| 
 
  
    
      | ユニバーサル・コミュニケーションデザインの認識と実践
 
 |  
      | 
 
                    
                      
                        | 
                          
                            
                              | 太田 幸夫 ビジュアル・コミュニケーションデザイナー、太田幸夫デザインアソシエーツ代表
 特定非営利活動法人サインセンター理事長、多摩美術大学 前教授
 LoCoS研究会代表、日本サイン学会理事・元会長、日本デザイン学会評議員
 一般財団法人国際ユニバーサルデザイン協議会評議員
 A.マーカスデザインアソシエーツ日本代表
 |  |  |  |  
 |  
      | Vol.10 | 『コミュニケーションデザイン』のシリーズ本が意味するもの |  
      |  |  |  
  
    
      | 建築、インテリア、グラフィック、プロダクトなど、これまでデザインの領域は縦割りで捉えられてきた。本書シリーズ全5巻では、そうした専門領域相互の重なりや境界領域の問題、あるいは相互関係などに見とれる今日的な問題にスポットを当てて、デザインの果たす新たな役割と可能性を例証している。 
 コミュニケーションという用語はこれまで長い間、新聞やテレビをはじめとするマスコミと混同されてきた。そして”伝える側”と”伝えられる側”を前提にして取り上げられてきた。けれども”コミュニケーション”と”マスコミュニケーション”を混同してはいけない。混同してとらえると、本質が見えなくなる。マスコミュニケーションの場合、新聞なりテレビなり、そこには必ずメディアが存在している。そのメディアの活用に必要な組織が関わっている。組織が関わるメディアを活用して組織が目的とする経営の力が働いている。はじめから一定の目的と組織力と経営力が決まっている中で、公平で民主的なコミュニケーションを望むことはむずかしい。最大公約数に落ちつかざるをない。
 
 本来のコミュニケーションにおける主体者は一人一人にある。人だけでなく生き物すべてが、動物も植物も、主体者たり得る。なぜならコミュニケーションとは”関わり”であり”関係”であるからだ。生きものすべてが満足できる関係を目指す手立て、これがコミュニケーションデザインの意味するところであり、目標といえる。そうした関わりのデザイン、あるいはふれあいのデザインを5冊の本でとりあげている。
 
 ちなみに3D/VRをコミュニケーションデザインのメディアとして取り上げてみると、現実でない視覚的なイメージを作成して、事前に評価してから現物を実現させる手法といえる。経費の無駄も少なく、後悔も少ない賢明な事前チェック作業だ。
 
 自然界において人間だけが現代のように繁栄した理由は、言語の活用機能が有効に働いた結果といえる。言語コミュニケーションでは、実在しない言語の意味によって事前に知らせることができるため、危険を回避する準備をしたり予測し対策を講じることができる。
 
 ただし言語の場合は学習が必要になる。3D/VAでは読まなくても見るだけで分かる。だから3D/VRの活用は、言語以上に効率がよいといえる。義務教育では読み書きそろばんを習得する。今後はその中に3D/VRの知識と技術を必修科目に入れて、すべての人に3D/VAを修得させたらよい。見れば分かる基礎能力は、生活の経験によってすべての人が体得しているので、読解力ならぬ視解力は身についている。日本においてフォーラムエイトがその先導を勤めれば、近い将来、あらゆる面で日本人が世界の最先端に位置付くことは間違いない。シリーズ本『コミュニケーションデザイン』でも、文章を少なく図版を多くして、見れば分かる素材として役立つものにした。
 
 
        
          2009年・2012年に出版後、不思議なことに高等学校の図書館などに売れているという。
            | 第1巻『いのちを守るデザイン』ではデザインの役割と可能性が試される。自然災害や環境機能の重層化とブラックボックス化に挑戦するデザインを紹介する。第2巻『共生のデザイン』では、人と環境、人といきもの、人と人をよりよく関係づけるデザインの事例を示す。第3巻『多様性のデザイン』では、ますます国際化する現代にあって一層強く求められる多様性との共存、その中での自己実現の道をさぐる。第4巻『地球市民のデザイン』では、差別や枠組みを乗り越えるデザインにスポットを当て、3.11以後の防災対策の可能性を検証した。第5巻『目で見ることばのデザイン』ではピクトグラムによる非言語コミュニケーションの新たな社会資産構築の可能性を紹介する。 
 デザインの専門書でありながら一般啓蒙書としてこれら全5巻を刊行できた理由は、その共編著者の顔ぶれにある。企画・執筆・デザインでプロジェクトを束ねた太田幸夫と、1960年には早くもスペースコンサルタンツと銘打った我が国初の事業に先鞭をつけたデザイナー牧谷孝則、デザイン全般の出版社と建築・空間デザイン事務所を経て生活文化を網羅する出版物を手がけてきた企画・執筆・編集者の藤原千晴、日本サインデザイン協会の創設に濱口隆一と共に貢献し、サインデザインの全国取材・研究調査・執筆活動で貢献したライターの坂野長美。4名の頭文字を束ねて共編著者名はFOMSになった。そこに元大手出版社で辞典編集のトップリーダーであった高橋昭と編集事務所を主宰する田中幸子の、監修並びに事務局としての大きな助力があった。日本図書館協会選定図書にもなった。版元は(株)遊子館、今は亡き親友の遠藤茂社長に感謝の気持ちが絶えない。
 |  |  |  
            | コミュニケーションデザインシリーズ ■著者: FOMS ■出版社: 遊子館
 |  そして『地球市民のデザイン』を高校生が買い求めていると聞く。
 |  
      |  |  
  
    
      
        | (Up&Coming '16 春の号掲載) |  
        | 
  |  | 
 
  
 
 
  
 
  
  
  
  
  >> 製品総合カタログ
 
 
  >> プレミアム会員サービス
 >> ファイナンシャルサポート
 
 
 
 
 |