CASE STUDIES ADOPTED by Government Agencies and Local Governments. 官公庁 自治体ソリューション

道路
3D・VRシミュレーションコンテスト第9回 準グランプリ(優秀賞)

安全性向上アプローチにハイウェイドライビングシミュレータ活用

USER :

東日本高速道路株式会社



高速道路を3DVR技術でバーチャルモデル化

高速道路無料化社会実験をきっかけに導入に至る

高速道路の活用を通じて物流コストや物価を引き下げ、地域経済を活性化させることを狙いに、高速道路を原則無料化を目指す「高速道路 無料化社会実験」が平成22年から23年に掛けて行われました。
この社会実験を当面の重要なトピックと自ら位置づける東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)。その中で「管理事業部・ETC推進課」では、以前より交通安全のためのさまざまな対策を試行。さらに有効かつ新たなアプローチを探る中で、ドライバーが高速道路走行中に遭遇し得る多様な危険事象について3次元バーチャルリアリティ(3DVR)技術の利用により模擬体験するドライビングシミュレータ(DS)の開発、導入が着想されていたといいます。
 それが2009年度に、高速道路関連社会貢献協議会(事務局:財団法人高速道路調査会)の協力を得て具体化。安全運転の啓発を目的とし、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)および西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)と連携して活用する「ハイウェイドライビングシミュレータ」の開発・運用へと至りました。

(1)ETC開閉バーへの接触 (2)先行停止車両の追突 (3)道路付属物への接触 (4)広場での接触((1)~(4)は料金所関連)、(5)先行停止車両への追突 (6)視界不良 (7)雪・雨によるスリップ (8)前方割り込み(9)前方落下物対応 (10)渋滞後尾の事故 (11)渋滞中事故 (12)車線規制((5)~(12)は本線関連)、(13)横断歩行者への接触 (14)退出車両との接触 (15)スマートIC利用車両((13)~(15)は休憩施設関連)、(16)合流タイミング((16)は本線合流部関連)、(17)速度超過によるカーブ逸脱 (18)ランプ渋滞((17)(18)は本線分流部関連)、(19)逆走((19)は本線等関連) ― という19項目の体験運転事象が設定されています。

交通安全の啓発に UC-win/RoadベースのDS開発へ

その際にシステムのポイントとされたのは、まず高速道路をどこまでリアルな映像に再現できるかということ。そのほか、本当に運転している感覚を体感できるハード機能、よりコンパクトで持ち運びが可能なシステム、運転した人の行動のデータ化とそれの交通安全対策への活用、作成したVRデータおよびシステムの継続的な更新への対応などが求められたといいます。
結果として、UC-win/RoadをベースとするDSを提案した当社が受注。このDSでは、実在する道路や橋梁、トンネル、SA、料金所などの図面データを利用し、架空の建物などを配置した約15kmに及ぶモデルを作成。そこに19項目の体験運転事象が設定されました。また、各事象を組み合わせ、1コース約3分間となる3種類のシナリオを用意。利用者がコースを選びDSで体験した後、その走行ログを分析した体験運転の診断を通じ、安全運転の啓発を図ろうという仕組みです。さらに体験者による多様な運転行動や車両挙動のデータは蓄積され、以後の安全走行に関する検討に活用されることになります。

1コース約3分間となる3種類のシナリオを用意。利用者がコースを選びDSで体験した後、その走行ログを分析した体験運転の診断を通じ、安全運転の啓発を図ろうという仕組みです。

広がる活用~可能性への期待

交通安全対策への活用という観点からは、出来るだけ多くのドライバーにこのDSを利用してもらうことが重要とのことで、DSは株式会社高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)に保管。NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本の各社が行うイベントを通じ、随時活用する形となっています。

実際の高速道路のデータに基づくリアルな再現映像の中を走行体験できるため、ETCレーンやスマートICなどを実際に通行したことがないドライバーにどのようなものかを体感してもらえるメリットを実感したとのこと。また、不特定多数の一般ドライバーによる運転行動および車両挙動データを収集・蓄積できるため、ログデータの解析が、今後の様々な課題に対しても活用できるのではと期待されています。

お話を伺ったETC推進課課長代理 三石晃氏(写真左)とETC推進課係長 西村徹氏(写真右)。

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