国土交通省 四国地方整備局 松山河川国道事務所
国土交通省四国地方整備局「松山河川国道事務所」がフォーラムエイトの「UC-win/Road」を導入いただいたのは、同事務所にとって最も主要な道路事業の一つとして位置づけられている「松山外環状道路」のプロジェクトが本格化するのを前に、地元への設計説明会をいかに分かりやすく、効果的に行うかが問われていた頃。まさにその説明会の直前に着任し、一連の説明会を担当されることになった同事務所調査第二課計画係長の古市(ふるや)圭司氏にお話を伺いました。
松山市は、松山城や県庁・市役所などが集積する市の中心部から幹線道路が放射状に広がる道路網を形成しています。そのため、市の中心部に向かって交通が集中しがちとなる構造的な渋滞要因は早くから指摘され、整備されたのが、松山環状線です。
整備により、市内中心部の渋滞緩和がもたらされましたが、郊外のベッドタウン化や、同環状線沿線への大型店舗の立地が加速。その結果、今度は環状線の交通量が急増し、とくに、放射状道路と同環状線との交差部は、慢性的渋滞ポイントとなっています。
そこで新たに、松山都市圏の抜本的な渋滞緩和策として「松山外環状道路」の整備が取り組まれることになりました。
古市圭司氏は「この4.8㎞の区間には盛りだくさんの要素が含まれています」、と「松山外環状道路インター線」の事業を形容します。例えば、住宅地に近い「井門(いど)ランプ(仮称)」は、一般道とその上の自動車専用道路、さらに松山自動車道(松山IC)へとつなぐ橋梁から成る3階建てのJCT構造となります。また「坊っちゃんスタジアム」や複数の運動施設が集まる「松山中央公園」、JR予讃線、県道、住宅密集地、田園地帯、河川域など変化に富んだ環境を縫って建設されます。その間、高架・盛土構造、JR線をアンダーパスし、高架下は公園用の駐車場として利用、などです。
その上、今回は国・県・市による共同事業であるため、事業主体同士の意識をいかにうまくまとめ上げていくか(合意形成できるか)という点も重要になります。
加えて、「美しい国づくり政策大綱」や「景観法」が施行され、同事務所では03年に、学識経験者らにより構成される「松山都市圏幹線道路景観検討委員会」を設立。同委員会は景観整備について審議し、事業に反映させる体制が取られました。
一方、同事務所では積極的に、一般の方々へ事業内容の説明を効果的かつ効率的に行ってきました。「松山外環状道路」事業ではまず、地元住民に対する「設計説明会」を通じ事業の概要について理解浸透を図り、次のステップとしてより幅広い人々向けに「オープンハウス」を開設。5ヵ所で実施された説明会では、従来の2次元図面やパースのみに頼るやり方を改め、ビジュアル的にも優れた3次元バーチャルリアリティ(VR)のシミュレーション技術「UC-win/Road」を採用。立体的な位置関係や完成後の交通流などを体感してもらおうという試みは期待通りの効果を発揮していた、と古市圭司氏は振り返ります。(記事内容は2005年当時のものです)
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