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   ホーム > セミナーフェア > セミナーレポート > 第1回 国際VRシンポジウム
 VR-Studio(R)世界展開のための国際学術グループによるシンポジウム

(Up&Coming 2008年1月号)
世界の建築系研究者による 3D・VRモデル検討WGの組織化と最新の活用事例

 フォーラムエイトは2007年11月20日、「第1回 国際VRシンポジウム(1st International VR Symposium)」を東京本社GTタワーセミナールームにて開催いたしました。
 当社ではそれとは別に、3次元リアルタイム・バーチャルリアリティ(VR)ソフトウェアパッケージ「UC-win/Road」(2000年5月初版リリース)の 「2002年度 ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」受賞を機に毎年11月、優れたVR作品を競い合う場として「3D・VRシミュレーションコンテスト by UC-win/Road」を実施。 回を重ねる中で2007年11月21日には第6回目となるコンテストを東京コンファレンスセンター・品川で開催しています。 これは、技術発表を通じてモデリング技術のいっそうの向上と併せ、高度かつ多様な活用事例の開拓を促進しようとの目的によるものです。
 「UC-win/Road」は日本語のほか英語、中国語、韓国語といった複数言語に対応。それとともに、近年は国内外で「UC-win/Road」の活用シーンが着実に拡大。 こうした流れを反映して、海外からの同コンテストへの参加も目立ってきています。
 さらに、次期戦略VR製品として開発中の「VR-Studio」のリリースを控え、それを核とした今後の世界展開を視野に、 前述のコンテストと連携する形でVRにフォーカスした学術グループの形成と国際シンポジウムの運営を図っていくこととしました。

世界8大学の専門家が集う 「World8」 とシンポジウムの位置づけ

 「国際VRシンポジウム」実現の契機となったのは、2007年8月に米サンディエゴ(カリフォルニア州)で開かれたSIGGRAPH 2007への参加です。 そこで当社展示の目玉の一つとしてアリゾナ州立大学建築・ランドスケープ学科の小林佳弘アシスタントプロフェッサーにご講演いただいた際、 今回の構想が提案され、その実現に向けてご尽力いただくことになりました。
 ただ、急な決定ということもあり、前述のコンテストと連動したスケジュールで会場を確保するのが難しく、今回は当社セミナールームで開催しました。 その代わり「第2回 国際VRシンポジウム」につきましては、2008年11月19日東京コンファレンスセンター・品川での実施が (翌20日同会場での「第7回 3D・VRシミュレーションコンテスト by UC-win/Road」開催と併せ)既に決定しています。

 今回シンポジウムの開催に当たって小林佳弘氏はまず、現状ではほとんどのVRモデルが静的なモデルに過ぎず、交通や人間の行動が扱われていない反面、 それらを動的なモデルとして可視化することへのニーズは多いと言及。 また、これまで多くの関連するアイデアや技術が開発されながら、それぞれ異なるプラットフォームに基づいているため、なかなかそれら知識の共有を図ることが困難な状況にあると述べます。
 したがって、
(1)交通・人間モデルをはじめ動的なエージェントやコンテンツを伴う新たなVRアプリケーションの探求
(2)建築系の学識経験者とフォーラムエイトのようなソフトウェア開発企業とを繋ぐ研究開発の新たな枠組みの構築
(3)共通のプラットフォームを使った3D都市のモデル化・可視化に関する世界的な専門ワーキンググループの形成
― の3項にわたって実現していく必要があるとの構想を描きます。

 その中でとくに今回イベントに課された使命として、「UC-win/Road」を用いたVRモデルの作成(デモンストレーション)、 共通プラットフォームを通じた3Dモデル化・可視化に関する知識の共有、さらにこの先1年間にわたるそれら活動を通じた「UC-win/Road」を利用するためのツール開発、などが想定されました。 つまりその成果は、世界的な知識の蓄積、教育と実務の協同、研究ツールと商用製品との融合 ― といった価値に結び付くはずと説きます。
 こうした小林佳弘氏の発想と、フォーラムエイトのVR分野における世界展開を目指す経営方針とが一致。 その結果、
(1)世界的なWG設立を宣言する「第1回 国際VRシンポジウム」(2007年11月)
(2)各メンバーがそれぞれのVRモデルを持ち寄るアリゾナ州立大学でのワークショップ(2008年夏)
(3)メンバーそれぞれのVRモデルなどについて発表する「第2回 国際VRシンポジウム」(2008年11月)
― という具体的なスケジュールが策定されるに至りました。

 これらの趣旨にご賛同いただいた学術研究グループ「World8」を構成するメンバーは、
ハーバード大学大学院デザインスクールのコスタス テルジディス准教授
同デザインスクール博士課程の楢原太郎氏(米国)
マギル大学建築学科長のマイケル ジェムトラッド准教授(カナダ)
ニューキャッスル大学建築・都市計画・景観学科のカルロス カルデロン建築情報学教授(英国)
バーレーン大学工学部建設・建築工学科のワーイル アブデルハミード・アシスタントプロフェッサー(バーレーン)
ザーイド大学ドバイ校総合科学部のロナルド ホーカー造形准教授(UAE)
チリ・カトリック大学建築・設計・都市研究学部のクラウディオ ラバルカ モントーヤ教授(チリ)
大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻の福田知弘准教授(日本)
および小林佳弘氏
― の8大学9氏。
「World8」では今後、VRモデルの他の国々へのデモンストレーション、学術財団の資金提供による世界的な研究プロジェクトの開発、本プロジェクトに関する学会発表資料・機関誌論文の発行、教育プログラムの開発を目指す考えです。

各国における多様なVRモデル活用例が一堂に

 その皮切りとなった「第1回 国際VRシンポジウム」ではまず、主催者(当社代表取締役社長・伊藤裕二)、 さらに小林佳弘氏より「World8」およびシンポジウムの趣旨を説明。次いで、「World8」の各メンバーがそれぞれの研究とVRモデルを活用した事例などについて順次発表を行いました。
 最初に、アリゾナ州立大学の小林佳弘氏および同プロジェクト研究者が、同大学の新キャンパス構想を含むフェニックス市ダウンタウン開発での検討も視野に3Dプラットフォーム構築を目指す「デジタル・フェニックス・プロジェクト」を紹介。 ハーバード大学のコスタス テルジディス氏は「VRとBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の統合」について、 同じく楢原太郎氏は「住宅設計における複数制約発生アルゴリズム」についてそれぞれ発表。 マギル大学のマイケル ジェムトラッド氏が「実行および参加:設計、工学および技術における次世代ネットワークを利用した遠隔共同作業」、 ニューキャッスル大学のカルロス カルデロン氏が「対話式3Dリアルタイム技術の拡張」、 バーレーン大学のワーイル アブデルハミード氏が「WIKIYO-Eシステム:3Dモデリングおよび設計共有システム」、 ザーイド大学のロナルド ホーカー氏が「ラス・アルハイマの再生:アラブ首長国連邦のラムス(Rams)とダヤ(Dhayya)を結ぶ回廊」、 チリ・カトリック大学のクラウディオ ラバルカ モントーヤ氏が「都市のモデル化と可視化の探求:チリにおける学術・専門的経験」、 大阪大学の福田知弘氏が「環境デザインとCG/VR ― 共生に向けて」 ― と題してそれぞれ講演を行いました。

 さらに今回シンポジウムでは、これら「World8」メンバーによる発表に加え、韓国・国民大学校大学院のリー ウンソン自動車工学科長が「交通安全のための運転シミュレーション」、 慶尚大学校土木工学科のカン リーンセオク建設マネジメント教授が「土木工学事業における4D:CADシステムの適用」と題してそれぞれ基調講演。 また、英国交通研究所TRLアカデミー理事のニール ポーリー氏が「英国における交通のモデル化」について招待講演、最後に大成建設株式会社の関文夫氏が富士スピードウェイのプロジェクトに焦点を当てVRモデルの活用事例を紹介する特別講演を行っています。

▲World8 アリゾナ州立大学 (USA)
Prof. 小林 佳弘

▲World8 ハーバード大学 (USA)
Prof. Kostas Terzidis

▲World8 ハーバード大学 (USA)
楢原 太郎 氏

▲World8 マギル大学 (Canada)
Prof. Michael Jemtrud

▲World8 ニューキャッスル大学 (UK)
Prof. Carlos Calderon

▲World8 バーレーン大学(Bahrain)
Prof. Wael A. Abdelhameed

▲World8 ザーイド大学 (UAE)
Prof. Ronald Hawker

▲World8 チリ・カトリック大学 (Chile)
Prof. Claudio Labarca Montoya

▲World8 大阪大学 (Japan)
Prof. 福田 知弘


▲Key Speaker 国民大学校 (Korea)
Prof. Woon-Sung Lee
▲Key Speaker 慶尚大学校 (Korea)
Prof. Leen-Seok Kang
▲招待講演 TRL Academy(英国交通研究所)
Mr. Neil Paulley
▲特別講演 大成建設株式会社
関 文夫 氏

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