兵庫県 姫路市
姫路市では情報技術(IT)の有効活用を積極的に進め、VR(バーチャルリアリティ)・CG(コンピュータグラフィックス)技術を駆使した3次元空間でのシミュレーションやプレゼンテーションの可能性に注目。
システム管理課がその運用主体となってフォーラムエイトの3DリアルタイムVRソフト「UC-win/Road」を導入。その3D空間シミュレーションシステムの利用環境を整備・運用する観点から同市市長公室総務部システム管理課係長の藤本康樹氏、同課の三木一伸氏および中西理恵氏に、一方、同システムを社会資本整備に活用する観点から同市建設局道路部街路建設課係長の柳川裕史氏に、それぞれお話を伺いました。
2005年度、システム管理課(当時は情報化推進室)を中心に都市計画部門・区画整理部門・建設部門の関係者が参加して「3次元空間シミュレーション導入検討会」を組織。一連の検討を通じ、「出来れば外部委託するのではなく、職員自ら3D空間のデータを作成し、シミュレーションなどのシステム操作を行えるソフトウェアが望ましい」とのスタンスが描かれました。
翌2006年度には検討会を「3次元空間シミュレーション運用委員会」として再編。検討会の要望に対応するUC-win/Roadを中心としたシステムが採用されています。システム導入後は職員自らデータ作成するための研修に続き、姫路駅から姫路城周辺の現況、さらに姫路城周辺地区の歴史的なみちすじの整備(通称「歴みち事業」)の一部「東部中濠(なかぼり)線」の3DVRデータ整備が取り組まれました。
当初は事業の各担当者が自らデータ作成することとされましたが物理的な制約もあることから、各自がデータ作成する中で中西理恵氏がそのサポートをするという体制でスタート。それが最近になって、都市計画部門へ異動したシステム管理課の前任者らを中心に、事業担当者が自らデータを作成しようという流れも浸透し、中西理恵氏がそれらをUC-win/Road上で統合するという連携作業が進んでいます。
同市ではこれ以外にも、「大塩学園通り」プロジェクトにおける計画案の比較検討、家老屋敷跡公園および美術館での景観シミュレーション、岡田交差点の交通シミュレーションなど、同システムの可能性を探るさまざまな試みも実施。それらを通じ、庁内や協議会など行政関係者向けプレゼンテーションでは一定の成果を上げてきたと振り返る一方、今後は住民説明会など市民サービスにこれをどう繋げていくかが課題と位置付けます。そのためにも、システム管理課ではより多くの職員が本来業務と並行して同システムを有効活用できるような環境を提供していきたいとしています。
(記事内容は2009年当時のものです)
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