鳥取県 境港市
漫画家水木しげる氏の故郷である境港市には水木しげる記念館があります。加えてJR境港駅から記念館までの街道沿い約800mの区間を「水木しげるロード」と称し観光地化されています。この水木しげるロードを全面的にリニューアルする計画が持ち上がった際、設計段階からの関係者や地域住民との合意形成のため、フォーラムエイトの3DVRモデルが採用されました。景観設計や交通実験など、設計段階からの様々な検証に主に使用され、加えて完成後の広報周知などにも活用されています。
水木しげるロードは、JR境港駅から水木しげる記念館のある本街商店街までの約800mの沿道と店舗で構成されています。1992年に境港市出身の水木しげる先生の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪のブロンズ像を歩道に設置し、街路として整備されました。記念館オープン当時の1993年は、その数わずか23体でしたが、地域を愛する人々のたゆまぬ努力により、来訪者とブロンズ像は年々増え続け、2010年には370万人を超える人々が訪れることとなり、2016年にはブロンズ像は153体、来訪者は通算3000万人を突破しました。
このように順調に成長してきた水木しげるロードですが課題も見えてきました。その1つが道路の老朽化への対応など、安全で快適な道のあり方です。そういった課題を解決するべくリニューアル計画を立案。ブロンズ像の再配置や植栽等の移設、道路の改良などが計画されました。
その中でも特に設計上の条件や問題をどのように修正し解を求めていくか、そして工事計画関係者を始め、地元住民やステークホルダーに対する説明ツール及び合意形成をどのように行なっていくか、という課題が持ち上がり、ICT技術を活用しアプローチすることが検討された。その結果、ICT技術の一つである3DVR技術を採用することに。リニューアル計画設計案の合意形成とPRのためVRシミュレーションモデルをフォーラムエイトが開発及び作成を担当しました。
水木ロードの顔である153体のブロンズ像は複雑な形状のため、大量の写真からSfM技術を活用し3Dモデルを生成。また景観設計にもシミュレーションが活用され、水木ワールドの持つ昭和レトロと独特な世界観の継承と道路景観をどう組み合わせるか、という課題に対して、色彩や素材、デザインといった瞬時で検証を行うことができるVR上での比較検証は大いに役立ったとのこと。さらに主役であるブロンズ像や植栽の配置のフィードバックにも活用されました。また、夜間照明演出の創造にもVR 3Dモデルが活躍。また9月に開かれた「怪フォーラム2016」では、VR鬼太郎が一反もめんに乗ってナビゲート。関係者や市民に具体像を披露しました。
完成したVRは、 JR境港駅前から始まり、一方通行化と共に拡幅したゆとりある安全な歩道、情緒溢れる昭和の面影が残る街並み、各妖怪ゾーン、水木しげる記念館までの道のり、と見どころ満載となっています。
また、候補として設計された新たな道路空間における道路機能の検証のため実施した交通社会実験結果を3DVRモデルへ反映。VR上で再現しての改善点等の検証や合意形成にも活用されたほか、広報媒体としても活用されました。
さらには情報プラットフォームとして新たな情報を上書きしてオープンデータとしてインフラ管理や災害現場での活用にも期待を持たれているとのことです。
また、境港市民交流センター(仮称)新築工事では、市民の交流の場、自衛隊との交流拠点、ホールが平土間となる災害時の避難所など多機能の施設となっており、建物の臨場感をPRするためVRを作成しました。(記事内容は2016年及び2020年当時のものです)
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