラウドが拓くWeb3・Web4の
新潮流と次世代デジタル基盤

「FORUM8 デザインフェスティバル2025-3Days+Eve」は、昨年に引き続き品川インターシティホールで開催され、会場450名、オンライン1,300名を超える大変多くのお客様にご参加いただきました。
本イベントは、もともとフォーラムエイトが個別に開催していた複数のセッションやイベントを再編し、2009年に「デザインフェスティバル」となって、2020年よりオンライン併催のハイブリッド型イベントに移行。2015年からは「Eve」を開催。Eveは去年に引き続き、オンラインのメタバースで実施されました。
本年のデザインフェスティバルは、Eveを受け「第10回 自動運転・サステナブルカンファランス」「第26回 UC-win/Road協議会(VRカンファランス)」「第11回 最先端表技協・最新テクノロジーセッション」「第18回 国際VRシンポジウム」および「第19回 デザインカンファランス」を構成する各種講演や発表、「第24回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」「第13回学生クラウドプログラミングワールドカップ(CPWC)」「第15回 学生BIM & VRデザインコンテスト オンクラウド(VDWC)」「第11回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー」「第9回 羽倉賞」および「第12回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード(NaRDA)」の公開審査や表彰式、出版書籍の著者講演などにより展開されました。

インターシティホール ホワイエ併設展示

ホワイエではヒューマノイド型ロボットがお出迎え。ドローン操縦体験や、大阪・関西万博で展示された最新のシミュレーションの体験を実施

EVEREPORT11.19Tue14:00-19:00

  • 進化するフォーラムエイトメタバース「メタバニアF8VPS」でEVEを開催

    昨年に続き、メタバニアF8VPSを活用したバーチャルショールームを公開し、今年も完全メタバースで実施しました。来場者の皆様には、好みのアバターを使ってさまざまなコンテンツをお楽しみいただけました。

    会場では、これまでのEveアーカイブ上映に加え、3DVRシミュレーションコンテスト、ナショナルレジリエンスアワード、羽倉賞の受賞作品、国際学生コンペCPWC/VDWCのノミネート作品を展示し、自由にご覧いただきました。

    さらに、大阪・関西万博で展示した「未来の月と宇宙のバーチャル体験」ブースの再現や、テーマウィークのトークセッション「あなたの安全・安心な未来に向けた、災害大国である日本だからこその世界への提言」アーカイブの上映、FORUM8 Rally Japan 2025の展示ルームでは、イベント紹介や豊田スタジアムメタバースを公開、NFT宝探しもお楽しみいただきました。ホットブレイクコーナーでは、アバターを介し弊社スタッフと来場者の皆様が交流できるコミュニケーションの場となりました。

    メタバースショールームでは、フォーラムエイト製品・ソリューションの紹介や抽選会、コンテストの過去受賞作の展示などを行った

DAY1REPORT11.19Wed9:50-17:40

  • VR第10回 自動運転・サスティナブルカンファランス

    L4自動運転ベースの移動/物流サービス実用化へのプロセス、基盤整備と事業化推進

    デザインフェスティバルのDay1(2025年11月19日)は、初めに当社代表取締役社長の伊藤裕二が開会あいさつ。これを受け、「第10回 自動運転・サステナブルカンファランス」がスタートしました。

    皮切りとなる特別講演は、黒籔誠・経済産業省製造産業局自動車課モビリティDX室 室長による「『モビリティDX戦略』 2025年のアップデートについて」。初めに自動車産業を巡る現状とモビリティDX(Digital Transformation)分野における世界の動向を整理。次いでそれらを踏まえ同省が国交省と2024年に策定した「モビリティDX戦略」、そこでのSDV(Software Defined Vehicle)、自動運転・MaaS(Mobility as a Service)およびデータ利活用の3領域を対象とする施策、それらを通じたSDVのグローバルな販売台数「日系シェア3割」2030年実現・2035年維持の目標を解説。SDVの重要技術を巡る開発競争の更なる激化や地政学リスクの高まりなど同戦略アップデート(2025年)の背景に触れた後、自動運転AIモデル開発促進、シミュレーションの認証・認可への活用検討、E2E(End-to-End)安全性評価手法構築、サイバーセキュリティ対応強化、自動運転タクシーの地方展開を含む標準モデル、オープンデータセット構築、政府調達の活用など自動運転の早期社会実装に向けた取組、グローバルなサプライチェーンの把握・強靭化のためのデータ連携推進、「ウラノス・エコシステム」でのユースケース拡張など、新施策へと話を展開。さらにSDV、自動運転のソフトウェア、オープンデータセットなどカギとなる技術について詳述しました。

    経済産業省 製造産業局自動車課 モビリティDX室 室長 黑籔 誠

    2006年経済産業省入省。これまでスタートアップ政策や、デジタル庁にて日本のデジタル政策のとりまとめ等を担当。2025年7月より現職。

    続いて、山形創一・デジタル庁国民向けサービスグループ 企画官が「デジタル庁におけるモビリティ分野の取組について」と題し特別講演。旧・内閣官房IT総合戦略室を2021年から引き継ぐ同庁は、自動運転に関連し「官民ITS構想・ロードマップ」(2014年策定)を継承する「デジタルを活用した交通社会の未来2022」(2022年策定)、「モビリティ・ロードマップ」(2024・2025年策定)を担当。その間の流れを振り返った後、モビリティサービスの現状と課題、同サービス普及に向けた重点施策、2025年度および2026年度以降の工程表など「モビリティ・ロードマップ2025」について概説。そのうち関係府省庁が様々な地域の移動サービスに合わせ最新技術活用型、運行エリア拡大型、技術的課題解決型の3パターンで、政策を集中的に投入する「先行的事業化地域」を、同庁の特に大きなミッションと位置づけ。そこで各地域の供給側と需要側の間に立つ基盤として需要の掘り起こしやマッチングを通じ、自動運転車両による移動サービスの継続的な事業化を支える「交通商社機能」の概念とその確立に向けたアプローチを説明。さらに自動運転の社会受容に向けクリアすべき社会的ルール(基準・認証を含む)の課題と目指すべき姿の議論を整理。自動運転を想定した事故発生時の事故調査や責任判断の流れなど支援策の整備に言及しました。

    デジタル庁 国民向けサービスグループ企画官 山形 創一

    2002年国土交通省入省。 港湾、海岸・防災、 国土計画、震災復興、政策研究等を担務。2025年7月より現職。

    午前の部最後の特別講演は、影井敬義・総務省総合通信基盤局電波部移動通信課新世代移動通信システム推進室 室長による「自動運転時代の情報通信インフラに関する総務省の取組」。自動運転レベル4の自動運転移動サービス・自動運転トラックに関する2025年度以降の政府目標、政府全体の各戦略・方針における自動運転の実証・達成目標の明文化を解説。これを受け、国内外の自動運転移動サービスや国内事業者・自動車メーカーの動向、同サービスにおけるプラットフォーム/MaaSビジネス、5G(第5世代通信)本来の機能発揮が期待されるSA(Stand Alone)化、自動運転を支えるV2X(Vehicle-to-everything)通信インフラとして2015年から使われる700MHz帯ITSの現状、700MHz帯ITS通信に係る無線局免許人の範囲を追加する電波法関係審査基準の一部改正、V2X通信の世界情勢を反映し進む5.9GHz帯周波数割り当ての取組へと展開。これらに関連した総務省の取組の全体像と課題、自動運転の社会実装に向けたデジタルインフラ整備事業と携帯基地局の高度化(5G SA化)支援、新東名高速道路での5.9GHz帯V2X通信を使った自動運転トラック実証、地域社会DX推進パッケージ事業、「自動運転時代の“次世代のITS通信”研究会」(第3期)での本格的な自動運転社会到来を見据えた新たな通信インフラ政策の検討に触れます。

    総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 新世代移動通信システム推進室 室長 影井 敬義

    2004年総務省入省。情報通信分野の法令改正や技術基準、次世代通信の技術政策や研究開発、標準化の推進等に携わる。2024年7月から現職。

    午後の部は、古屋圭司・衆議院議員・「自動車文化を考える議員連盟」会長による来賓あいさつで同カンファランスが再開。古屋氏は、自身がモータースポーツに力を入れてきた経緯と併せ、WRC世界ラリー選手権 フォーラムエイトラリージャパン2025(11月開催)の意義を紹介。次いで、早くから関わってきた自動運転に対する思い、「社会機能移転分散型国づくり」の考え方と地元・岐阜県東農地域で進む企業・学術機能誘致のための条件整備(リニア中央新幹線の建設と並行した道路整備)、そこでの自動運転移動サービスの社会実装に向けた取組、全国の赤字ローカル鉄道路線対策としての同サービスの可能性、へと話を展開。そうしたプロセスでのVRやメタバース活用にも期待を示します。

    「自動車文化を考える議員連盟」会長 衆議院議員 古屋 圭司

    衆議院議員、初代国土強靱化、元防災担当・拉致問題担当大臣。国家公安委員長、衆議院議院運営委員長など歴任。成蹊大学経済学部卒業、大手保険会社を経て、平成2年初当選、以来当選12回。現在は、自由民主党憲法改正実現本部長・自由民主党選挙対策委員長(党四役)を務め、モータースポーツ振興議員連盟会長、自動車文化を考える議員連盟会長をはじめ40を超える議員連盟会長を務める。フォーラムエイトラリージャパン2025実行委員会 名誉顧問。地元選挙区の岐阜県東濃地域には、リニア中央新幹線岐阜県駅開業を見据え、最先端の科学技術と自然、歴史文化が融合する地域を目指し、自動運転の導入、名古屋大学大学院誘致や核融合発電実用化の為の拠点形成、防災庁設置など、リニアを活用した未来のモデル地方都市の実現を進めている。昨年、50歳から始めたクラリネットのオリジナルCDをレーベルから発売。Amazonなどで絶賛発売中。

    午後の部最初の特別講演は、竹下正一・国土交通省道路局道路交通管理課高度道路交通システム(ITS)推進室 室長による「自動運転に関する国土交通省道路局の取組について」。ITSの導入目的や概念、自動運転の進化がもたらす新たな道路空間とモビリティの創造を図解。物流や地域公共交通を巡る課題、その対策としてレベル4(L4)無人自動運転移動サービス(2027年度までに100カ所以上)とL4自動運転トラック(2025年度以降実現)に向けた政府目標を提示。L4自動運転向け許認可、自動運転技術を活用したまちづくり計画向け支援、自動運行補助施設の設置工事に係る資金貸付金といった施策も列挙。その上で、わが国におけるL4自動運転の現状(L4の許認可取得8カ所)、自動運転タクシーおよび自動運転トラックの現状、自動運転車両の開発動向から、環境に応じた自動運転とインフラ連携の方向性へと話を展開。道路局が取り組む新東名高速道路における自動運転トラック実証実験(L4自動運転トラックの実現に向け合流支援情報や先読み情報の提供等)、これまでの自動運転による移動サービス(L4第1号の永平寺町)、一般道の自動運転移動サービスに求められるインフラ支援、路車協調システムの有効性(安全性)、走行空間の整備例などを紹介。自動運転インフラ検討会の概要、自動運転×インフラ連携のスケジュール案にも触れます。

    国土交通省 道路局 道路交通管理課 高度道路交通システム(ITS)推進室 室長 竹下 正一

    2004年国土交通省入省。道路局道路交通管理課ITS推進室自動走行高度化推進官等を経て、2024年7月より現職。

    同カンファランス5番目は、家邉健吾・国土交通省物流・自動車局技術・環境政策課自動運転戦略室 室長が「自動運転の実現に向けた取組について」と題し特別講演。自動運転が求められた背景、自動運転の実現に向け自家用車と((ルートや地域が限定されがちな)商用車で異なる2つのアプローチを概説。次いで、自動運転サービスの推進における国交省の支援策を制度整備と事業化推進の2面に分類。前者に関しては警察庁と連携し2020年4月に道路運送車両法と道路交通法の改正によりL3自動運転が、2023年4月に道路交通法改正と道路運送車両法の安全基準策定によりL4自動運転がそれぞれ制度上可能になった流れ、L4自動運転車の公道走行のための手続きを説明。後者に関しては2025年度自動運転社会実装推進事業として地方自治体への初期投資の補助事業(67件)の概要と実装事例を紹介。これらを受けた自動運転移動サービス実装の現状と浮かび上がった制約、同サービスの普及・拡大に向けた、1)多様な走行環境に対応可能な車両導入、2)L4自動運転の複数車両を一人で遠隔監視、3)面的に走行する自動運転タクシー―などへの今後の重点支援に言及。一方、技術的な支援策として「レベル4モビリティ・地域コミッティ」の設置、経産省・警察庁と連携した「自動運転移動サービス社会実装・事業化の手引き」作成にも触れます。

    国土交通省 物流・自動車局 技術・環境政策課 自動運転戦略室 室長 家邉 健吾

    2002年国土交通省入省、自動車の環境政策や技術安全に携わり、自動車事故対策機構審議役等を経て、2024年7月より現職。

    同カンファランス最後の特別講演は、成富則宏・警察庁交通局交通企画課自動運転企画室 室長による「自動運転の実現に向けた警察の取組について」。自動運転に期待される効果、その実現に向けた政府目標、自動運転サービス支援道とその取組事例を解説。その後、自動運転実用化の進展を支援する同庁の取組を整理。まず交通ルールの整備では1)L3自動運転(運転者の存在を前提)の実用化に伴う制度整備(道路交通法:2020年4月施行)、2)L4自動運転(一定条件下で運転者不要)の実用化に向けた制度整備(同上:2023年4月施行)、3)「2」で触れた特定自動運行許可制度に基づく手続きと特定自動運行実施者・同主任者の義務、4)上記の事例として茨城県日立市における特定自動運行(L4)の概要を説明。また公道実証実験環境の整備として「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」「自動運転の公道実証実験に係る道路使用許可基準」「信号制御機等に接続する無線装置の開発のための実験に関する申請要領」を列挙。さらに自動運転システムの実用化に向けた研究開発として「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の概要、SIP第2期(~2022年度)およびSIP第3期(2023年度~)での信号情報の提供に関する取組へと展開。システム機能の過信・誤用防止に向け動画等を用いた広報・啓発にも言及しました。

    警察庁 交通局交通企画課 自動運転企画室 室長 成富 則宏

    平成4年4月警察庁入庁。警察庁運転免許課課長補佐、警察庁総務課公文書監理室長等を経て、令和5年8月より現職。

    司会・進行を務めた家入 龍太 氏

    休憩を挟み午後の部後半は、同カンファランスのクロージングを成す当社担当者によるプレゼンテーション・前編「デジタルツイン・メタバースによるオートモーティブソリューション ~自動運転・シミュレーション環境の提供~」でスタート。UC-win/Roadを実際に操作しながら、都市環境を可視化するデジタルツイン上で各種設定条件をリアルタイムに反映した車両交通・人流の生成とシミュレーションを紹介。PLATEAU(国交省主導の3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクト)などのオープンデータ活用により実際の道路構造やオフィスビルなどの属性も加味した都市のベース環境を短時間に構築し、都市に関わる様々な情報連携による詳細な都市交通の予測も可能なため、実環境では困難なインフラ整備の実験にも供する多彩な機能を解説。UC-win/Road最新版(Ver.18)の主な新機能のほか、各種DSソリューションや自動運転関連を中心とする複数ユーザー事例も披露。メタバースプラットフォーム「メタバニアF8VPS」によるオフィスや工場内のデジタルツイン化と活用可能性、Shade3Dとメタバニアとの連携、AI技術を活用したデザインツール「F8-AI MANGA®」およびAIチャットで支援する「F8-AI UCサポート」にも言及します。

    カンファランスの最後は、当社担当者が「最新の3D VRソフトウェア開発動向と今後の展望」と題しプレゼンテーション(後編)。まずUC-win/Road Ver.18(10月リリース)のメイン機能として、物理特性を考慮した反射モデルを使用し写実的なレンダリングが可能なPBR(Physically Based Rendering)対応にフォーカス。使用する材質の情報をPBRマテリアル設定で基本色・金属性・粗さと決めていき、対象の物理的特性を変える手順を紹介。併せて、路面の細かな凹凸感を表現する法線マッピング、環境マップの設定拡張とIBL(Image Based Lighting)対応のほか、露出設定、glTFファイル形式への対応、OpenGL関連の改善などを挙げ、根拠のある計算に基づきより写実的で没入感のある映像作成が可能と強調。また、クラウド上で動く最新ソリューション「メタバニアF8VPS」に関しては、Shade3Dとの連動、投票・審査機能の拡張およびオープンメタバースなどの特徴を説明。今後、UC-win/RoadではAIエージェントの連携によるデータ自動操作、点群を用いた3Dモデリングの強化およびOpenDriveの規格対応拡張を、F8VPSではデジタルツインでの活用を視野に統合情報管理システム(ForumSync)のパッケージング化・標準化を進めていく考えを述べます。

    プレゼンテーション1「デジタルツイン・メタバースによるオートモーティブソリューション」~自動運転・シミュレーション環境の提供~

    フォーラムエイト執行役員 システム営業マネージャ
    松田 克巳

    プレゼンテーション2「最新の3DVRソフトウェア開発動向と今後の展望」

    フォーラムエイト 執行役員 開発シニアマネージャ
    ペンクレアシュ・ヨアン

  • VR第24回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド 表彰式

    「UC-win/Roadが賢くなっている」(関氏)AI活用の本格化と併せ今後のキーに

    Day1午後の部後半は、UC-win/RoadやメタバニアF8VPSなどフォーラムエイトのVRソリューションを最大限活用して作成したVR作品を競う「第24回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」の表彰式を開催しました。10月17日までに応募のあった多数作品の中から10月22日の予選選考会を経て15作品をノミネート。これらを対象に11月5日~13日にわたりクラウド一般投票を実施。そのスコアも加味し、11月18日に審査委員長の関文夫・日本大学理工学部土木工学科教授、審査員の傘木宏夫NPO地域づくり工房代表および原口 哲之理・名古屋大学未来社会創造機構客員教授の3氏から構成される本審査会(フォーラムエイト東京本社)で各賞が決定しています。

    その結果、グランプリ(最優秀賞)に輝いたのは愛媛大学の「メタバース教育プラットフォームIMSS(インフラメンテナンス・スマート・シミュレータ)」。これはRC橋梁の3D点群データ、BIM/CIM可視化、損傷劣化の近接目視点検シミュレーションなどを通じ、オンライン学習で土木技術者のインフラ点検スキルを学ぶシステム。様々なインフラデータが蓄積され、インフラミュージアムとしても構築されています。橋梁の点検・メンテナンス分野では人材育成が喫緊の課題とされる中、橋梁下部のクラックからコンクリートの打音までワンパッケージでカバーし、すぐにも人材育成に繋がるようなシステムを開発。しかも橋梁台帳としての活用可能性まで視野に入れるなど驚きをもって評価(関氏)されました。

    準グランプリ(優秀賞)は今回、2作品が受賞。その一つが、Advanced Institute of Convergence Technologyの「UC-win/Roadを活用した自動運転リスク予測モデル検証SILS」。自動運転アルゴリズムとリスク予測モデルを安全かつ効率的に検証するSILS(Software-in-the-Loop Simulation)をUC-win/Roadを活用し構築。走行データを外部モデルへリアルタイム送信しリスクを可視化。実験の自動化により精度評価と再現性の高い検証を実現。SILSによるシミュレーションでUC-win/Roadの機能を十分に生かし、自動運転の様々な状況を隅々まで想定しながら計算し尽した、より良いものの判断が出来ている作品(原口氏)と評されました。

    もう一つは、東京都台東区の「大規模災害直後の帰宅困難者等初期避難シミュレーション」。3D都市モデルのユースケースとして、災害時における浅草エリアの帰宅困難者避難シミュレーションを実施。これにより混雑や滞留が予想されるエリアの可視化や対策案を検証。そのデータを住民参加や計画立案の基礎材料としても活用しています。EXODUSやUC-win/Roadを使いボリューム感もリアルに再現。可視化することで得られる新たなリスクへの気づきも大事なことから、更なる取り組みの進化に期待(傘木氏)が示されました。

    併せて、(一財)VR推進協議会により審査され、VRを最大限活用し、スマートシティの実現やDXの加速に繋がるような最先端のVRシステムを表彰する「第4回VRシステムオブザイヤー」は、松江土建株式会社の「GNSSによる3DVR除雪ガイダンスシステム」が受賞。RTK-GNSS測位システムから取得した位置情報とUC-win/Roadを連携した3DVRによる除雪ガイダンスシステムを構築。除雪グレーダ内に設置されたモニタで、実際の走行位置と連動したVR空間の映像を表示可能。マンホールや橋梁ジョイント手前等での注意喚起を実現。縁石や車線境界の位置も視覚的に確認可能。これまで除雪シミュレータの構築は複数なされてきた中で、今回は特にGNSSを活用した先端的なシステムへの取り組みが評価(同協議会の伊藤裕二理事長)に繋がっています。

  •  出版書籍講演・ネットワークパーティー

    土木の世界を知る絵本とVR活用の変遷に迫る事例集

    Day1午後の部の最後は、フォーラムエイト パブリッシングの新刊2冊の執筆者・監修者による出版書籍講演で構成されました。初めに、「シビルエンジニアの図鑑 –Infrastructure for the Next-」の著者、吉川弘道・東京都市大学名誉教授が講演。土木の世界に50年間携わる中で自ら紡いできた、土木構造物のすばらしさを次世代に伝えられる「絵本を作りたい」との願いが具体化。本書では橋梁を始めとする各種土木構造物や構造解析・設計などシビルエンジニアリングに関わる専門的な知識を高校生・大学生に理解してもらうことを意図し、写真や絵をふんだんに掲載。その過程でポンチ絵の効能を再認識し、その活用復活にも繋げたいと説きます。

    Day1を締めくくる講演は、2026年3月出版予定「VRで拓く、新しい地図 ~3D・VRシミュレーションコンテスト総覧2002-2024~」((一財)VR推進協議会 著)の監修者、関文夫・日本大学教授と傘木宏夫・NPO地域づくり工房代表が対談。3D・VRシミュレーションコンテストで昨年まで23年間にわたる受賞作品全216点を年代・分野ごとに整理し収録。VRの活用事例の変遷とともにVR進化の歴史を辿り、新たな活用のヒントを提示。両者が注目する作品に触れつつ、UC-win/Road自体の着実なステップアップも窺われる(関氏)といいます。

    Day1ネットワークパーティでは、フォーラムエイトの開発責任者、サポート責任者も参加し、情報交換・懇親の場となった

DAY2REPORT11.20Thu9:50-17:15

  • VR第26回 UC-win/Road協議会

    災害に強い都市を描く、新世代の防災デザイン

    マサチューセッツ工科大学(MIT)アーバンリスクラボ所長/フロントライン地域を支援する気候ミッションディレクター/建築学部 准教授 Miho Mazereeuw

    ランドスケープアーキテクト/建築家。ハーバード大学、トロント大学での教鞭を経て、気候変動による洪水、台風、熱害などに備えたレジリエントな都市デザインを研究・実践する「アーバンリスクラボ」を率い、世界各国で災害軽減や復興支援に取り組む。著書『Design Before Disaster: Japan's Culture of Preparedness』が2025年9月にバージニア大学出版局より刊行。

    2日目のUC-win/Road協議会は、Miho Mazereeuw・マサチューセッツ工科大学(MIT)アーバンリスクラボ所長/建築学部准教授による特別講演「災害に備えた防災デザイン」からスタートしました。近年、洪水・台風・熱波などの気象災害が「より頻繁に、より激しく、より予期せぬ場所で」発生し、従来の想定を超えた「新しい気候の時代」に直面している中で、Mazereeuw氏は、気候変動が災害リスクを大幅に押し上げている現状を示し、学際連携による新たな防災デザインの必要性を強調。MITでは、気象学・都市計画・建築など19名以上の研究者が参加し、5万ケースの嵐シミュレーションを生成、降水・風・高潮の影響を建物・地形・インフラ条件と統合して解析することで、将来の不確実性を定量的に扱う基盤を構築していることを紹介しました。また、キャンパスにおける「Porosity Project」で、学生が扉や窓など建物開口部を記録して浸水経路を可視化した取り組みについて、身体的な参加を通じ、市民・行政・専門家が協働する防災の重要性を体験的に理解できる点を強調。「Flux.Land」や住民参加型「RiskMap AI」、避難所管理ツール「ShelterMap」など、都市レジリエンス向上に向けた実践的ツールも紹介しました。

    さらに、防災機能を日常に溶け込ませる「二重用途(デュアルユース)」の重要性として、深北緑地公園や電源機能を備えたベンチ「Prephub」、女性グループ拠点を兼ねたネパールのパビリオンなどの事例を提示。最後に、生活に自然に根付く防災デザインこそが、未来に向けたレジリエンスの姿であると締めくくりました。

    スカルプトモデリングなどShade3Dの新機能を紹介

    続いて、Shade3Dの最新機能に関するプレゼンテーションを実施しました。最新版のShade3D Ver.26ではマウス操作で直感的に複雑繊細な造形を可能とするスカルプトモデリングをはじめ、道路線形の縦断線形編集機能、UV編集機能強化などモデル作成の強化を行っており、その他、AIヘルプサポート、パラメトリックツールやメタバニアF8VPSリアルタイム連携機能の強化点などについて、デモも交えて説明しました。併せて、国産ゲームエンジン「スイート千鳥エンジン®」の最新情報も紹介しています。

    「Shade3Dの新機能の紹介 メタバースへの適用、スイート千鳥エンジンの活用」

    フォーラムエイトShade3D開発グループ
    御厨 啓補

    AI×Web3が切り開く創作と証明の新時代

    2つ目のプレゼンテーションは、フォーラムエイトのケンブリッジ虎ノ門研究室および蘇州イノベーションハブから、マーク・アウレル・シュナベル技術顧問と、同ハブのインゲ・シュナベル室長が発表を行いました。

    NFT技術がもたらす真正性証明と社会実装

    マーク・アウレル・シュナベル氏は、まじもんF8NFTSを「デジタル証明書」と位置づけ、コンテンツにメタデータを付与してブロックチェーンに登録することでオリジナル性とアクセス権を保証する仕組みを紹介しました。フォーラムエイトのWeb3システムでは、メタファイル生成、契約設定、NFT化という流れで運用されます。この活用例として、4大学による卒業証書のNFT化が挙げられ、その他、カーボンサーティフィケート、製品の真正証明、ハードディスク削除証明、観光・スポーツイベントでのNFTチケット、不正転売防止といった応用可能性を紹介。たまなメタバースやラリージャパンとの連携事例で示現している、デジタル体験と現実行動を結び付ける新たな価値創出についても触れました。

    AIが刷新する漫画制作と新たな創作技術

    インゲ・シュナベル氏は、生成AIの普及が漫画制作工程に大きな変化をもたらしていると説明。従来、背景描画には1日を要することもあり、小規模スタジオでは負担が大きかったが、FOXAI(F8-AI MANGA®)ではプロンプトに基づいて画像を生成し、短時間で膨大な素材を作り出すことで作業効率を飛躍的に向上させ、制作への参入障壁を下げられることを説明。一方で、感情表現の弱さや一貫性の欠如、著作権や倫理的検証の必要性も指摘し、今後は人間とAIが役割を分担するハイブリッド制作モデルが主流になるとした。プロンプトアーティストや技術アーティストなど新たな専門役割も登場しており、創作チームのあり方が変化している。AI漫画プラットフォームの拡大やウェブトゥーン読者の増加を背景に、漫画制作の未来はさらに進化すると展望を語りました。

    「インテリジェント・クリエイティビティと信頼できるオーナーシップ:FORUM8のAI & Web3イノベーション」

    ケンブリッジ虎ノ門研究室、蘇州イノベーションハブ 技術顧問
    マーク・アウレル・シュナベル

    蘇州イノベーションハブ 室長
    インゲ・シュナベル

  • VR第13回 学生クラウドプログラミングワールドカップ
    公開プレゼン・表彰式

    社会実装を見据えた先端技術が集結─モビリティ分野が主役に

    CPWCクラウドプログラミングワールドカップは今回で第13回となる学生向けのコンテストです。エンジニアリングやプログラミングのスキルを用い、バーチャルリアリティやシミュレーションなどフォーラムエイトのアプリケーションを使ったプロジェクトを対象としています。

    第13回CPWCクラウドプログラミングワールドカップは33組がエントリーし、7月の審査を経て最終的に13作品が選抜され、Day2でプレゼント最終審査が行われました。今年はWeb4.0時代を見据えた実践的・技術的水準の高い作品が揃い、特にエコドライブやトラフィックシミュレーション、デジタルツインなど、モビリティ領域の課題解決に焦点を当てた実用性の高い提案が多かった点が特徴となりました。一方で、デジタルとフィジカルをどう統合し社会に接続するのか、その関係性をより明確に示す余地があるとの指摘も見られました。全体的に奇抜さよりも堅実なアプローチが目立ち、各チームが明確な目標と解決策を設定し、技術的裏付けを伴った完成度の高いプロジェクトを構築しており、全体的にもプレゼンテーションとシステム完成度の高さが見られました。

    審査員(右から)福田 知弘 氏、佐藤 誠 氏、楢原 太郎 氏、ペンクレアシュ・ヨアン 氏

    Intelligent Driving Escort Team(北京交通大)によるグランプリ作品「Brain control emergency takeover method and system for driver facing automatic driving failure」は、自動運転車の緊急時における運転引き継ぎを想定し、脳波を用いた早期意図認識技術を開発。リアルタイム脳波取得プラットフォームや自動運転故障シミュレーション環境を構築し、90%精度で運転意思を判定する機械学習モデルを実現した点が高く評価され、現実的なテスト環境に基づく実装力も選出理由となりました。

    グランプリ表彰の様子

  • VR第15回 学生BIM&VRデザインコンテスト オン クラウド
    公開プレゼン・表彰式

    周南市を舞台に広がる未来都市の提案

    第15回Virtual Design World Cupは世界中から34件の応募があり、第一次審査を通過した12チームが最終審査でプレゼンテーションを行いました。テーマは「動物園に続く道」。徳山駅と徳山動物園をつなぐプロムナード計画を通じて、周南市の魅力を再発見し、都市の未来像を描く取り組みとなりました。

    プレゼン・最終審査に先立ち、今回の作品制作の課題となった周南市から原田氏が登壇し、「素晴らしいコンテストが周南市を舞台に開催されたことに感謝します。学生の皆さんの発想を楽しみにしておりました」と述べました。ちょうどこの日に同市の自動運転バスの実証実験がスタートしたことなどにも触れ、これから様々な挑戦を進める都市として、世界中の学生から応募された作品のまちづくりのアイデアへの期待と激励が伝えられました。

    最終審査では、動物をテーマとした想像力豊かな提案が多く、未来的なモビリティ技術だけでなく、人と動物、都市と自然の新しい関係を問い直す視点が高く評価されました。AIを単なる技術としてではなく、観察者と対象の関係性や哲学的問いに発展させた点、生態系や環境との調和を意識した構成、歴史や地域性との結びつきなど、多角的なアプローチが印象に残ったとの総評が示されました。奇抜さだけではなく社会実装を見据えた実現性と深い思考を兼ね備えた作品群が揃い、審査員からは「未来はすでに始まっている」という言葉が印象的に語られました。

    審査員(左から)池田 靖史 氏、コスタス・テルジディス 氏、C・デイビット・ツェン 氏、ミホ・マゼレウ 氏

    グランプリに輝いたOOZ(台湾・国立成功大学)の「The Road」は、動物園へ続く道を都市再生の媒体と捉え、徳山駅から徳山動物園までの空間を持続可能な公共環境として再構築する提案です。動物のキャラクター性を都市文化へ結び付け、コミュニティの再生を促す点が高く評価されました。審査員からは、BIMテクノロジーの社会的価値を改めて実感させるプレゼンだったとのコメントも寄せられました。受賞者は「動物を街へ出し、持続可能な都市の実現を目指した」と語っています。

    グランプリ表彰の様子

  • VR第11回 ジュニア・ソフトウェア・セミナー 表彰式

    Day2の締めくくりとして、「第11回ジュニア・ソフトウェア・セミナー」表彰式が開催されました。冬・春・夏休みに開催されているジュニア・ソフトウェア・セミナーに参加した小・中学生のVR作品を紹介し表彰するもので、今回はゴールドプライズとシルバープライズがそれぞれ6作品、ブロンズプライズが9作品の受賞。パックンの司会進行で受賞作品の表彰・インタビューが行われ、炎のイルミネーションに彩られた神秘的な街や、お菓子の家、近未来の島と都市など、UC-win/Roadの機能を駆使して独創的な表現を発揮した力作が紹介されました。

    賞状授与と記念撮影の様子

  •  ネットワークパーティ

    全セッション終了後に、今年は「クリスマス」をテーマにしたネットワークパーティを開催。コンテスト受賞者皆様への祝福の気持ちを込めると共に、講演者、出席者の皆様も交えた交流の場となりました。DJ ONI氏のミュージックプレイを背景に、参加者はドローンを使ってお菓子をゲットする「ドローンキャッチャー」ゲームなどを楽しみ、また、ARデバイスによりインタラクティブなグラフィックを描く「Open brush ~VR ART~」のパフォーマンスが会場を盛り上げました。

DAY3REPORT11.21Fri9:50-17:00

  • VR第11回 最先端表技協・最新テクノロジーアートセッション
    第9回 羽倉賞発表

    五感の表現技術が社会を変える─デジタルツイン・AI・Web3の最前線

    冒頭の長谷川章・最先端表現技術利用推進協会(表技協)会長による挨拶に続いて、第9回羽倉賞の表彰式が行われ、羽倉賞、2つの企業賞(フォーラムエイト賞)、2つの優秀賞、4つの奨励賞が発表されました。今回羽倉賞を受賞したのは、NHK放送技術研究所の「触覚と香りで体感する3次元コンテンツ~体感!昭和100年商店街砧ラボと一緒におでかけリポート~」。体験者が登場人物と感覚を共有することで、言語に加えて直感的に情報や感情を伝えることができるものです。審査委員の佐藤誠・東京工業大学名誉教授は、かき氷を削る感覚や冷たさ、香りを通して、昭和の情景が鮮やかによみがえることに触れ、「五感を用いた新しい放送体験の可能性を探求しており、未来に向けた大きな一歩」とコメントしました。

    また、フォーラムエイト賞は、東京大学 先端科学技術研究センターの「超人スポーツ・身体×テクノロジーの社会変革」と、株式会社ラピートの「世界初、熱可塑性複合材(CFRTP)プレス一発成形でホイールを実現」が受賞。前者は、テクノロジーやAによって拡張された能力を人間が自在に扱う人間拡張工学の研究、後者は、世界初の熱可塑性複合材のプレス成形技術を活用したホイール開発により、自動車分野の環境負荷軽減と次世代材料活用に貢献するもので、いずれも社会の課題解決への貢献が期待される革新的技術となりました。

    会長挨拶

    最先端表現技術利用推進協会 会長 長谷川 章 氏

    デジタルアートクリエイター
    1947年石川県小松生まれ。日本民間放送連盟TVCM 部門最優秀賞を始め、ACC賞など数々の賞を受賞。NHK大河ドラマ「琉球の風」を始めNHKニュース、中国中央電視台(CCVT)ロゴ、企業TVCMなど、数千本を制作。

    長谷川章氏による挨拶では、デジタル掛け軸をはじめとする表技協の活動を紹介

    羽倉賞受賞者の皆様

    続いて、プレゼンテーションとして、表技協より、同協会が取り組む、五感を対象とした表現技術の普及・活用支援の内容が紹介されました。表技協は、調査研究、コンテンツ制作支援、人材育成、企業・団体のマッチングを行い、羽倉賞やシンポジウム、展示会出展などを通じて社会に新たな表現の可能性を発信しており、照明装置やAR災害疑似体験、3Dハザードマップなどの事例や、「UC-win/Road」「ForumSync」「まじもんF8NFTS」「F8-AI MANGA」などの先端技術活用事例も紹介され、デジタルツイン・AI・Web3による社会実装が加速している現状が示されました。

    プレゼンテーション「最先端表現技術普及活用支援の取り組み、デジタルツイン・メタバース・AI・NFTの活用」

    フォーラムエイト 技術・広報マネージャ 小屋 晋吾

    さらに、フォーラムエイト開発担当者より、「多発する水害に対するUC-1シリーズの有効性とAI・Cloud化への取り組み」と題したプレゼンとして、防災・減災を支援するUC-1シリーズの最新展開について紹介しました。同シリーズは、耐震設計に加えて斜面崩壊解析や土砂移動解析、水理・下水道分野の水害対策に幅広く対応しており、浸水氾濫解析、BOXカルバート設計、下水道耐震設計、河川護岸設計など、各種基準に適合した製品を提供しています。特に今年7月リリースの浸水氾濫解析システムは、表面流・河道不定流・二次元氾濫解析を統合し、複数河道同時計算やDXF/TIN読込など高度な解析を実現しています。さらに、最新バージョンのBOXカルバート設計や矢板式護岸の3D設計に加え、製品操作をAIが支援する「F8-AI UCサポート」を紹介し、今後クラウド版との連携を強化する方針を示しました。道路示方書改定への対応も進められており、継続的な機能拡張が期待されます。

    プレゼンテーション「多発する水害に対するUC-1シリーズの有効性とAI・Cloud化への取り組み」

    フォーラムエイト執行役員 UC-1開発マネージャ 中原 史郎

  • VR第18回国際VRシンポジウム

    AI連携による建築・都市・VR分野の新プロジェクトを模索

    World16 Chairとして、小林佳弘・アリゾナ州立大学コンピュータAI学科教授による挨拶でスタート。国際研究グループWorld16は、2007年の第1回VRシンポジウム以来、毎年の成果発表を続けてきました。

    今年は「Integration of AI with F8 Products」をテーマとし、急速に発展する生成AIをFORUM8のVR・3Dツールといかに統合するかにフォーカスして、ローマ・サピエンツァ大学でワークショップが開催されました。小林氏は、各メンバーが提出した、AI連携による建築・都市・VR分野の新しいプロジェクトについて、レビューを紹介。総括として、今年の成果は「AIそのものの研究ではなく、AIが既存ソフトウェアを動かす実装・検証を提示した点にある」と述べ、複数ソフトを連携させるMCP技術が今後の大きな研究テーマとなると締めくくりました。

    「国際VRシンポジウム、世界のXR、AI研究最先端〜第16回サマーワークショップより」

    アリゾナ州立大学 コンピュータAI学科 教授 小林 佳弘 氏

    PARAMETRIC MODELING FOR FIRE SAFETY AND VR DESIGN STUDIO

    ピサ大学 パオロ・フィアマ氏

    UC-win/RoadとIFCモデルを統合し、地下研究施設での防災シミュレーションを提案。通常は可視化が難しいトンネル空間をデジタルツインとして再現し、火災時の避難誘導や救急隊の初動対応を検証可能にするシステムを構築しています。

    A.I. Generated Circular Constructions

    ハンゼ応用科学大学 アマル・ベナージ氏

    解体建物の部材をデータベース化し、再利用部材で新しい建物を設計する研究を紹介。従来手作業だった部材選定をAIと3Dソフトで自動化できるかを検討し、持続可能な建築の実現を目指しています。

    Interaction with AI agent in F8VPS

    シェンカー大学 レベッカ・ビダル氏

    F8VPS内でAIと連携したインテリアデザインツールを開発。家具などの3Dモデル生成と配置をAIが支援し、ユーザはプロンプト入力だけで多様なデザイン検証が行える仕組みを提案しています。

    XR RACE EXPERIENCE

    バージニア工科大学 トーマス・タッカー氏

    最新ハプティックスーツを利用した没入型VR体験を提案。振動や力覚を再現し、Rally Japanのラリー車内を全身で体験できるシステムを構築しています。

    Digital Twin System Development

    マイアミ大学 ルース・ロン氏

    大学キャンパスのデジタルツイン化を推進する取り組みを紹介。放射収支観測器のリアルタイムデータをF8VPSで3D可視化し、ビッグデータの活用を可能にするDBと表示システムを開発しています。

    Adding Media/PDF to F8VPS

    バージニア工科大学 ドンスー・チョイ氏

    3D動画コンテンツをF8VPSへシームレスにアップロードし、XRデバイスで共有できるシステムを提案。オンラインVR環境でより直感的な情報共有を目指しています。

    XKART

    香港理工大学 スカイ・ロー氏

    レールブロックを組み合わせて自動的にVRローラーコースターを生成するシステムを提案。センシング技術で接続位置を検出し、360度シミュレーターと連動したVR体験を可能にしています。

    F8VPS Backdoor MCP Server

    ジョージア工科大学 マシュー・スウォーツ氏

    生成AIでソフト操作を自動化するMCP技術をF8VPSに応用。AIが3Dソフトを操作してモデル生成を行う仕組みを構築し、プロンプト入力で3Dモデル作成に成功しています。

    F8 AI-Designed Kids Cars

    同済大学 コスタス・テルシディス氏

    子供向け3D生成教育プログラムを紹介。生成AIで作った車をUC-win/Road内で運転できるシステムを構築し、ジュニアセミナーとの連携を提案しています。

    VR navigation with Generative AI

    カリフォルニア大学サンタバーバラ校 マルコス・ノバック氏

    LLMと既存ソフトを連携させ、UC-win/Roadをプロンプト入力で操作可能にする仕組みを提案されました。複数ソフト間連携の可能性を示され、今後の実用化が課題と指摘しています。

    F8 Smart Hat

    西安交通リバプール大学/Forum8 CIC Tokyo マーク・アウレル・シュナベル氏

    各種センサーと通信機能を搭載した作業員用ヘルメット「F8 Smart Hat」を提案。作業データの蓄積やエッジ処理が可能で、新技術を活用した管理に期待が寄せられています。

    本年は、第16回目を迎えたサマーワークショップのVR活用提案においてより優れた取り組みにフォーカスした特別講演を実施しました。

    「AI拡張型建築デザイン最新動向:生成モデルによる創造性とワークフローの強化」

    ニュージャージー工科大学 芸術デザイン学科 准教授 楢原 太郎 氏

    楢原太郎・ニュージャージー工科大学芸術デザイン学科准教授は、建築・都市設計における生成AIの活用について最新事例を紹介しました。生成AIは膨大なレンダリング作業を効率化し、建築家がより創造的思考に集中できる環境を実現しつつあります。

    初期のコンセプト段階ではMidjourneyなどの画像生成AI、形態が固まった段階では画像変換技術、そして最終段階では静止画からアニメーション生成など、フェーズに応じた最適なAI活用が重要と述べました。さらに、AIと環境評価ツールの連携により、CO2排出量や施工コストを考慮した建築形状の最適化や、多様な建築・インテリア案の高速生成が可能になってきています。都市デザインでも群集流れの可視化やレイアウト提案が行われ、初期検討の幅が大きく広がりました。一方で、AIは創造性を拡張する強力なツールではあるものの、依然として人間の意図を完全に反映する段階にはなく、編集可能な3Dモデル生成など今後の進化が期待されるとまとめました。

    「XR・メタバース最前線 ― AI・3D再構成・デジタルツインが切り拓く新たな地平」

    大阪大学 環境エネルギー工学科 教授 福田 知弘 氏

    福田知弘・大阪大学環境エネルギー工学科教授は、XRやデジタルツインが建築・都市設計を中心に社会の多分野で活用され、合意形成や設計検討のプロセスを大きく変革させている現状について紹介しました。

    VRMLからGPUベースの最新環境まで技術は急速に進化し、熱解析+VR、デジタルヘリテージの復元、MRによる現地映像と3Dモデルの統合、ドローン映像の自由視点化など、実空間を高度に把握し共有する手法が確立されています。さらに、AIとの連携により、空間再構成、物体認識、背景補完、BIM自動生成、浸水被害の検出などが実装され、現場判断の迅速化と表現力が向上しています。一方、デジタルツインは内部データの精度が重要であり、見た目だけ整ったモデルが誤解を招く可能性が指摘されました。これらの技術は都市評価、災害教育、遠隔協働などに広がり、実空間と仮想空間を融合した新たなデザインワークフローを形成しつつあると結びました。

  • VR第19回 デザインカンファランス

    「浸水氾濫モデルの開発の歴史と洪水リスク評価モデルへの発展」

    芝浦工業大学 名誉教授
    守田 優 氏

    浸水氾濫モデルの進化 ― 洪水リスクへの被害額の反映、リスク評価における不確実性対応へ

    Day3午後の部後半は守田優・芝浦工業大学名誉教授による特別講演「浸水氾濫モデルの開発の歴史と洪水リスク評価モデルへの発展」でスタート。内水氾濫を含む豪雨災害が頻発するなか、流量変化や浸水氾濫を計算するモデル開発が進展し、そのためのパッケージ・ソフトウェアも普及。それらを利用して様々な予測を考えるに当たり、今日に至るモデル開発の歴史を理解しておく必要がある、との考えを説きます。

    まず、浸水氾濫モデルの概念に触れた後、1950~2000年代を4つの世代に分けて流出・浸水プロセスのモデル化の変遷を整理。戦後、ピーク流量に加え確率やハイドログラフの算出が求められた「前コンピュータ世代」の3モデル(応答関数型モデル、概念モデル、雨水流モデル)、都市化を受けた総合治水の推進、土地利用の変化を評価する「準線形貯留型モデル」(1977年)に次いで、1980年代以降大型PCの利用拡大とともに都市域の流出解析モデルの主流となる「物理モデル」の概念、同時期に守田研究室で開発した浸水氾濫モデルへと話を展開。さらに「パッケージ・ソフトウェア世代」の2000年代以降はPCの能力向上と市販ソフトの普及が進展。東海豪雨(2000年)を機に注目されたハザードマップの、情報公開法(2001年施行)や水防法の改正(2001年)、その後の宅地建物取引業法施行規則の一部改正(2020年)を受けた作成ニーズの高まり、2005年の国際雨水排除会議(ICUD)で発表されたxpswmm、2000年代以降に欧米で開発が進んだ都市流域を対象とする浸水氾濫解析や下水道水理解析の各種ソフト、豪雨期に雨水で菅水路が満管状態となりマンホールから水が噴き出し内水氾濫を引き起こす現象を簡易に計算する「プライスマン・スロット」に言及しました。

    これらを受けた浸水氾濫モデルの今後の発展方向として、1)減災計画のためのハザードマップから減災行動を含むそれへの進化、そこでの可視化やリアルタイムな浸水氾濫標示の避難行動への活用、AI導入によるハザードマップ作成、2)計算精度と計算安定性に加え、浸水氾濫モデルに求められる扱いやすさと計算負荷の軽減、3)制御可能な排水区の施設を雨水流出状況を把握しつつ制御する「リアル・タイム・コントロール(RTC)」、4)洪水リスク評価モデルにおける対象の浸水深から被害額への移行、その洪水リスク定量化への反映、5)洪水リスク評価における不確実性の導入、その一例として確率の幅を持った予測が可能な「モンテカルロ・シミュレーション」を紹介しました。

    FEM解析ソリューションの最新情報と事例紹介

    ナショナル・レジリエンス・デザインアワードの前に、フォーラムエイト解析支援グループより、構造・地盤・浸水・避難・エネルギーなど多様な分野を対象としたFEM解析技術の提供についてプレゼンを実施。Engineer’s Studio®とFEMLEEGの最新機能や活用事例について紹介されました。Engineer’s Studio® Ver.11 では初期断面力対応や地盤ばね自動生成など実務性を高める機能が追加され、開発中のVer.12ではプッシュオーバー解析を正式搭載し、構造性能評価を一貫して行えるようになります。FEMLEEG Ver.15ではShade3Dとの連携により、モデリングから解析までを効率化しています。事例として、浸水・群集・火災連成・エネルギーシミュレーションが示され、特に品川駅西口再開発の群集解析やデータセンターの省エネ評価など、計画立案への高い有効性が強調されました。

    プレゼンテーション「FEM解析ソリューションの最新情報とシミュレーション事例」

    フォーラムエイト 解析支援グループ グループ長代理 松山 洋人

  • VR第12回 ナショナル・レジリエンス・デザインアワード 受賞作品

    回を重ねるごとに内容充実、現状の気づきや苦労に基づく挑戦にも期待

    Day3午後の部終盤は、「第12回ナショナル・レジリエンス・デザインアワード(NaRDA)」の各賞発表と表彰式を実施しました。
    NaRDAは2014年、国土強靭化に資する取り組みの顕彰を目的として創設。対象は構造解析(土木・建築)や地盤工学、水工学、防災の各分野における具体的な活用事例です。多くのエントリー作品から8作品をノミネートし、審査委員長の吉川弘道・東京都市大学名誉教授、審査員の守田優・芝浦工業大学名誉教授および若井明彦・群馬大学大学院理工学府教授が本審査を実施して、各賞が決定しています。

    授賞式の様子

    講評の様子

    その結果、グランプリは、内外エンジニアリング株式会社の「能登半島地震により傾斜した堤防護岸の耐震性能照査手法の確立 -残留傾斜に応じた対策要否の早期判定を目指して-」が受賞しました。能登半島地震により七尾湾沿岸の主に重力式コンクリート構造の堤防護岸の多くが被害を受け、傾斜した状態で残存していた中、その安定性評価(残存耐力照査)を実施。被災直後に早期復旧に向け、被災した堤防護岸244ケースの傾斜角を測定し順位付けのチャートを作るという臨場感溢れる取組が大きなポイントになった(吉川氏)と位置づけられました。

    準グランプリは、三井共同建設コンサルタント株式会社の「盛土規制法における条件の違いが盛土の滑動崩落に与える影響 -大規模盛土造成地滑動崩落防止事業の円滑化に向けた提案-」。現場において材料毎に概略的な盛土形状を簡易的に評価できる関係性を新たに提示し、既存ソフトを既存ソフトを用いた運用方法を例示。盛土規制法に関連し、UC-win/Roadや斜面の安定計算により、地形情報から対策工まで一連の作業をトータルシステムで対応。CIMを活用したデータ連携による効率化も併せて評価(守田氏)されました。

    審査員特別賞(吉川氏選考)は日鉄テックスエンジ株式会社の「過密配筋におけるCIMモデルの活用 -フロントローディングへの取組-」が、審査員特別賞(守田氏選考)は株式会社溝田設計事務所の「都市部における内水氾濫リスク評価と対策の立案 -1D/2D統合氾濫モデルによる浸水シミュレーション-」が、審査員特別賞(若井氏選考)は有限会社エフテックの「三次元地すべり解析による対策工の設計 -二次元解析と三次元解析結果の比較と設計への反映-」がそれぞれ受賞。各審査員による各賞の発表・授与を受け、吉川審査委員長が今回コンテストを総括。12回目となったNaRDAは着実に盛況かつ充実した内容になってきているとした上で、作品を審査するうちに「ここをこうしたらいいのでは」といったアイディアが浮かぶこともあると言及。そのような気づきや現状苦労していることを次回の応募に繋げてもらえたらとの期待を述べました。

    進行を務めた家入 龍太 氏

    審査員(左から)吉川 弘道 氏、守田 優 氏、若井 明彦 氏

ARCHIVE過去の開催レポート